演劇研修所ニュース
第19期生公演『トミイのスカートからミシンがとびだした話』稽古場だより(12名掲載完結)
11月11日(火)より、いよいよ『トミイのスカートからミシンがとびだした話』の開幕です。
出演する第19期生からの、公演にかける意気込みと見どころを日替わりでお届けいたします!
九鬼源造/靑年一/學生二 役:井神崚太(いがみ・りょうた)

【意気込み】
『トミイのスカートからミシンがとびだした話』を読んだ時に、登場人物たちの魂がぶつかりあうような激しい熱量と、一歩も止まらぬ生の力強さを感じました。戦時、そして戦後を生きた彼らは、何を必死に守り抜こうとしていたのか。戦争という経験が、彼らの人生をどう変えたのか。自分なりに深く向き合い、考え続けてきました。その中で感じたのは、人が生きていく事の尊さや、溢れて噴き出す人間のエネルギーです。舞台上でも、その熱を自分の中に持ち続け、真っ向からぶつかりたいと思います。
【見どころ】
トミイが、この作品の中でどんな道を選び、何を抱えて進んでいくのか。その姿を皆さんにも一緒に見届けて頂けたらと思います。
三好十郎さんが言葉に込めた思いや叫びを通して、登場人物たちの息遣いや葛藤が浮かび、ぶつかり合う瞬間があります。
そこに生まれる人間の強さと脆さを、劇場で感じていただけたら嬉しいです。
春子/見世物小屋の女 役:田村良葉(たむら・かずは)

【意気込み】
三好十郎さんの作品に演じる側として触れるのは今回初めてで、戦後のリアルな描写をどう演じていくのかが、とても難しいと感じています。三好十郎さんの言葉をまだ自分のものにできておらず、作品全体の理解度もまだまだ足りていないなと感じています。たくさんの方に見てもらうからという理由はもちろんありますが、1人の俳優として諦めずに最後まで向き合いたいし、後悔のないようにたくさんのことに挑戦していかねばならないと感じました。私は春子という人物を演じますが、春子ならどうするだろう、どう考えるだろう、どんどん舞台ではみせないような細かいところを沢山探っていきます。千秋楽まで楽しみます!
【見どころ】
この作品は富子の人生の一部分に焦点をあてて描かれています。パンパンという商売をしていた彼女がどう生きていくのか、足を洗った先で待ち受ける困難とどう向き合うのかはよく見ていただきたいです。また、富子の周りの人物はどう変わっていくのか、それぞれどこに向かっていくのかそれぞれの人生をこの作品を見てぜひ想像してもらいたいです。
塚本/健/川本 役:森 唯人(もり・ゆいと)

【意気込み】
研修所での3年間ものこりあと半年を切りました。
観客として舞台を観劇するともう少しでこの世界にがむしゃらに挑戦していくんだと怖くなるのと同時にワクワクします。
敵であり一番の味方はやはり自分自身だと思う日々です。
今回の作品を立ち上げるにあたって、その自分をよく見つめるところから始まりました。
一生かかる作業だと思っています。
毎日が自分の最高到達点になるよう大真面目で大馬鹿に挑戦していきます。
是非、劇場でお待ちしております。
【見どころ】
今回は休憩前までに登場する役の三役を演じます。三役はもちろん年齢も違えば境遇も違います。一つの演目で演じ分けを見せることはとても貴重な経験だと思います。
任せていただいたからには、それぞれの役に「人間らしさ」が滲みでるように悩んで遊んでいきたいと思います。
お杉/看護婦 役:向井里穂子(むかい・りほこ)

【意気込み】
「みんな喋りすぎやろ。」
本作品を読んではじめに浮かんだ感想です。
しかし、こんなにも膨大で肉厚な言葉たちを誰かに、自分に、そして社会に吐き出さずにはいられない程の熱が、当時の日本には渦巻いていたのだと、どこか憧れを感じている自分がいます。
人と対峙してのコミュニケーションが希薄になりつつある今、作中で繰り広げられる体当たりの会話は、生々しく、痛みすら感じさせるものかもしれません。しかしそこには、ただ人間そのものがある、目をそむけたくなるような醜さと美しさがある。時代を越えてなおも私たちの心に響く、戦後日本の輝きを、人間という生き物の魅力を、皆様にもお届けできればと思います。
【見どころ】
作中に登場する人物一人ひとりが、一癖も二癖もあり、休む間もなく、極彩色のような会話が繰り広げられていきます。三好先生が残された、荒々しくも血肉の通った言葉たちを存分に味わっていただけるよう、毎日奮闘しています。
ジェットコースターのように凄まじい勢いで展開されていく物語、即ちトミイの人生を、劇場で共に辿っていただければと思います。
平助/佐伯 役:和田壮礼(わだ・たけのり)

