2013年11月8日
託児室「キッズルーム<ドレミ>」のご紹介
新国立劇場の公演では、託児室をご利用いただける日程を設けています。
今回は託児室「キッズルーム<ドレミ>」のご利用方法等をご紹介いたします。
新国立劇場主催公演をご観劇のお客様には、託児サービスがご利用いただけます。
託児室「キッズルーム<ドレミ>」は中劇場クローク横にあります。
託児室では、子どもたちは、おもちゃのキッチンセットでお料理ごっこをしたり、積み木で遊んだりと、とても楽しんでいただいているようです。
託児サービスがご利用いただける公演日は各公演により異なります。新国立劇場HPまたは、公演チラシをご参照ください。
演劇「ピグマリオン」では、11月17日(日)13:00、23日(土祝)13:00・18:00、28日(木)19:00、12月1日(日)13:00の5ステージでご利用いただけます。
★公演スケジュールはこちら★
ご利用に際しては、ご来場日の1週間前までに電話にてご予約ください(定員制)。
料金等詳細は以下のとおりです。
対象年齢:3ヶ月~12歳(小学生)まで
託児時間:対象公演の開場から終演まで
利用料金:3ヶ月~1歳2,000円/2歳~12歳1,000円
ご予約・お問い合わせ:㈱小学館集英社プロダクション総合保育事業部
0120-500-315(土日祝を除く午前10時~午後5時)
★ご利用方法はこちら★
どうぞご活用ください。
2013年11月6日
ロンドン紀行4日目 その2
ロンドン北西のノッティング・ヒルから中心街から、戻ってきて、コヴェント・ガーデン。快晴の中で行くとまた違った印象を受けます。
かなり大きい広場なのですが、人で埋め尽くされ、道路は車が渋滞してます。しかし、この人ゴミは不思議と不快ではない。海外に来てるからなのか、天気が晴れやかだからなのか、居る人たちがセカセカしてないからなのか、様々な理由からでしょうね、きっと。 そしてそこからすぐ近くにある劇場、トラファルガー・スタジオへ。
キャパ300程の劇場。
演目はハロルド・ピンター作「THE HOT HOUSE」(邦題:温室)
(昨年、新国立劇場さん制作の温室に出演させていただきました)
英国では有名な作品。内容はここでは書き切れないので割愛させて頂きますが、かなりシニカルなコメディ作品です。自分も演ったことのある作品でしたので、なんとなく言っている事がわかるので大爆笑の連発。(国によってこうも作品の解釈が違うのかと歴然に感じました。)
舞台を楽しんでいると休憩中に、隣のマダム数人に、お声を掛けられる。
「あなた日本人?お一人?」(おそらく)
「はい。1人です、独りです。」
「これ分かるの?(言葉と内容)」(おそらく)
「はい。分かりますよ。」(日本で演じたので、と説明したいが出来ずに)
「hふいsfkんぐysんgyd?」
「はい?」(理解できず・・・)
「jhfんsづふぁいkj?」
「あ・・・ごめんなさい。わかりません・・・」
「Ahhhhh…OK」
「sorry」
「うふふ。」(あ〜この子。やっぱり英語分からないのね。。という表情)
「ふふ・・・」(あ〜こいつ内容も分かってないと思われてる・・)
自分に語学力があれば会話も楽しめたに、と悔やみます。あの役演ったことあるんですよ、と言いたかった・・。後悔。
しかし、マダム達もいい方で、その後の会話でも、僕の拙い英語を必死に理解しようとしてくれていました。客席には、ほぼ地元の人たちばかりだったので、アジア人の若造に、彼女たちは興味津々だったのでしょう。
終演後も少し話し。感謝を伝える。
「enjoy!!」
そう声をかけてもらい、別れた。
ありがとう、マダム達。独りのアジア人の心は暖かくなりました。
カヴェンディッシュ・スクエアのベンチに座り、
(ピグマリオン4幕に出てくる公園)
思いを馳せる。
橋本淳
2013年11月4日
いよいよ劇場仕込みです!
