2013年9月6日
ロンドン紀行 2日目 その1
2日目。
と言いつつ、1日目にどうしても書きたかった事を、ちょこっと。英国に着いたら必ず食そうと決めていたfish&chips。
それを早速1日目の晩に。感想は・・・。まずは大きい、顔よりはデカイ、タラの白身の揚げ物と、フライドポテトの山盛り。味付けはビネガーと塩。(お好みで何かしらを足す事を知らずに、このまま食しました。写真は食べかけで申し訳ない。)
・ ・・はい。一口目を食べて確信します。胸焼け街道まっしぐら、だと。
2日目。
胃で滞留しているものすごい量の油のおかげなのか、早めに就寝したからなのか、朝5時に起床。
今日の予定をのんびり立てる、残りのfish&chipsをつまみに。(そのまま捨てるのはあまりに気が引けたので。)
レンタルしたWi-Fi(ワイファイ)機器が不具合で繋がらなかったというのもあり、駅の近場のスタバに入店。安堵、通じる。(English)
海外のスタバでは、注文すると名前を尋ねられ、cupに客の名前を書き、出来上がった際に、その名前を呼んでくれるのです。(「アツシ」と何度も言ったのですが、「アチュ?」と間違えられるのです。まぁいいのです。Free Wi-Fiを利用するために毎日行っていたのですが、やはり「アツシ」の発音は難しいらしい。それならばと、3日目くらいからは「ジョン」やら「エドワード」などと名乗っておりました。怪訝な顔をする店員さんが面白かったのです。)
最寄り駅でOyster Card (Suicaのようなタッチ式のカード)を手に入れ、地下鉄でロンドン市内へ。
まずはTKTSでその日、観劇する舞台の半額の当日券を購入。(海外では前売りよりも当日券のほうが安いのです。実にいいシステムです。)
演目はBilly Elliot。映画『リトル・ダンサー』のミュージカル版です。舞台は14時半からだったので、時間はたっぷりある、ということで念願の街歩きを。(これがこの旅の本来の目的なのです。忘れてますが。)
ピグマリオンの冒頭の部分にも登場する、コヴェント・ガーデンへ。
冒頭のシーン、コヴェント・ガーデンに隣接するセント・ポール教会の入り口でフレディの母と妹(エインスフォード・ヒル夫人とクララ)が雨宿りしている所から始まります。
戯曲で読んだ風景が目の前に。何とも言えぬ高揚感に包まれました。天気は英国らしく生憎の曇り空ではありましたが、僕の心は晴れやかでした。
ロケ地めぐりのツアーのどこが面白いのかと思っていたのですが、この瞬間からは肯定派に早変わり。自分でもこの早変わりには驚きです。
※ コヴェント・ガーデンとは
ロンドン中心部のウエストミンターにある地区。チャリング・クロス駅から北に約500メートル程のところに位置する。
1974年頃まで、野菜や果物の卸売り市場が置かれていた。現在はその跡地を利用してショッピング・センターになっており。色んな小さなお店が軒を並べています。そして至る所でパフォーマー達が芸を披露しています。アンティークや古着等のマーケットも人気です。
(詳しくはご自分の目で見に行くのもよし、ネットで調べるもよし。僕の情報はきっと正しくないところもあるので、その点はご了承ください。)
気づけば2時間くらいはこの周辺をブラブラしていたと思います。
そのくらい居心地が良かったのです。まさか、僕の先祖は欧州人・・・?なんてTHE和顔をして何を言ってるんだ、というところで今回はここまで。
コヴェント・ガーデンへは天気がいい日にも訪れたので、その時の写真もその内、公開します。お楽しみに。
橋本淳
2013年8月30日
9月1日(日)からチケット前売り開始!
