研修所ニュース

研修生による〈アリアをもっと楽しむ秘訣!〉連載③『ロデリンダ』より「キューピットの翼を使うのは」『LE PROMESSE 2021~アリアコンサート~』



新国立劇場オペラ研修生によるLE PROMESSE 2021~アリアコンサート~では、各自が自身のレパートリーとなるオペラ作品やアリアについて研究を深め、研修を積んだ成果を皆様にご披露します。
現在、研修生たちは11月21日の公演に向けて、本格的にリハーサルを重ねています。

連載で、各自が歌う曲目について、研修生自身が皆様にその魅力や楽しみ方をご案内しています。

今回の案内役は、森 翔梧(第22期生)です。

【研修生による〈アリアをもっと楽しむ秘訣!〉】

オペラ『ロデリンダ』より「キューピットの翼を使うのは」


オペラ『ロデリンダ』は1725年にヘンデルによって作曲されました。この作品は7世紀のランゴバルド王国の内紛から題材を得ています。


今回演奏するのはトリノ公爵ガリバルドのアリアです。彼は作中で策略を巡らせ、虎視眈々と王座を狙う野心家として描かれています。

ガリバルドは、前国王ベルタリドから王位を簒奪したグリモアルドに、前王の妹であり、婚約者であるエドゥイージェの愛を拒むよう仕向け、逆に自分が彼女と婚姻を結ぼうとします。しかし結婚自体には何の価値もなく、彼女には一片の愛情もありません。

物語中ガリバルドは終止狡猾な男であり、最後の大団円には登場できませんが、私は中途半端な悪人よりよほど好感が持てます。


聴いてくださる皆様にも、共感していただけると幸いです。



森 翔梧
 MORI Shogo バリトン

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東京藝術大学卒業。同大学院修了。『イオランタ』エブン=ハキヤ役、『悩める劇場支配人』ストラビーニオ役、『ジャンニ・スキッキ』シモーネ役で出演。レパートリーに『フィガロの結婚』バルトロ



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オペラ研修所試演会『ジャンニ・スキッキ』より(2021年7月公演)〈写真中央・シモーネ役〉 撮影:平田真璃