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書籍紹介 ⑦

手塚治虫 作 『七色いんこ』(1981年から82年 週刊「少年チャンピオン」連載)

 マンガの神様、手塚治虫が残した、どセンター演劇漫画。一話完結で毎回芝居のタイトルが付けられ、その作品にちなんだストーリーが展開。代役専門の天才俳優で実はドロボーの七色いんこと彼を追う女刑事、千里万里子の活躍を描く。七色いんこの愛犬にして相棒の玉サブローの人気も高い。シェイクスピアの作品では『ハムレット』『じゃじゃ馬ならし』『ベニスの商人』『オセロ』(作品名は漫画に依拠)の4作品がピックアップ(『オンディーヌ』の回にリア王の台詞の朗読あり)されている。

 基本は一話完結だが全体を貫くストーリーも存在し、ハムレットに重ねあわされる七色いんこの物語は波乱万丈、ラストシーンは大いなる感動を呼び起こす。演劇青年でもあった手塚の隠れた名作である。

 単行本は表紙が都内の劇場の客席が背景になっており、各話の冒頭には上演の舞台写真が掲載されていた。

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