2013年9月25日
45年前の上演記録
「エドワード二世」は1968年に東京で上演されています。11月27日~12月10日、3パターンの役替りで13回公演です。場所は東芝ホール(銀座7丁目)。演劇集団「華」の第二回公演として、木村 優訳、ドナルド・リチー演出にて上演されました。
ドナルド・リチー(1924-2013、2月19日に東京で死去)は、演劇界より映画界での業績がよく知られています。アメリカ出身の映画史家・映画評論家・映画監督で、特に日本映画の海外への紹介に多大な貢献をしました。初来日は1947年。第二次世界大戦勃発後に入隊し、戦後日本への進駐軍の募集に応募、タイピストとして来日しています。このときにニュースレターへの投稿が好評となり、星条旗新聞(米軍)に異動。そこで、映画欄の担当になり、日本映画を数多く見始め、映画関係者や英米出身の日本研究者、日本の文化人とも交流することができました。1949年に帰国し、大学を卒業、1954年に再び来日し、ジャパン・タイムズの映画評や書評を執筆していました。その後、ニューヨーク近代美術館の映画キューレターも務め、1983年には第1回川喜田賞を、受賞しています。著作は英語で多数執筆され、翻訳されているものもたくさんあります。主な著書に『小津安二郎の美学 映画のなかの日本』『黒沢明の映画』『映画のどこをどう読むか』など。
「エドワード二世」を演出した当時は、二度目の来日から15年たったころでした。プログラムによると、このときの上演をもとに「エドワード二世」の映画を製作し、次の年の春に上映予定だったようです。「翻訳に際しては、5幕を2幕とし、登場人物も少くし、現代性を強調しました。」とあるように、役はかなりカットされていたようです。もしも、かなうのならば、見比べて観てみたいですね。
演劇についての言及は少ないのですが、参考までに、ドナルド・リチーのインタビュー「反逆とユーモアの詩的映画の世界」がこちらで読めます。( 「イメージフォーラム」誌2000年冬季号より)
http://www.imageforum.co.jp/richie/rch-intv.html
日本ではなかなか上演されないマーロウ。ぜひ今回の「エドワード二世」、日本での本格的な初めての上演をご覧ください!(ま)
↑ ドナルド・リチー