はじめに&ものがたり


演劇「わが町」はじめに&ものがたり

  • はじめに
  • 翻訳家・演出家からのメッセージ
  • 物語

アメリカの片田舎に暮らす、ふつうの人々のふつうの生活…二度と繰り返されることのない「いま」という瞬間。人生の一瞬一瞬の尊さを描く、ワイルダー不朽の名作。

「JAPAN MEETS…」シリーズ三作目として上演されるのは、アメリカの劇作家、ソーントン・ワイルダーの名作中の名作『わが町』。新翻訳による上演です。1938年に発表され、その年のピュリッツァー賞を受賞、現代劇の原点ともなった作品であり、その後の現代劇の描かれ方に多大な影響を及ぼしました。アメリカ演劇を代表する作品のひとつとして、2010年の現在もなお、世界中で上演され続けている傑作です。

実力派の出演者たちが、稲本響の奏でるピアノとともに、心の奥底と共鳴する濃密な劇空間を作り上げます。
2011年新春、必見の舞台。どうぞご期待ください。

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翻訳家からのメッセージ:水谷 八也
ソーントン・ワイルダーの Our Townは、劇団の研究生や大学・高校の ESSの発表会などで好んで上演されてきた戯曲であり、日本でも比較的なじみのある、わかりやすい名作というイメージが強い。しかしそのわかりやすさが曲者だ。「オスカーはワイルド(乱暴)だ。しかし、ソーントンはワイルダー(もっと乱暴)だ」という冗談があるが、このワイルダー、なかなか一筋縄ではいかない。劇作術においてはかなりのワイルダー振りを見せてくれる。1938年の作だが、その技法は 21世紀の今でも、いや、今だからこそなお刺激的である。まずは「生」のままの Our Townを堪能してみたい。そして「死者の眼」で自分と世界を、今一度、見つめてみよう。
演出家からのメッセージ:宮田 慶子
ありふれた日常の、親子関係、子供の成長、同じ町に暮らす人々の姿を率直に描き、けれど決して表層的でなく、それを、生と死、宇宙の中の地球という視点にまで俯瞰して見せ、普遍性が本来持つダイナミズムを、これほどまでに明快に提示した作品は、他にはありません。日本では、俳優養成機関などで取り上げられることも多く、また翻案化された舞台も数多く存在しますが、是非とも一度、原作にストレートに向かい合ってみたかった作品です。具体的なものを極力排したシンプルな舞台は、透明な、そしてときには力強いピアノの音色で満たされ、心の奥底と共鳴していきます。戯曲の持つスケール感を大切にしつつ、人の手による暖かさや手ざわりを感じられる舞台作りにしたいと思っています。

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物語
アメリカ合衆国ニューハンプシャー州グローヴァーズ・コーナーズ。
この町の医者であるドクター・ギブズの家にも、また隣家の住人、町の新聞の発行人・ウェッブ氏の家にも、いつもと変わらない平和な一日が訪れている。ギブズの息子・ジョージとウェッブの娘・エミリーは、ともに 16歳で幼なじみ。二人の頭にあるのは今日の宿題のこと、将来の夢のこと、そして、ほんの少しだけ気になっている隣の家の幼なじみのこと。いつもの朝、いつもの一日。
それから3年。高校の卒業式の直後。幼なじみのエミリーとジョージは結婚の日を迎える。ジョージは嬉しさのあまり、朝から落ち着かない。新たな家族を迎える 2組の両親の、「結婚」に対する思い、新たな家族となる若い二人への願いが語られる。お互いの愛を再認識した二人は、町の多くの人々の祝福を存分に受けながら、幸せな結婚式を終える。永遠に続くと思われた幸せに満ちた夫婦生活が9年を数えた頃、思いもかけない出来事がエミリーの身に起きて…。

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