

- スペインの大貴族アルマヴィーヴァ伯爵は、ロジーナに恋している。ロジーナの後見人バルトロも、財産目当てで彼女と結婚しようと目論んでいる。なんとかそれを阻止せねばならない。そこに登場するのが、「町の何でも屋」を自称する床屋のフィガロ。次から次へと繰り出すフィガロの作戦に、登場人物たちは振り回されて大騒ぎ。しかし最後にはロジーナと伯爵はめでたく結ばれる。

セビリアの街並みスペインの最南にあるアンダルシア州の州都セビリア。フラメンコや闘牛など、スペインと聞いてイメージするものが、この地方の特徴を形作っています。8世紀から約800年もの間イスラム教徒が支配してきたアンダルシアにはアラブの文化・美術が色濃く残っており、セビリアが数多くのオペラの舞台となってきたのも、ヨーロッパの人々にとってこの都市がエキゾチックな魅力を持っていたからでしょう。オペラ《セビリアの理髪師》は、フランス革命の時代の風雲児ボーマルシェの同名の戯曲を原作にしています。理髪師という庶民を代表する職業のフィガロの知恵が、貴族階級に生まれたアルマヴィーヴァ伯爵の恋愛を成就させるというストーリーは、フランスにおける市民階級の台頭に大きな影響を与えました。実際に訪れてみればセビリアは大都会であり、威容を誇る大聖堂や壮麗なイスラム風の王宮などに圧倒されますが、オレンジがたわわになる樹木や、迷路のように入り組んだ旧市街の路地、あちらこちらに噴水や広場があるセビリアの町は、この物語にふさわしい活気を感じさせてくれます。


- 【作曲】ジョアキーノ・ロッシーニ/1816年
- 【原作】ピエール・オーギュスタン・カロン・ド・ボーマルシェ
『セビリアの理髪師』
- 【台本】チェーザレ・ステルビーニ(イタリア語)
- 【初演】1816年2月20日/ローマ/アルジェンティナ歌劇場
- 【制作】新国立劇場2005年
- 【構成】2幕/約2時間30分
- 【演出】ヨーゼフ・E.ケップリンガー
- 【美術・衣裳】ハイドルン・シュメルツァー
- 【照明】八木 麻紀