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コラム&ブログ

2014年2月10日

演出家カスパー・ホルテン インタビュー

Kasper Holtenトリミング
新制作「死の都」を演出するのは、英国ロイヤルオペラのオペラ部門のディレクターであり、気鋭の演出家として世界各地で活躍するカスパー・ホルテン。

美しく幻想的な舞台に、ホルテン独自の解釈が光るプロダクションについて、そして自身のキャリアについて大いに語る。

「死の都」は20世紀のオペラの最高傑作のひとつ

――ホルテンさんとオペラ「死の都」との出会いについて教えてください。

ホルテン(以下H) 実のところ、フィンランド国立歌劇場から「死の都」の演出の話をいただくまで、このオペラについてはそれほど詳しく知らなかったのです。でも作品を聴いてみて、たちまち魅了されました。コルンゴルトの音楽は、リヒャルト・シュトラウスやワーグナーなどの後期ロマン派音楽と20世紀のハリウッド映画の間に位置し、とても親しみやすく、身振りの大きな表現をもち、初めて聴く方もすぐに引き込まれるに違いません。さらに聴けば聴くほど、見事なオーケストレーションなど、様々な発見があることでしょう。私自身は、20世紀のオペラの最高傑作のひとつだと考えています。

――今回のプロダクションは2010年にフィンランド国立歌劇場で上演されたものですが、演出にあたって何を出発点とされましたか?

H このオペラについて調べる中で、ひとつ気になった点がありました。主人公のパウルは妻を亡くし、そのことから立ち直れず、精神的に病んでしまっているわけですが、彼がオペラの中で妻のことをまだ生きているかのように延々と語るのを聞くとややうんざりしてしまうのではないか、という点です。その上、最後で「夢でした」と言われると、聴衆はパウルにあまり共感できないのではないか、と。そこでかなり早い段階から、私は外部の視点からパウルを見るのではなく、彼自身の視点から世の中を見る設定にしたいと思いました。すなわち、彼が精神を病んでいるのではなく、周りがおかしいのだと。そのため、この演出ではパウルの亡き妻マリーを舞台に登場させ、女優に演じてもらうことにしました。マリーはパウル(と聴衆)にしか見えず、他の登場人物には見えません。パウルの〈現実〉では、マリーはまだ生きていて、彼は彼女に話しかけ、笑いかけ、寝食を共にしているわけです。
たとえば新しい恋人のマリエッタが第1幕で歌う有名なアリアの場面でも、パウルとマリーは聴きながらそっと見つめ合うのです。でもマリエッタはその三角関係には気づきません。ようやく第3幕でマリエッタは、パウルにとってマリーはまだ死んでいないことに気づき、その時に2人の女性の間で対決が起きるのです。

――全幕を通して単一のセットですが、ブラインドや照明を巧みに使って、パウルの家と“死の都”と呼ばれるブルージュの街の両方を描き出していますね。

H 基本の舞台はパウルの家の中の、妻の遺品が所狭しと飾られている“思い出の部屋”です。セットは、ロンドン・オリンピックの開会式のセットも担当したエス・デヴリンによる壮麗なデザインです。さらに死の都ブルージュの街を反映させるべく、部屋の外に街をパノラマ風に浮かび上がらせました。ブルージュの街並みはグーグル・マップから発展させたものです。最新のデジタル・テクノロジーも取り入れているわけです(笑)。
窓のブラインドを開けると街が見えるようになっており、街が舞台の第2幕ではブラインドは完全に開けられ、街がパウルの部屋に侵入してくる形にしました。すなわち、自分の世界の中に引きこもろうとしても、完全にシャットアウトすることはできないということを表現したかったのです。

――照明もそうしたパウルの心理を浮かび上がらせているようで、印象的でした。

H はい、オペラ全体を通じてパウルの頭の中、彼の心理状態に光を当てようとしました。それこそがオペラの醍醐味だと思うんです。私はオペラとは、世界を表面からではなく内側から見た時にどう感じられるか、ということを表現できる芸術だと考えています。内側から見ることで世の中はもっと奥深く、複雑で、困難で、あるいは刺激的かということがわかり、オペラはそうしたことを表現する言語をわれわれに与えてくれるのです。

私の演出のなかで、もっとも誇りに思う作品です

――ホルテンさんは9歳で初めてオペラを見て以来、オペラの魅力にとりつかれたと聞いていますが、何に惹かれたのでしょうか。

H 私は銀行家一家に生まれ、両親は文化への関心はありましたが、音楽やオペラの専門的な知識はまったくありませんでした。テレビがない家庭に育ったことが大きかったのかもしれませんが、8歳の時に両親と初めて演劇を観にいった時に、物語をこんな形で舞台に実現できるということに強い衝撃を受けました。その後、オペラというものがあるらしいということを知り、両親にオペラに連れていってほしいと頼みました。それが9歳の時に観た「カルメン」です。
今思えば、9歳の自分がオペラのどこに惹かれたのかはっきりしませんが、あらゆる芸術形態――音楽、ドラマ、演劇、詩、美術など――が一体となっている点が強い魅力だったように思います。

――その後、どのような道を経て、オペラの演出家になったのでしょうか。

H 1990年代、デンマークでは小さなオペラ・カンパニーがたくさん活動していたのですが、国内で演出ができる人が少なかったので、早くからさまざまな機会を得ました。ちょうど20年前、20歳の時にマイケル・ナイマンのオペラを演出したのが私の演出家デビューでした。それと並行して、デンマーク王立歌劇場で多くのすぐれた演出家のアシスタントを務め、彼らがどのように仕事をしているかを実地で学びました。
23歳の時、オーフス・サマー・オペラのディレクターになった頃から、オペラ・カンパニーの運営にも興味を持つようになり、26歳でデンマーク王立歌劇場の芸術監督に就任しました。最初の仕事が新しい歌劇場の建設と〈リング・ツィクルス〉の演出で、忘れられない体験となりました。2011年からは英国ロイヤル・オペラのディレクター・オヴ・オペラを務め、また演出家としても活動を続けています。昨シーズンはロイヤル・オペラで「エフゲニー・オネーギン」、アン・デア・ウィーン劇場でベルリオーズの「ベアトリスとベネディクト」を新演出しました。

――最後に、今回「死の都」初めて観るオペラ・ファンにメッセージをお願いします。

H このオペラは少し前まではめったに上演されなかったのに、最近とみに人気が高まり、各地で取り上げられています。私がフィンランドで演出した時が「死の都」の同国初演で、ほとんどの人がこの作品を知らなかったんです。ところが上演してみたら、誰もがすっかり夢中になり、2013年秋には再演されることになりました。ですので、日本の皆さんもきっとその虜になると思います。特にリヒャルト・シュトラウスなど後期ロマン派の音楽がお好きな人は、魅了されること間違いなしです。
私はこれまで60作以上のオペラの演出をしていますが、この「死の都」の演出は私がもっとも誇りに思っている作品のひとつです。

――ホルテンさんの自信作とのことでますます期待が高まります。本日はありがとうございました。

インタビュアー:後藤菜穂子(音楽ライター)
<ジ・アトレ9月号より>

カテゴリー:インタビュー

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上演を待ち望まれていた傑作オペラ「死の都」。最強の布陣でついに登場! 2014年3月12日~3月24日まで上演。

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