紫苑物語
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紫苑物語

新国立劇場から世界に放つ新作オペラ。私の人生を射ぬくのは魔の矢か、それとも...

紫苑物語

JAPAN
あらすじ
歌詠みの家に生まれた国の守・宗頼は、歌の道を捨て弓の道に傾倒する。宗頼は父によりうつろ姫と結婚させられるが、国の目代である藤内はうつろ姫を利用して国を支配しようとする。ある日、宗頼の前に千草という女が現れ宗頼を虜にさせるが、実は千草は宗頼が射た狐の化身であった。宗頼は「知の矢」「殺の矢」の弓術を習得し、千草の力によりさらに「魔の矢」を編み出す。全智となった宗頼は国のはずれにある山で、宗頼は自分に姿形の似た仏師の平太と出会う。宗頼が崖に彫られた仏の頭に3本の矢を放つと、宗頼諸共岩山が崩れ落ちる。
舞台となった土地紹介
臼杵の磨崖仏
新国立劇場で世界初演されたオペラ《紫苑物語》は、1956年に発表された石川淳の同名の小説を原作としています。文芸の道を極める厳しさを象徴的に描いたこの物語は、日本の平安時代末期らしき風俗で描かれていますが、京都から遠く離れた宗頼が住む国には名前が与えられていません。したがって『紫苑物語』は実際の地名を探すことはせずに読むべき物語だといえます。もっとも、国のはずれにある山で仏師の平太が彫る仏像は、大分県の臼杵市や豊後高田市などに残されている磨崖仏(岩壁に彫られた仏像)を想起させますし、実際、石川淳は『紫苑物語』を執筆する少し前に、この地方を訪れていることが分かっているそうです。また、小説の題名にもなっている紫苑は、中部地方と九州に分布し湿った草原に咲く花だということからも、作者が緑に苔むす仏像を訪れた折に紫苑の咲く野原をも目にして、神秘的な世界を描くためのインスピレーションを受けたのではと想像をかきたてられます。

Digest Movie

  • 【作曲】西村 朗/2017~18年
  • 【原作】石川 淳『紫苑物語』
  • 【台本】佐々木 幹郎(日本語)
  • 【初演】2019年2月17日/東京/新国立劇場
  • 【制作】新国立劇場2019年
  • 【構成】2幕/約2時間
  • 【演出】笈田 ヨシ
  • 【美術】トム・シェンク
  • 【衣裳】リチャード・ハドソン
  • 【照明】ルッツ・デッペ
  • 【振付】前田 清実
  • 【監修】長木 誠司