日本演劇界、この秋の目玉作品の一つとして注目を浴びる「ピグマリオン」ですが、いよいよ9月1日(日)10:00よりチケットの販売が始まります。各プレイガイドの他、もちろん以下の新国立劇場ボックスオフィスでもチケットをお取り扱いいたします。
【窓口】 劇場1階メインエントランス (午前10:00~午後7:00 年中無休)
【電話】 03-5352-9999 (午前10:00~午後6:00 年中無休)
窓口、電話とも、係りの者がお客様にお席の場所のご希望を伺ったり、対象となる割引の有無をお聞きしたりしながら、チケットを手配いたします。そのため、ご不明な点があればその場で確認しつつ、安心してチケットをお求めいただくことができます。
また、発売初日で電話がつながりにくい場合などは、新国立劇場Webボックスオフィスもご利用ください。PC、スマホからのお申し込みですと、お座席の選択も可能、「ピグマリオン」の座席表はこちら(PDF)で確認できます。手数料等については、お申し込みページをご確認ください。
いつものご案内で恐縮ですが「良い席はお早めに」。皆様からのお申し込み・ご来場を、心よりお待ちしております。
2013年8月28日
ピグマリオンを語る- 宮田慶子
ミュージカル「マイ・フェア・レディ」の原作戯曲としても知られる、
バーナード・ショーの「ピグマリオン」。下町娘のサクセスストーリーを軸にした
ミュージカル版では描かれなかった、シニカルな恋愛観、人間関係の機微は、
今こそ時代を超え、国境を越え、観る者の共感を誘うだろう。若手キャストで挑む、
宮田版「ピグマリオン」の狙いも、まさにそこにある。
「幸せって何?」
自分で考え、自分の心に
素直に生きるイライザ
―宮田さんが「ピグマリオン」に関心を持つようになったのは、一九九八年に演出された「ディア・ライアー」(ジェローム・キルティ作)以来のことだそうですね。
宮田◆そうなんです。「ディア・ライアー」は、私の新国立劇場での最初の仕事で、バーナード・ショーと「ピグマリオン」初演の主演女優、パトリック・キャンベルとの往復書簡をもとにした作品です。そこでは舞台上のキャンベルに一目惚れしたショーが、彼女のために新作を書き下ろすという「ピグマリオン」誕生の経緯も描かれているんですが、それがとても面白くて。すでに四十歳を超え、大女優と呼ばれる彼女に、ショーはわざわざ十代の小娘の役を書く。それは彼女への純粋な憧れ、恋心でもあるけれど、同時に「やれるでしょ?」っていうような挑戦的なひねくれた態度の表れでもあるんですよね。そんな二人の不思議な関係から生まれた戯曲、ということで一気に興味が湧いてきたんです。
―今回、その「ピグマリオン」を、海外戯曲を通して日本の演劇を振り返る[JAPAN MEETS…―現代劇の系譜をひもとく―]シリーズで取りあげようと思われたのはなぜですか。
宮田◆ミュージカル「マイ・フェア・レディ」の原作として、多くの人が題名は知っている。でも、ほとんどの人は、内容までは把握していないでしょう。そういう作品こそ、[JAPAN MEETS…]でちゃんと取りあげるべきだと思いました。また、このシリーズの第一弾でイプセンの「ヘッダ・ガーブレル」を演出した私としては、イプセンの信奉者だったバーナード・ショーが、その精神をどう引き継いでいるかということにも興味があったんです。バーナード・ショーの作品は難しいものが多いんですが、「ピグマリオン」なら、多くのお客様に喜んでいただけるエンターテインメント性もありますし、同時にショーならではの皮肉も楽しんでいただけるんじゃないかと思っています。
―実際に読んでみると、結末も含め、「マイ・フェア・レディ」とはずいぶん違う内容に驚かされます。
宮田◆「マイ・フェア・レディ」は直球のサクセスストーリーですからね。共通しているのは、言葉を矯正するという設定くらいかもしれません。主人公のイライザにしても、「ピグマリオン」では、ミュージカル版よりもっと自分でものを考え、自分の心に素直な生き方を選択していく。綺麗な服を着たいとか、レディになりたいとか、そんな単純な動機ではなく、「幸せって何?」ってことを考えようとした女性として書かれていると思います。
―彼女に限らず「ヘッダ・ガーブレル」、「朱雀家の滅亡」、「るつぼ」と、宮田さんの手がける作品に登場する女性はいずれも、複雑な生理、心理を秘めていて、魅力的です。
宮田◆やっぱりそこは、演出家として作品を選ぶ時の、大きな手がかりの一つにはなっていますね。単なる良妻賢母だとか、ステレオタイプの女性像にはあまり興味が湧かない。その裏にある本音や本能を捉えようとしている本に共感します。その点「ピグマリオン」は、イライザだけでなく、ヒギンズ教授のお母さん、恋人のフレディのお母さんのあり方も、女性の生き方のモデルケースとして配置されていて「うまいな」と思わせるんですよね。また、そのことによって、ヒギンズ教授のマザコン的な実像も見えてくるんです。当時のイギリスの上流婦人としては完璧なお母さんがいて、その母親と肩を並べるような理想の女性を作ろうとしたんだけどうまくいかない。言ってみればフィギュア作ってるオタクな男の子ですよね。でも、イライザは人形じゃないから、血の通った人間として扱わないと、裏切られちゃう(笑)。なんだか現代の恋愛事情と照らし合わせて、いろいろ考えさせられるところも出てきそうです。
