トゥーランドット
トゥーランドット
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トゥーランドット

氷のような姫君の心を溶かす愛。プッチーニの大スペクタクル・オペラ

トゥーランドット

CHINA
あらすじ
伝説時代の中国・北京。絶世の美女だが氷のように冷酷な心を持つトゥーランドット姫の夫となる条件は3つの謎を解くことだが、解けなければ斬首の刑である。姫に一目ぼれした王子カラフは全ての謎を見事に解き明かす。しかし誰のものにもなりたくないと姫が動揺したため、カラフは「翌朝までにわが名を当てれば私は死にましょう」と約束する。カラフの名を知る女奴隷リューは捕らえられて拷問を受けるが、カラフに片思いをしていたリューは口を閉ざしたまま姫の前で自害する。真実の愛に目覚めた姫はカラフの名を愛だと叫び、二人は抱き合う。
舞台となった土地紹介
紫禁城(現在の故宮)
《トゥーランドット》の舞台となるのは北京の紫禁城(今の故宮)です。台本には“伝説の時代の北京”と書かれていますが、明朝の永楽帝が北京に遷都し紫禁城が完成した後の、15世紀ごろの中国を想起させる描写があるように思います。《トゥーランドット》の原作はカルロ・ゴッツィが書いた同名の寓話劇(1762)でした。《トゥーランドット》という題材をプッチーニに提案したのは二人の台本作家のうちのひとり、レナート・シモーニです。シモーニは記者、編集者、演劇評論家、劇作家など多才な活躍をした人で、ゴッツィについての戯曲も書いています。彼は1912年に新聞記者として、清朝皇帝の退位を取材するために中国に行きました。そして彼が取材した宣統帝の退位こそが、“伝説の中国”に終止符を打つものだったのです。オペラ《トゥーランドット》が構想された1920年には退位した宣統帝(溥儀)はまだ紫禁城内に住んでいました。その溥儀が紫禁城から追放されたのは1924年11月29日、奇しくもプッチーニがブリュッセルで亡くなった日でもあったのです。それは二度と戻らない、一つの時代の終わりを告げる日になったのでした。

Digest Movie

  • 【作曲】ジャコモ・プッチーニ/1920~24年
    フランコ・アルファーノ補筆
  • 【原作】カルロ・ゴッツィ『トゥーランドット』
  • 【台本】レナート・シモーニ/ジュゼッペ・アダーミ(イタリア語)
  • 【初演】1926年4月25日/ミラノ/スカラ座
  • 【制作】新国立劇場/東京文化会館2019年
  • 【構成】3幕/約2時間
  • 【演出】アレックス・オリエ
  • 【美術】アルフォンス・フローレス
  • 【衣裳】リュック・カステーイス
  • 【照明】ウルス・シェーネバウム