ものがたり


  • 第一部 百年戦争
  • 第二部 敗北と混乱
  • 第三部 薔薇戦争

第一部 百年戦争

ロンドン、ウェストミンスター寺院。偉大な先王ヘンリー五世の葬儀が執り行われている。そこへフランスからの使者が相次ぎ、百年戦争で獲得した領地を喪失し、勇猛果敢な武将トールボット(木場勝己)が捕虜となった報告が届けられると、貴族間の不和が明るみに出る。中でも摂政グロスター(中嶋しゅう)とウィンチェスター司教(勝部演之)の対立は激しさを増す。

一方フランスでは聖母マリアのお告げによって神通力を得たという乙女ジャンヌ(ソニン)が皇太子シャルル(木下浩之)を加勢し、その勢いにのったフランス軍はイギリス軍を翻弄し続け、両者の間に一進一退の激しい攻防戦が繰り広げられる。

同じ頃イギリス国内では、リチャード・プランタジネット(後のヨーク公、渡辺 徹)とサマセット公(水野龍司)との争いに端を発し、貴族が二派に分かれて論争を繰り広げ、ウォリック伯(上杉祥三)とリチャードらヨーク方は白薔薇を、サフォーク伯(村井国夫)とサマセットらは赤薔薇を手にしたことから、のちの薔薇戦争への萌芽が芽生える。

リチャードは伯父モーティマー(鈴木瑞穂)を訪ね、自らの血統の由緒を聞き、自分こそ王家の正統な後継者、現王家ランカスター家こそ王位簒奪者だと思いいたるが、王位への野望を胸に秘め、慎重に行動することを決意する。

グロスターとウィンチェスターとの確執はさらに激しくなる。王ヘンリー(浦井健治)が両者を取りなし、二人は表面的には和解する。その後ウォリックの仲介によってリチャードの復権が認められ、晴れてヨーク公に叙される。その後、一同は王の戴冠式を挙行するためフランスへと出発する。

フランスでの戦線は激しさを加え、トールボットは戦死、ジャンヌもヨークに捕らえられ火刑に処される。王ヘンリーはグロスターの勧めもあり、ローマ法王からの和平勧告に従い、シャルルの近親者アルマニャック伯の娘との婚儀をもって和議を結ぼうとする。しかし、フランスではサフォークが捕虜の、ナポリ王の娘マーガレット(中嶋朋子)の美しさに魅かれ、彼女をイギリス王妃に迎えようと画策、ヘンリーもそれに従い、グロスターはじめ諸卿の反対を押し切ってマーガレットを妃とする決意を固める。

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第二部 敗北と混乱

ロンドン、王宮。フランスから、王ヘンリー(浦井健治)の名代としてマーガレット(中嶋朋子)との婚儀を済ませたサフォーク(村井国夫)が帰国する。屈辱的な和議の条件を嘆くグロスター(中嶋しゅう)はサフォークの忠誠を疑うが、今や枢機卿となったボーフォート(勝部演之)はサマセット(水野龍司)らとともにグロスター失墜を企む。一方ヨーク(渡辺 徹)と彼を支持するソールズベリー(菅野菜保之)、ウォリック(上杉祥三)親子はグロスター側に立つ。権力闘争の幕が切って落とされるなか、ヨークは一人残り王位への野望を口にする。

グロスターの妻エリナー(久野綾希子)はマーガレットへの競争心と夫を王位へとの野心から呪術師を呼び祈祷を行うが、ヨークに反逆罪で捕らえられ流刑に処される。グロスターも摂政職を追われ、さらにサフォークが送った刺客により暗殺される。しかし徳高い人柄が

愛されていたグロスターの死を憤る民衆とともに、ソールズベリー、ウォリックが王のもとに押し寄せ、王はマーガレットの懇願にもかかわらずサフォーク追放を言い渡す。サフォークはフランスへ渡る途上、海賊たちに惨殺される。

一方、王位を狙うヨークはアイルランド遠征に赴くが、不在の間にジャック・ケード(立川三貴)という暴徒に反乱を起こさせ、ロンドンに向かって進撃させる。しかし、クリフォード卿(鈴木慎平)らの説得により反逆は未然に防がれ、ケードも敗走し殺害される。そこへヨークが大軍を率いて帰国、武力を背景にサマセット追放を要求するが、聞き入れられないため王一派を非難し、公然と王位を要求する。ここでヘンリー王らランカスター家とヨーク家との対立が決定的となり、セント・オールバンズでの戦いの火蓋が切って落とされ、薔薇戦争が始まる。

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第三部 薔薇戦争

緒戦に勝利したヨーク(渡辺 徹)は王ヘンリー(浦井健治)を追撃し、ロンドンに攻め入る。ウォリック(上杉祥三)とヨークの息子エドワード(今井朋彦)、リチャード(岡本健一)ともども議事堂に入城、無人の玉座に座る。そこにヘンリーが登場し、両派は激しい口論となる。しかし、この論争でヘンリーは自らの王位の脆弱さを認め、自分の死後王位をヨークに譲渡すると約束する。この知らせを聞いた王妃マーガレット(中嶋朋子)は激怒し、あくまでもヨークとの戦いを続行すると誓う。

ヨークは息子たちの諫言に従い、王ヘンリーとの誓約を破り、彼自身が王として君臨すべく戦う決意を固める。だが王妃マーガレットの率いる軍勢に捕らえられ、辱めをうけて惨殺される。マーガレットはその首をヨーク市の城門に晒すよう命ずる。エドワードとリチャードは父の悲報に接し、王妃一派への復讐を誓う。

一方、マーガレットから戦線を離れるよう命じられた王ヘンリーは、一人政治の煩わしさから逃れ、羊飼いとなってこころ穏やかな生活を送る姿を夢想する。だが、やがてヨークの息子たちに敗れ逃げる王妃ともども、スコットランドへと落ち延びていく。しかし愛するイングランドを一目見ようと、戻ってきたところを捕らえられロンドン塔に幽閉される。

エドワードはフランス王ルイ(立川三貴)の妹と結婚するため、ウォリックをフランスへと派遣する。弟リチャードはグロスター公に叙され、エドワードの戴冠式のためロンドンに凱旋する。だがエドワードはそこで出会ったエリザベス・グレー夫人(那須佐代子)の美しさに目がくらみ、未亡人である彼女を王妃として迎えることにする。

マーガレット達はフランスへ渡り、王ルイに助力を乞う。そこにウォリックが現れ、ルイの妹とエドワードとの婚儀を申し出る。しかしフランス側がエドワードに加勢しようというとき、エドワードとエリザベスの結婚の報せが入ると、形勢は一気に逆転、ウォリック、フランス側ともにマーガレット支持にまわり、イングランドに侵攻、エドワードを捕虜とし、ヘンリーは助け出され王位に復帰する。

しかしリチャードに助け出されたエドワードが再び勢いを盛り返し、ロンドンに向けて進軍、マーガレット軍との激しい戦闘の末、ウォリックは戦死、ヘンリー、マーガレットも捕らえられ、ランカスター側は完全に敗北。エドワードの圧倒的な勝利に終わる。リチャードは捕虜となったヘンリーのもとへ向かい、密かに刺殺。30年余にわたった薔薇戦争は終わりを告げる。

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