本日、劇場仕込みが始まりました!
写真は照明の吊りこみをしている様子です。
スタッフの皆さんが一所懸命働いてます。
安全の為ヘルメットかぶってますが、白だけじゃなく赤や黄色のヘルメットが見えますよね。
たくさんの人達がいっせいに動くので、ひと目見てどこのパートがわかるように色を変えているんです。
「ピグマリオン」は、彫刻家ピグマリオンが自ら彫った彫像に恋こがれる様を見た女神アフロディテが、彫像をガラテアという女性に生まれ変わらせたというギリシャ神話がもとになっています。バーナード・ショーはそのストーリーを、音声学者ヒギンズ教授が下町娘のイライザを貴婦人に生まれ変わらせるお話に変化させました。教育された当初は生きたお人形だったイライザが、生命をもった一人の女性に生まれ変わるところがこの作品の魅力です。
お話の中ではロンドンの町並みや邸宅、舞踏会のシーンが出てきます。美術デザイナーの松井るみさんのアイデアで、ドールハウスみたいな素敵なセットになりました。
ぜひこちらもお楽しみに。
2013年10月31日
ロンドン紀行 4日目その1
ロンドン最大規模の「ポートベロー・マーケット」へ。
映画 ノッティング・ヒルの恋人 の舞台となって有名なところですね。
こちらがその作品の劇中でヒュー・グラントとジュリア・ロバーツが出会う本屋さんです。 少し脇に入ると閑静な住宅街(高級?)のようで、かわいい家が並んでます。
進んでいくと、骨董品だったり、銀食器だったり、のお店がずーっと道に沿って並んでいます。さすが有名なマーケット。
この時はまだ9時過ぎなので、オープンしているお店も少なく、人もまばら。 しかし、11時くらいになると、店はほとんどオープンして
道はお客さんで溢れかえります。人混みが苦手な身としては、早い時間にささっと見て、ささっと立ち去るのが懸命だと思い、この行動。活気ある写真が見たい方はネットで検索を(またですが)。

気をつけなければイケナイのは、スリは当然ですが、
売り物をよく見ると、他のお店と被っているもの多数。
また値段が微妙に違うので、そういうところにも気を使いながらショッピングするのも楽しいですね。
ウロウロしていると時間も経ち、気づけば人が増えてきている。そうなると大変なのがトイレ探し(お食事中のかた失礼します)
無料の公衆トイレは滅多にないのであるとしたら、長蛇の列。
カフェやレストランでオーダーついでに入るくらいですかね。この旅で身に付けたのは、尿を貯めない技術ですかね。見つけたら入る。これにつきます、後で後悔はしたくありませんし、、すみません、話が脱線しました。
人の波から逃れるように、ロンドン中心街へ。
本日もTKTSにて芝居のチケットを手に入れる。
静けさを求めて少し歩く。公園が至る所に点在しているのは、本当にありがたいですね。小休止には、もってこいです。
近くのデリでベーグルサンドを購入し、ベンチで一休み。

※ピグマリオン4幕でイライザとフレディが、夜の街を歩き回るシーンに出てくる場所。
緑に囲まれ身も心も安らぎます。
休みながらもしっかりとフィールドワークを。
(観光ばかりのような感じですが、ね。)
橋本淳
2013年10月31日
翻訳者雑感その2 ~ロンドンのキャブ~
果たして「キャブ」はタクシーなのか、それとも馬車(辻馬車)なのか。ちなみに、「キャブ」は、もともとは辻馬車を意味する言葉だった。さっそく調べてみると、ガソリンで動くキャブが登場したのが、パリでは1899年、ロンドンでは1903年だという。となると、完全に普及するのはもう少し後ということになる ― うう、微妙。1912年に書かれた『ピグマリオン』は、もっと早くから構想は練られていたようだから、作者ショーの頭の中でイメージされているコヴェント・ガーデンで「ピィーッ!」と口笛を吹いて呼ぶのは・・・どっちだろう?