【意気込み】
長い研修期間と、夏の朗読劇を経て、ようやくがっつりとお芝居!という感じの舞台をやれるようになりました。これだけの期間がありながらも俳優としてあらゆる部分が全く足りていない自分と、その先のプロの世界に至る道程の長さに気づいて絶望の毎日です。ですが、苦しいと同時に楽しさとやりがいをとても感じています。今の自分達の粗さ、未熟さ、若々しさの中に、少しでも魅力的なものを見つけて、磨いて光らせていければと思います。私たちの身に余るような演出やスタッフの方々がいること、そして戯曲自体が圧倒的に面白いこと、これらを信用して最後まで妥協せずに素晴らしい作品にしてみせます。
【見どころ】
劇作家三好十郎によって描かれる言葉や話の力強さが見どころだと思います。三好自身が経験した、日本が直接関わった戦争のある時代に生きた人々の弱さ、醜さ、したたかさ、あらゆるものが描かれているように思います。そうしたネガティブな要素も含めて人間を徹底的に見つめた、とても歯応えのある作品になっています。
狂介/靑年二/靑年 役:菊川斗希(きくかわ・とき)

【意気込み】
僕が今回演じる流しの艶歌師・狂介は、戦争を生き抜いて復員した兵士です。戦場での過酷な体験や、帰還後の社会とのギャップから、内面に深い傷と複雑な感情が渦巻いています。
この役を演じていて、しばしば「理屈ではない」と強く感じる瞬間があります。言葉や論理だけでは到底説明しきれない感覚があり、考えれば考えるほどその感覚は遠のく一方で、逆に考えなければ近づけないという矛盾も感じています。まるで永遠に続くかのような、この感覚と毎回の稽古で向き合っています。
それでも、「理屈ではないなにか」を、僕なりの表現でお客さまに届けます!
【見どころ】
流しの艶歌師なので、ギターを弾く場面が少しありますが、僕はギターは全くの初心者で、今回が初挑戦となります。
現在、猛特訓中ですので、ぜひギター演奏にも注目していただきたいです!
そして、何よりも一癖も二癖もある個性豊かな登場人物を19期生が「一人の人間として」演じる姿を、心に刻んでほしいです!
スガ/女の聲 役:千田 碧(ちだ・あお)

【意気込み】
現在のように法も社会も整備されていない、雑多で混沌とした時代を描いた戯曲は、悲惨さや不条理もありながら、どこかやはり魅力的な雰囲気を感じさせてくれます。
本作を扱う中で、当時の色町や、身体を売る女性の方々のお写真、資料を見るたびに、煌びやかな世界という漠然としたイメージでしかなかったものが、少しずつ現実味を帯びて心に届いてきました。戦後、混乱した日本情勢の中で、生き抜くことがどれだけ難しかったのかということが、ひしひしと伝わってきます。
美しい化粧や衣装で飾られた彼女たちの裏側にある葛藤や苦しみ、そしてそれに負けない強さや情熱を表現することに、正面から向き合っていきたいです。
【見どころ】
トミイの周りにいる人々は、身体的に、そしてそれ以上に精神的に濃密な関わりを持っています。戦争や病気の影におびえながら、苦しい日々を生きていようとも、決して絶望に浸ることなく、力強く語り合い、互いを励まして生きています。鮮やかな生命力がぶつかりながら編まれてゆく物語の変遷を楽しんでいただけると幸いです。
藤村/金森/中年男 役:﨑山新大(さきやま・しんた)

