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研修生による〈アリアをもっと楽しむ秘訣!〉連載⑤『ラ・ボエーム』より「私の名はミミ」『LE PROMESSE 2021~アリアコンサート~』



新国立劇場オペラ研修生によるLE PROMESSE 2021~アリアコンサート~では、各自が自身のレパートリーとなるオペラ作品やアリアについて研究を深め、研修を積んだ成果を皆様にご披露します。
現在、研修生たちは11月21日の公演に向けて、本格的にリハーサルを重ねています。

連載で、各自が歌う曲目について、研修生自身が皆様にその魅力や楽しみ方をご案内しています。

今回の案内役は、内山 歌寿美(第23期生)です。


【研修生による〈アリアをもっと楽しむ秘訣!〉】

オペラ『ラ・ボエーム』より「私の名はミミ」


今回演奏するのは、プッチーニの代表作のうちの一つ『ラ・ボエーム』の、ミミが自己紹介をする場面でのアリアです。


ロドルフォが一人急ぎの原稿を執筆しているところに、明かりが消えてしまったので火を点けて欲しいとミミがやって来ます。ろうそくに火をもらったミミは一旦立ち去りますが、鍵をロドルフォの部屋に忘れたことに気づき再び戻ってきます。

二人で鍵を探している時、風で火が消えてしまい、暗闇の中、手探りとなります。ロドルフォは鍵を先に見つけますが、そのことを隠し、二人の手が触れあった時、ロドルフォは自己紹介を始めます。そして、ロドルフォに次は君のことを話して欲しいと言われ、ミミも自分の好きなことや暮らしぶりを歌います。


このアリアで、ミミはただ自己紹介をしているだけではありません。ロドルフォのことは以前から気になっていて、ようやく話す機会ができたのです。
はじめに名前を伝え、少しずつぽつりぽつりと自分のことを話し始めます。そして「詩が好きなのよ」と、詩人であるロドルフォに伝えます。

また、彼女は自分が一人であることをとても強調しています。そうすることによって、「私は寂しいので、あなたと過ごしたい」というアピールをしていると考えられます。

話しているうちにどんどん自分の世界に入り込んでいくミミですが、最後には「あなたの邪魔をしに来たの」そして、「あなたに会いたかったから会いに来た」と思わせるような言い方で締めます。


そんなちょっぴりあざといミミの可愛さを表現できればと思います。


内山 歌寿美 UCHIYAMA Kasumi ソプラノ

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大阪教育大学卒業。京都市立芸術大学大学院修了。『悩める劇場支配人』ドラルバ役、『ジャンニ・スキッキ』ラウレッタ役、ゲラルディーノ役で出演。



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オペラ研修所試演会『ジャンニ・スキッキ』より(2021年7月公演)〈写真左・ラウレッタ
                                             撮影:平田真璃

 

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