いくら考えてみても答は出ないので、「白旗」をあげて『マイ・フェア・レディ』のDVDを見てみることにした。ドキドキしながら冒頭シーンを見つめていると ― コヴェント・ガーデン ― 劇場の芝居がはねて上流の観客がぞろぞろと外へ出てくる ― あ、タクシー。あ、馬車。あ、タクシー。あ、馬車。なんと、タクシーと馬車がかわるがわるやってくる! うん、そりゃそうだろうな。ちょうど移行期なのだから。なるほど、納得。
と、納得はしたもののまだ訳せない。この「急な雨降り」のシチュエーションで口笛を吹いて「なかなか捕まらない」キャブを捕まえるとなったら、タクシーだろうと馬車だろうと、捕まった方に乗るだろう。つまり、「フレディったらまだキャブを捕まえられないの?」と言うのは「フレディったらまだタクシーも辻馬車も捕まえられないの?」ということになる。問題は、タクシーと辻馬車の両方を表わす日本語がない、ということだ。さんざん悩んで、結局、「車」という言葉で表すことにした。「まだ車を捕まえられないの?」でも、これだと「タクシー」寄りの響きになるので、完璧とは言えない。
実は、この段階で、手に入る唯一の既存訳、倉橋健先生の訳を覗いてみた。すると ― やはり「車」という言葉があてられていた。ああ、初めから参考にさせてもらえばよかった。でも、先生もきっと同じことで悩まれたのだろうな、と想像するとちょっと嬉しい。ちなみに、倉橋先生のご令嬢、祐子さんは大学院時代同じゼミに所属し、「親の顔に泥の塗り合い」(注・僕の父はシェイクスピアの小田島雄志)と言いながら切磋琢磨した仲。彼女は今ではアメリカ、オハイオ州のKent State大学の先生になっている。
『ピグマリオン』は1912年に執筆、ロンドン初演は1914年だった。(ウィーン、ベルリン、ニューヨークでそれぞれ1913年に上演されていたが、ロンドン初演は主演女優パトリック・キャンベルが自動車事故にあったため上演が遅れてしまった。ここでも自動車の存在が問題になっていた!)その後、ショーは何度かこの作品に加筆・修正を施している。1938年の映画の脚本にも関わった。そして、1941年に『ピグマリオン』の決定版(Authorized Version)が完成する。今回の舞台の台本はこの版を訳したものだ。どうやら、イライザが「ベッキンガンちゅうでんにやってくれ」と言ってタクシーに乗る場面はかなりあとから書き加えられたものらしい。ここを指して「映画のスクリーンやよほど設備の整った劇場でないと上演できない場面」とショー自らが但し書きをしている。
今年の3月、久しぶりにロンドンへ行った。80年代の学生の頃から何度か訪れているが、いまだにロンドンのタクシーに乗るとついわくわくしてしまう。黒いオースチン、通称ブラックキャブ。最近は真っ黒とは限らず広告などがペイントされているものもあるが、それでもブラックキャブ。もっとも、ちょっと贅沢なのでそうしょっちゅう乗るわけではない。旅行の最終日、せっかくだから、ホテルで「空港までのタクシーを頼む」と言ったところ ― ぴかぴかのメルセデス・ベンツが来た! いわゆるロンドンタクシーではなくホテルが契約している会社の車だという。ちょっとがっかり。だが、乗ったら、ラッキー!なんという爽快感! 初めてタクシーに乗った花売り娘の気持ちがちょっとわかったような気がした。
と、翻訳の話をしようと思ったのに、最初のところで躓いた話を最初に話して躓いてしまった。肝心のコクニー(ロンドン訛り)のことを話さなければ・・・
小田島恒志