演劇研修所ニュース
おススメ!『トミイのスカートからミシンがとびだした話』②見どころは?
第19期生公演『トミイのスカートからミシンがとびだした話』(11月11日(火)~16日(日))の開幕まで、残り一か月を切りました。
『トミイ』の見どころの一つは、作家・三好十郎の劇世界そのものです。
三好は『トミイ』のあとがきの中で次のように書いています。
「必要なのはブツブツと叩き切つたマグロのドテのような現實のひとかけらであつて、それの持つている意味や意義はどうでも良いと思うことがある。そう言う氣持ちから書いた作品が私にいくつか有る。この『トミイ』もそのようなものの一つだと言える。
この中にはハッキリしたテーマは多分無い。しかし現實は在る。又、この中にはどのような意味でのモラルも無い。しかし人間はいる。これを善と取ろうと惡と取ろうと讀む人見る人の自由だ。」
全10場、それぞれの場面にドラマがあり全体として大きな物語が描かれます。また、一人ひとりの人物描写にも生々しい本性や様々な人生がそのまま感じられます。それは正にマグロのドテのよう、じっくり味わっていただけることと思います。
『トミイ』は、三好が主宰していた戯曲座によって1951年11月に初演されました。当時、三好は稽古場で俳優たちに向かって「生きるんだ。その場で生きるんだ!」「まるごとの自分をさらけ出し、まるごと役に生きるんだ」と、厳しく檄を飛ばしていたそうです。(石崎一正、「回想・戯曲座」、悲劇喜劇1984年11月号)
演出の田中麻衣子も、三好作品は「心身ともに全力で立ち向かわないと太刀打ちできません。」と言っているように、俳優たちには、非常なる真剣勝負が求められます。
熱量の高い作品に、若い俳優たちは全身全霊を込めて臨んでいます。
上演は11月11日(火)から16日(日)まで、新国立劇場小劇場にて。詳細はこちら。チケット絶賛発売中!お見逃しなく!