研修生による〈アリアをもっと楽しむ秘訣!〉連載⑨『ウェルテル』より「手紙の歌」『LE PROMESSE 2021~アリアコンサート~』
新国立劇場オペラ研修生による『LE PROMESSE 2021~アリアコンサート~』では、各自が自身のレパートリーとなるオペラ作品やアリアについて研究を深め、研修を積んだ成果を皆様にご披露します。
現在、研修生たちは11月21日の公演に向けて、本格的にリハーサルを重ねています。
連載で、各自が歌う曲目について、研修生自身が皆様にその魅力や楽しみ方をご案内しています。
今回の案内役は、大城 みなみ(第24期生)です。
【研修生による〈アリアをもっと楽しむ秘訣!〉】
オペラ『ウェルテル』より「手紙の歌」
作家ゲーテの代表的な小説『若きウェルテルの悩み』を題材としたJ.マスネ作曲の全4幕のオペラ『ウェルテル』。
原作のウェルテルのモデルとなった人物はゲーテ本人とピストル自殺をした知人です。
この小説は18世紀後半にヨーロッパ中でベストセラーとなり、そのおよそ100年後、マスネによってオペラ化されました。
今回演奏するのは第3幕冒頭のシャルロットのアリア「手紙の歌」です。
1780年代夏のドイツ、大法官の娘シャルロットは、若き詩人のウェルテルから愛の告白を受けますが、彼女には既に婚約者がいました。その後9月に新婚3ヶ月を迎えたシャルロットはウェルテルと再会し、彼から再び愛を打ち明けられます。
心揺さぶられながらも彼女は拒絶し、クリスマスまで会わない方が良いと告げ別れます。
クリスマス・イブの夕方。
シャルロットは、ウェルテルが発ってからも心の中にいつも彼がいたことを吐露し、彼からの手紙を読み返します。
その手紙には、孤独さや楽しかった頃を懐かしむ気持ちと共に、自殺を仄めかすことが書かれていました。
このよう孤独を彼に強いた自分の無力さや彼への気持ちに苦悶しながらも、この物語の悲惨な結末を彷彿とさせる音楽と共に彼女は手紙を読み終えます。
大城 みなみ OSHIRO Minami メゾソプラノ
国立音楽大学卒業。同大学院修了。『ジャンニ・スキッキ』チェスカ役で出演。
オペラ研修所試演会『ジャンニ・スキッキ』より(2021年7月公演)〈写真中央右・チェスカ役〉
撮影:平田真璃
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