森下竜一さんのわが町
2010年 12月 17日|キャスト
私にとっての我が町は、生まれ育った軍港の町、佐世保です。
南部の高台にあった私の家からは金市がスクリーン上に収められる眺めだった。前方に烏帽子岳や弓張岳の緑深い山なみ左手には朝日に映える港があり艦船が見え霧笛も聞こえた。
私の父は海軍の士官で、兄は予備学生、私は予科練として海軍にはいった。私にとって忘れられない思い出は海軍に入るまでに過した中学生活の二年間だ。棕櫚の皮で作ったカバンで通学し勉学より軍事教練が優先され陸軍から配属された教官にビンタを喰らい、みんなふっ飛んでいた。悪夢にひとしい灰色の時代だったが、僕達なりに束の間の時間に少しでも楽しみをみつけ過ごすことが出来た。空腹をかかえながらも悄気ることはなかった。帰郷のたびに駅に着くと後方に赤崎の山と港に停泊している船が見え駅の正面に聳える教会の高い塔、わが町に帰って来たことを実感できるひとときです。
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