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高橋宙無さんのわが町

続いてはBoys&Girlsの高橋宙無さんです。

杉並区、阿佐ヶ谷団地

ここが私が小学校4年生まで過ごした思い出の“わが町”だ。

15年振りにこの地を訪れてみた。

ここに立つと忘れていた思い出までもが蘇ってくる。

当時、よく連れていかれたラーメンショップ「ダイキン」。

ラーメンを注文すると何故かサラダが付いてきた。

でもサラダが一番美味しい。

そんな「ダイキン」は今はもうない。

初めてのお遣いを頼まれたパン屋「アイフル」。

緊張のあまりレジの前でパンを抱えたまま小便をもらしちまった。

それが原因ではないと思うが、「アイフル」も今はもうない。

午後の団地はとても静かだ。

泥だらけになってはしゃいだあの公園もとても静かだ。

錆びてたブランコは取り外され、とても静かだ。

夕暮れ時になっても、漂ってくるのは秋の香りだけで辺りは静まり返っている。

この団地は近々取り壊されるらしい…

静かに目を閉じた。

目の前ではしゃぐ悪ガキどもは嫌という程騒がしかった。

そう、これこそが私が過した“わが町”だ。

神尾冨美子さんのわが町

続いての登場はさいたまゴールドシアターの神尾冨美子さんです。

能登半島の中心部に位置し、半農半漁の寒村で生まれました。

通学路をはさんですぐ下には入江はせまり、また反対側は小高い丘となり、その中腹にわが国民学校がありました。学校から眺める入江のなんと素晴らしい事。入江の向う側に見える低い山並は、途中で切れ、それを補うかのように反対側からは民家の立ち並ぶ岬がつき出ています。その間をカキ養殖用の筏を避けながら手漕ぎ舟が通って行きます。「オーイ…じいちゃ~ん…」「オーイ」と声が返って来ます。

60年を過ぎた今、その入江は競艇場に変身し、「オーイ」と叫ぶ声は山びことなって消えて行きました。然し、向うに見える山並と、手前の岬は、私の記憶を裏切る事はありませんでした。

第9回  星や月が語ること

 明けましておめでとうございます。水曜ワイルダー約1000字劇場、衣装担当の水谷です。『わが町』初日まで、10日を切りました。楽しみですねぇ。

 さて、暮にはワイルダーの作品に見られる「死」という要素について書きましたが、新年の最初は、死と同様に彼の作品に頻繁に出てくる月や星のことについて考えたいと思います。『わが町』の一幕の後半には、見事な月が登場します。三幕では、きれいな星が夜空を飾ります(と言っても、両方とも目には見えませんが)。どちらの場面でも町の人々は空を見上げます。

 人間は大昔から星空に目をやり、そこにさまざまな物語を読み込み、地上の人生と関連づけてきました。そんな宇宙観がもっとも良く視覚化されているもののひとつがロバート・フラッド(1574-1637)という英国の魔術師、と言うか、錬金術師の『両宇宙誌』という書物にある大宇宙と小宇宙の対応図です。この図では小宇宙たる人間が宇宙の中心に位置し、惑星が小宇宙とその中心を「一」にして同心円上に広がっており、天体と人間世界が密接な関係にあり、対応していることを示しています。そしてこの宇宙を創造し、かつロープで回転させているのが神であることは言うまでもありません。

ロバート・フラッド、『両宇宙誌』より

 わたしたち人間が現実世界よりもっと大きな次元の何かとつながっているのだという感覚は、人間存在の根源的なところから湧き起こってくる「希望」のようなものに近いかもしれません。上の図は近代的な科学や天文学からすればナンセンスなものかもしれませんが、近代科学だって、この世の森羅万象を解明できているわけでもないから、非・科学的と恥じ入ることもないですよね。