【意気込み】
今回、私の配役は平たく言えば「悪い人」になります。「悪い人」と聞いた時、私の頭に浮かぶのは狡猾で残忍な、他者に対して攻撃的な印象です。一方私は気弱な性格で、このタイプの役どころは、私から遠い所にある気がして苦手でした。ただ、三好十郎の力強い文体を通して見えてきた悪い人達は、過酷な状況を乗り越えて生きていく中で、自分を守る為にそうでしか生きられない、弱さと不器用さがありました。私とは立ち振る舞いが違うだけだと知ると、グッと距離が縮まった様に思います。どこか憎めない、強くて弱い部分が伝わると嬉しいです。
【見どころ】
三好十郎さんの繊細にも大胆に、日常的でありながら劇的に描かれたこの作品に、田中麻衣子さんの演出も加わる事で、戦後の話でありながら、富子をはじめとする、登場人物たちを近しく感じてもらえるはずです。その個性的な人物たちの懸命に生きようとする姿から、心を動かされるエネルギーをぶつけられるのが1番の魅力です。
德平/八郎/學生一/紳士 役:中島一茶(なかじま・いっさ)

【意気込み】
この戯曲を読んだとき、言葉に飲み込まれるような感覚を覚えました。日々の稽古の中で何かを発見し、それが本当に真実として成立するのかを検証する。その過程を繰り返すうちに、「もっと演出家のオーダーに応えたい」と強く感じるようになり、今出せるもの全て出し惜しみのない稽古を重ねています。
僕たちの力を信じてくれているのなら、それに応えないわけにはいきません。煮詰まっても考え続け、嫌というほど顔を合わせてきた同期、そして演出家の田中麻衣子さんと共に、一つの作品をつくり上げていく。そのプロセスが、プロフェッショナルな俳優として舞台に立つ勇気を与えてくれると信じています。
【見どころ】
戦後昭和、激動の中「せざるを得ない」世界で強く生き抜いた人々と一人の女性の物語。
人が前に進み続け、その中で営みが変化していく尊さを感じる舞台です。
家族、友人、仲間、時代と自身の周りが変化する中でも目に映るものがどのように変化し、それぞれの選択をとらせるのか。一癖も二癖もある登場人物達が強く生きている作品です。
べス 役:野仲咲智花(のなか・さちか)

【意気込み】
朗読劇から、ついにストレートプレイへ。人間が人間を演じる、表現するというのはやっぱり難しいなど痛感しています。難しいなんてものじゃない!毎日頭の中をぐちゃぐちゃにして稽古にしがみつく毎日です。でも、それがとっても楽しいです。この作品に出会ってから、人間らしいとは何かをたくさん考えました。人間ってこうだよなあ、こういうことしちゃうよなあ、生きていく中で、自分に経験はなくてもそう感じる瞬間は何度もあると思います。そういうものを皆様にも感じていただきたいなと、日々人間を研究し、この作品を素敵なものにしたいです。
【見どころ】
とにかく色んな人がでてきます。戦後を生き抜く熱い人間がたくさん出てきます。それぞれのキャラクターが、生きていくためにどうするのか、どうやって生きていくのかという部分にも着目していただきたいです。さらにパワーアップした19期で素敵な作品をお届けします!
律子/おかみ 役:辻坂優宇(つじさか・ゆう)

【意気込み】
飯を食うため、食わせるため、生きるため、そのために働く、稼ぐ。そこに悲しさや苦しさは有るようで無い。でも、無いようで有る。「人間」を舞台の上で立体化させていくことはこんなにも難しいのかと頭を悩ませています。役と、同期と、稽古を通して色んなところへ旅をし、理屈じゃないなにかを見つけていきたいです。
今回、身を置いている環境が全く違う二役を任せていただきました。どちらも一筋縄ではいかない!三好さんの書いた力強いことばたちからエネルギーをもらい、大らかにそして軽やかに、愛をもって向き合います。
【見どころ】
富子と律子が二人っきりで会話をするシーンがあります。たった二人です。毎稽古緊張しています。チャレンジさせていただけることがとても嬉しいです。噛み締めて、頑張ります。他にも素敵で魅惑的なシーンがたくさんあります。この作品の持つ熱を最大限にお届けできるよう、日々着実に積み上げていきたいと思います。
富子 役:大田真喜乃(おおた・まきの)

【意気込み】
「生きる」ということ。それは本当に難しくて、
【見どころ】
この作品の登場人物たちは曲者揃いで人間味あふれる人たちばかり