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佐藤正宏さんのわが町

続いてはウェッブ家のお父さん。佐藤正宏さんです。

平成元年6月、中国・北京の夕方。

舗装されて間もないような、車の通りも少ないなだらかな坂道の大きな道路を ―自転車に跨って坂を進んで行く男、自転車にはリヤカーが繋がって、リヤカーでは座っておさな子に乳をやる女。家族なのでしょう。

 父親は、リヤカーと妻と子の重さと上り阪の分も入れて、右・左、身体をかしげながらペダルを漕ぎ続ける。母親と子供は、静かに乳を飲ませ、飲み続ける。長くて大きな坂道を、家族は上り続けていました。止まったようなオレンジ色の夕方の中、自転車とリヤカーだけが動いているようでした。

 親子は『わが町』の坂道の向こうにある『わが家』へ、帰るところだったのでしょう。

 ―天安門事件の10数日前の北京、での事でした。

吉久智恵子さんのわが町

続いてもさいたまゴールドシアターの吉久智恵子さんの登場です。

私の「わが町」15まで育ったあの村だろうか?

山もあり海もあり四季折々果物の花が咲いていたあの村のことをいうのだろうか、4人の兄弟の一番下で育ったあの村は「わが街」だろうか、兄が63才の時痴呆症にかかり病院に入院して初めて実家に帰った。

50年近く離れていた町は案の定駅も町並みも全く昔の面影はなく私は一旅人になってしまいたかった、でも兄に会いたくて会いたくて町を走った、兄が病気になってしまったのは私のせいか?

私があのまま何事もなく15才を通過してれば兄はあんな病気にならなかったのでは、もしなったとしても発病はもっと遅かったのではないか、兄がこんな風になってはじめて兄の手が握れた。

なにもかも兄のせいにして終わらせてしまい私も先生も学校も普通の生活にもどってしまった。あそこは「わが街」ではない。

竹居正武さんのわが町

続いてはさいたまゴールドシアターの竹居正武さん

僕の疎開先は山梨県塩山。

昭和18年、生まれてすぐに僕は塩山山(えんざんやま)の麓に ある母の実家に疎開した。小学校に入学するまで塩山で過ごしたので、小さい頃の想い出がいっぱい詰まった大切な町だ。

もの不足の厳しい状況の中で、自分の子供達と同じよう に僕達兄弟に接してくれた伯父さん伯母さんは、とっても優しい人だった。従姉妹と五右衛門風呂ではしゃいだのも懐かしい。

塩山を通過する時、僕は、甲府盆地の端にぽっかり と小さな島のように浮かぶ緑豊かな塩山山を、ありがとうと感謝しながら、車窓から飽かずに見詰め続ける。

第4回  今から『わが町』ってのをやります。

 水曜ワイルダー約1000字劇場、芸術監督補佐の水谷です。

 先週の続きで・・・ええっと、『わが町』で「全裸」舞台とか、「舞台監督」という本来なら表舞台には立たない人を舞台に出して、道具をセットするところをわざと見せたり、ワイルダーは一体何を狙っていたんでしょう。その舞台監督の最初の台詞は「このお芝居のタイトルは、Our Town、『わが町』」というものです。若い方なら、「あれ、それってチェルフィッチュの『クーラー』の最初と似てる!」と思うかもしれません。逆に私はチェルフィッチュの『ホットペッパー、クーラー、そしてお別れの挨拶』を見たとき、「クーラー」が「今から『クーラー』ってのをやります」という台詞で始まったのを見て、「あれ、これって『わが町』の最初と同じだ」と思いました。ここで岡田利規さんがワイルダーに影響されてるとか、そんなことを言うつもりは全然ありません。多分、岡田さんはワイルダーを知らないんじゃないかな(知ってたら、ごめんなさい)。でもこの結びつけようもない二人は、多分、これから舞台でやるのは「〈お芝居〉なんですよ」ということを強く意識して前面に押し出している、という点では共通しているのではないでしょうか。(チェルフィッチュの芝居もほとんど何もない舞台ですね。)

 お芝居って不思議な行為ですよね。舞台の上でどんなに本物らしく見せても、所詮はすべてが「嘘」なんですから。その嘘を隠して「本物らしさ」を追及するのがお芝居なのか、それともその嘘を堂々と白日のもとにさらしてしまうのがお芝居なのか? どちらも「アリ」だと思いますが、少なくともワイルダーは後者の立場を取ることが多いようです。それに、岡田さんに限らず、現代の若い演劇人の多くは、ごく当たり前に「嘘」を堂々とさらけ出していますよね。

1938年、初演の堂々たる嘘(水谷)©New York Public Library

 ワイルダーはあるエッセイの中で、演劇が他の芸術と異なっている点を4つ上げています。

1 演劇は多くの共同作業に基づく芸術である。
2 演劇は群集心理に語りかける。
3 演劇は虚偽に基づき、その本質ゆえにさらなる虚偽の増殖を呼び起こす。
4 演劇のアクション(筋・出来事)は永遠の現在において展開する。

 なかなか魅力的で、的確なまとめ方ですね。裸舞台や舞台監督による道具のセットなど、どうも3番目の特色に関連があるようです。ワイルダーは嘘を演劇の特質と考え、それを隠すのではなく、むしろ積極に見せていたわけです。でもこれはワイルダーの専売特許ではありません。ずーっと昔から行われてきたことです。一番わかりやすいのは・・・やっぱりシェイクスピアですかね。

 あ、もう1000字を越えてる。続きはまた来週・・・どうも1000字だと窮屈ですね。来週から約1250字劇場にしようかな・・・どうです?

内藤大希さんのわが町

続いてもBoys&Girls、内藤大希さんの登場です。

僕の生まれ育った横須賀は

海と山が近くにあり、潮の香りと季節ごとに楽しめる景色の中で過ごせます。

子供の頃よく海で泳いでバーベキューしたり、釣りをしたりと浜辺での思い出がたくさんあります。

山では遊歩道を登るとアスレチックや公園がありおもいっきり遊べる大好きな場所でした。ちょっとふざけすぎてしまい頭にケガをしてしまった…といういやな思い出もありますが…自然の中で自由になれる今でも好きな場所の一つです。

横須賀は外国人も多く、生活スタイルの違いは、とっても刺激的です。カラフルな色使いの洋服、冬でも半袖Tシャツ…自分の着たい物を着たい様に着る!!他人を気にせず自分流に着こなすセンスや精神にはちょっと魅了させられます。

異国情緒豊かで自然が多く残っていて、海からの風を感じる事のできるこの町はとても居心地が良く落ち着く事のできる僕の「わが町」です。これからも「わが町」を深く愛していきたいと思います。

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