 ワイルダーは星の瞬く夜の時間に哲学者の名前をつけて登場人物にし、哲学書や聖書の言葉を語らせたり、惑星にコーラスをさせたり、かなり非・科学的なことを好んでしています。『わが町』も『危機一髪』も「おやすみなさい」という台詞で終わりますが、夜の時間は人間の理性が休息し、その隙に理性とは別の相の知性が働くのだと考えていたのかもしれません。ワイルダーは20世紀としては時代錯誤とも言えるような、少し超自然的、神秘的な考えを若い頃から持ち続けていたようです。

 『わが町』の原型ともなった「MとNの結婚」の草稿が書かれているノートの表紙の裏には「この世界は超自然的な要素が日常生活の中に導入されなければ、ただの幻想に過ぎない。この世界は天空の巨大なドラマに比べれば、幻想に過ぎない。それ故、人は演じることができる」という興味深いメモを残したりしています。

 一見無価値に見える現実世界の些事、笑いと悲惨が渦巻く眼前の風景の向こうには、その一つ一つに意味を与える大きな体系が広がっているのだと、ワイルダーは確信していたのだと思います。そしてその体系とこの世をつなぐ方法こそ、彼にとっての演劇だったのではないでしょうか。

明けました!!

みなさま、明けましておめでとうございます!!!
年末はすっかり更新できずにおり、多方面からツッコミを受けた(も)です。
申し訳ありませんでした!!
さあ、年も明けましたので、心を入れ替えて、更新に努めたいと思います
宜しくお願いいたします!!!

というわけで、本日より年末年始でお休みしていた稽古が再開されました。
同時に劇場では仕込みがスタート♪
さあ、初日まであと9日、もうラストスパーーーーート!という感じです。

稽古場では年始の挨拶もそこそこに、早々に通し稽古が行われました。
しばらくのお休みの後の稽古ですから、なんとなくみなさん、こわごわ始まった稽古でしたが、一度走り出したらそんな数日のブランクは吹っ飛びます。
さすがです。

さて、見るたびに、グッと来るポイントが変わるのが、この芝居「わが町」。
お正月明けだからか、今日は家族の在り方について、深く考えました。
この戯曲が書かれて70年、科学は目覚ましい進歩を遂げ、
時代は目まぐるしく変わっていったように思われていますが、
実は人間は、人の営みは、何一つ変わってないんですね~。

両親がいて、子供たちがいて、それぞれを心配したり喧嘩したり。
小さい時からかわいがってくれてる近所のおじさんやおばさんにも怒られたり。
そうして大きくなって、人を好きになって。

間もなく初日を迎える「わが町」、本当に一人でも多くの方に観ていただきたい!
と胸を張って言える作品に仕上がりつつあります。
新年最初のご観劇は、ぜひ新国立劇場で!!!
お待ちしてます♪

(おまけ)
すっかり更新をさぼっている間に行っていた公開稽古の模様です

佃井皆美さんのわが町

皆さま、新年明けましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
いよいよ「わが町」の初日も、来週に迫ってまいりました。稽古もますます、白熱を帯びています。
新年第一段は、1500人を超えるオーディションで、見事、エミリー役を射止めた佃井皆美さんのわが町です。
私のわが町は生まれ育ったさいたま市です。
都会でもなく田舎でもない、とても暮らしやすいところです。                               
山も海もない平地で、高層ビルもあまりありません。                                                           
そんな、一見取り柄の無さそうなわが町の自慢できるものといえば「夕日」です!                              
障害物が無いので、空がすごく大きくて、夕方になると夕日の暖かいおれんじ色の光がわが町をまんべんなく包み込んでくれます。                              
私はその夕日が大好きで、今でも夕日を見るたびに地元にいる大好きな人達の顔が浮かんで、励まされるような気持ちになるんです。                              
久しぶりに実家に帰ると町は少しずつ便利になっていってますが、「夕日」だけはずっと変わりません。
私にとってさいたまの夕日はホッとさせてくれる特別な夕日です。

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