R.シュトラウス ばらの騎士
元帥夫人:カミッラ・ニールント
オックス男爵:ペーター・ローゼ
オクタヴィアン:エレナ・ツィトコーワほか

シーン3(第3幕)

では、このオペラの第3幕の最後のシーンを見てみよう。愛人のオクタヴィアンにゾフィという新しい同世代の恋人ができたことを認めた上で伯爵夫人が身を引くところである。ゾフィが父親のファーニナルと一緒に入ってくるシーンがある。とてもきれいなシーンだが、子供の使い方に注意したい。さきほどオクタヴィアンに“ばらの騎士”としてファーニナルの家に行くようにと伝言したあの子供と同じ子供を、部屋の外で待たせている。ファーニナルと伯爵夫人が部屋の中に入ってオクタヴィアンとゾフィに別れを告げる間、子供は召使なので外で待たされている。そして、ファーニナルと伯爵夫人が出ていく時に彼も一緒に出て行かなければいけないのだが、彼は実は部屋の中をちらちら見ている。さっきのクッキーと一緒で部屋のテーブルの上にあるブドウを見ているのだ。ブドウを食べたい、食べたいと思って見ているのだが、出て行かなければいけなくなって出ていくわけである。最後に感動的なこのゾフィとオクタヴィアンの二重唱が終わって二人が出ていく。舞台は空っぽになってもう何もなく幕が下りるのかなと思ったら、その子がゾフィたちがいなくなったのを見て、戻ってきてブドウをつまみ食いをして終わるという、そういうところがミラー氏らしいひねりの部分である。さっきは男がクッキーを食べていたが、今度は子供がブドウをねらっているという。感動的なシーンなので余りそこばかり注目されるよりも音楽に浸ってほしいと思うシーンなのだが・・・。

Images