2013年9月
2013年9月4日
王エドワード二世とは?
以前のブログにもありますように、エドワード二世(1284~1327、在位1307~27)は実在のイングランド王です。シェイクスピアの作品で新国立劇場でも上演された史劇のタイトルにもある、ヘンリー六世やリチャード三世よりも100年以上前の王様です。
エドワードというと、新国立劇場のお芝居を観てくださっているお客様には耳慣れた王様の名前かもしれません。
2009年の「ヘンリー六世 三部作」と2012年の『リチャード三世』にはエドワード四世が登場していました。エドワード四世(1422~83、在位1461~1483)はヨーク家の出、薔薇戦争の時代、プランタジネット家のヘンリー六世(1421~1471、在位1422~1461)を退位させ、王となりました。その後は病死し、弟のリチャード三世が王位に就くことになります。「ヘンリー六世 三部作」約9時間におよぶ上演の幕切れは、このエドワード四世の台詞でした。「これからは、永遠の喜びがはじまるのだ。」 新国立劇場では両作品ともエドワード四世は、今井朋彦さんが演じていらっしゃいます。
この時代の薔薇戦争のおおもとは、エドワード二世の息子、王子エドワード、のちのエドワード三世(1312~77、在位1327~77)―この『エドワード二世』にも登場します―の子どもたちです。ときの王ヘンリー六世はエドワード三世の四男の血を引き、エドワード四世の父、ヨーク公爵は、父方はエドワード三世の五男の血筋、母方は同じくエドワード三世の三男の血筋でした。それゆえ、ヨーク家は四男の血を引くプランタジネット家ヘンリー六世よりも優位であると王位継承権を要求した争いとなりました。
また、エドワード三世はフランス王フィリップ四世の娘、イザベラの息子ですので、フランスの王位継承権を主張し、ついに1337年フランスに宣戦布告。百年戦争が始まりました。これが、ヘンリー六世の時代にまで続く英仏百年戦争の始まりです。
シェイクスピア作「ヘンリー六世 三部作」、『リチャード三世』時代よりも百年以上前の歴史を扱った『エドワード二世』ですが、なんとなく親近感が湧いてきませんか?!(ま)