―石原さとみさんのイライザ、平岳大さんのヒギンズ教授という顔合わせも新鮮ですから、その恋愛模様、駆け引きもより身近に感じられるかもしれません。
宮田◆初演のパトリック・キャンベルが四十代でしたから、それと比べれば実年齢に近いですね。石原さとみさんはもちろん、平さんのヒギンズや友人のピッカリングも結婚の対象になりうる年代です。初演の時代には、大人が演じるからこその諧謔性も狙えたと思いますが、今なら周囲の女性も含め、リアルなキャスティングにした方が、伝わりやすいんじゃないかと考えました。
言葉と環境、学習をめぐる関係
予定調和では終わらない物語
―言葉やその話し方とアイデンティティーとの強い結びつきが、この戯曲の前提にはあります。階級が曖昧な現在の日本においても、それは共有されるでしょうか。
宮田◆確かに民主主義の世の中ですから、自分とは違った階級の言葉を聞くことはなくなっていますよね。でもそれだけでは世界が狭いという気もします。私自身、子供の頃から、祖母の下町言葉と周囲のお母様方の山の手言葉の両方を聞いて育って、環境が言葉を作り、その言葉を通して人間関係や礼儀を学習していくという実感は持っていますし、何もかもラフに、あけっぴろげな言葉で話せばいいということでもないと思っているんです。もちろん、上品な言葉を身につけたからといって、イライザに上流社会の仲間入りはできません。でも、だからといって彼女は下町言葉に戻るのでもなく、新しい自分を探し、自分の生き方を切り拓いていく。環境の中でただ流されるのではない選択がそこにはあります。
ショーは「イギリス人が自国語を大事にしないことに腹が立って、これを書いた」と言っているそうです。彼はアイルランド人ですから、どんなに作家として頑張ってもイギリスの階級制度の中で生きていくことはできない。それなのに「イギリス人たち自身が、英語の美しさやその背景にある文化を理解していないなんて」と思ったのかもしれません。だからこの作品には、言葉と環境、学習をめぐる議論が仕掛けられているんでしょうね。
―言葉と環境、人格、生き方……その関係は決して単純ではないし、簡単に考えてはいけないと?
宮田◆そうですね。この物語自体も、予定調和のハッピーエンドでは終わりません。「演劇は一晩だけの楽しみでいいのか。もう少し、人生になんらかのきっかけを与えるものであるべきなんじゃないか」。それこそイプセンとも通じますが「上流階級の、自分たちの生活とは何の関係もない絵空事の舞台をもっと民衆に近いものにしたい」とショーは考えたんだと思います。だからこそこれは、ふと立ちどまって「幸せ」の意味を考えることができる、リアリティのあるロマンスに仕上がっているんですよね。
<新国立劇場・情報誌 ジ・アトレ 2013年8月号より>
2013年8月23日
ロンドン1日目
ロンドン ヒースロー空港に到着したのは、16時。
約13時間のフライトと、空港に着いてから入国審査等の長蛇の列に並んで、気づけば2時間ほどの道のりは、さすがに疲れました。今日はアパートに着いたら、ゆっくりして備えようと心に決め、駅へ向かう。
アパートの最寄りの駅へは、ヒースロー・コネクト(日本でいう成田エクスプレスのような、特急列車)で、一本ということで、早速切符を購入。(もちろん英語で、ですよ・・・)
無事に切符を手に入れ、意気揚々とホームに降りてゆく。
ガイドブックなんて見たりしたり、キョロキョロしてみちゃったりしながら。
その余裕が仇となったのか、ポケットに手を入れてみると、
先ほど(5分前)そこにあったはずの切符が・・・ない!
ポケットを引っくり返してみても、カバンを漁ってもない!
5分前にはあったのに・・・。自分の愚かさにガッカリです。
少し気を緩めた瞬間にこれです。海外では命取りですね・・・今回は切符、でしたが。
どうしてもないので、心で号泣しつつも、もう一度買いに行く。
なけなしの金を早くも無駄遣い・・・8ポンド弱✕2が、5分で飛んで行く。ああ、無情・・・。なんてどうでもいいことを考えても仕方がないので、切替え切り替え!と心機一転、またもやホームに降りて行く。
すると、
ん?
エスカレーターの出口付近に四角い紙のようなモノが。
ああゴミが落ちているんですね。まさか・・・ね?
自分の視覚から入ってくる情報を心でなんとか否定しようとしながらも、エスカレーターがゆっくり下っていくのと、同じ速度で、視覚を否定する力が弱まっていくのです。
あぁ・・・まさか・・・そんな・・・。
そうです。エスカレーターで落としたのです。
切符を。8ポンドの切符を。(1300円ほどです)
不注意です、完全に不注意なのです。
阿呆な旅人と嘲りください。僕は皆様の為に、敢えての失敗をしているのです。皆様が旅先で苦労をしないように。(そう思わせてください。それしか救いがないのです・・。)
その後は、なんとか無事にアパートにつき、散歩がてらに近所のスーパーで買い物をし、軽く腹ごしらえ。(5月くらいだとアチラは21時くらいまで明るいのですね。時間の感覚が崩れてしまいそうです。)
アパートについてからも、
レンタルしたWi-Fi(ワイファイ)が繋がらない事件やら、洗濯機が永遠止まらない事件やら、ハリネズミ事件やら、
もろもろあったのですが、さすがにそろそろ英国について書かないと、注意を受けてしまいそうなので、自粛させていただきます・・・。
1日目は疲労困憊で、22時くらいには就寝していました。
さて2日目より、いよいよ街歩きです。
それでは次回。
橋本淳