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鵜山さん 蒲田の日本工学院専門学校に行く

公演初日から10回目の上演を経た11月7日(土)、鵜山さんは、これから「ヘンリー六世」第一部の芸術鑑賞を行う、日本工学院専門学校・蒲田キャンパスのクリエイターズカレッジ声優・俳優科の学生約200名に特別講義を行いました。
大教室で行われた特別講義は、シェイクスピアの生きた時代や「ヘンリー六世」の史劇的な楽しみ方や人物関係などの見どころ、稽古を収録した映像を交えて、殺陣の難しさなど、劇場で演劇を観るだけではなかなか分からない演出面についても、解説しました。
また、講義後半では、質疑応答を行い、「演出の仕事とは?」、「鵜山さんは脚本を書いたことはありますか?」など、鵜山さんの仕事に関する突っ込んだ質問が、たくさんありました。
1時間半の講義を熱心に聞いてくださった日本工学院専門学校の学生のみなさま、ご来場を心よりお待ちしております!

書籍紹介 ⑩

福尾芳昭 著 『シェイクスピア劇のオペラを楽しもう』(2004年 音楽之友社)

 シェイクスピアを原作とするオペラの解説本。あらすじと作曲家紹介から原作との相違までを詳説。サリエリの『ファルスタッフ』からライマンの『リア王』までを取り上げる。

 著者によれば、世界の全オペラの約1%がシェイクスピア原作であり、この割合はゲーテ、プーシキンを凌駕しているそうである。つまり、イギリスはオペラの輸出国ではないが、オペラ原作の輸出では世界一といえるのだろう。

 ところで、シェイクスピア原作オペラの第一人者といえばもちろんヴェルディだが、もう一方の雄、ワーグナーにもシェイクスピア原作オペラがあるのはご存知だろうか。二作目の『恋愛禁制(Das Liebesver-bot)』というオペラで原作はなんと『尺には尺を』(この“暗い喜劇”を選んだところがいかにも彼らしいが)。このオペラは「ワーグナーはイマイチ苦手」という人にぜひおススメ。何より明るく、序曲冒頭から楽しげな雰囲気満載である。二幕のフリートリヒ(原作のアンジェロ)の独唱では後年の片鱗を覗かせる充実した響きが横溢。日本でも若杉弘=都響による演奏会形式、東京オペラプロデュースによる上演(再演は新国立劇場中劇場)などがあり、録音ではサヴァーリッシュ盤(プライの熱唱)が感動的である。

 21世紀に初演されたオペラには、『テンペスト』(トーマス・アデス作曲)がある。コヴェントガーデンでの貴重なレパートリーとなっており、作曲者本人の指揮によるCDも発売された。こちらはキーンリィサイドやボストリッジが好演。新国立劇場にも出演済みのシンディア・シーデンが超高音域でのエアリエルを聴かせる。ただあまりにコロラトゥーラすぎて言葉はほとんど聞き取れない。観劇者の言によれば、舞台美術も含めたトータルな演出が素晴らしかったとのこと。BBCが収録した映像のDVD化を切に希望するところ。

 もう一枚CDの紹介を。

 『シェイクスピア・ソングス』。イギリスの往年の名カウンター・テナー、アルフレッド・デラーが残したアルバムでLP時代からの名盤である。オフィーリアやデズデモーナなどが当時、劇中で歌っていたであろう歌を集めたものだが、デラーの素朴で虚飾のない、澄んだ歌声がストレートに聴く者の胸を打つ。特にエアリエルのアリア二曲は、まさに妖精?と錯覚するほど玄妙な歌唱で絶品というほかない。

書籍紹介 ⑨

ローレンス・オリヴィエ 著/倉橋 健、甲斐萬里江 訳 『演技について』(1989年 早川書房)

 不世出のシェイクスピア俳優、オリヴィエが役作りについて赤裸々に語った俳優指南書。数々のシェイクスピアのタイトル・ロールを演じた彼らしく、一章まるごとシェイクスピアに割いている。

 『リチャード三世』は最初はやりたくなかったらしく、過去に評判のいい舞台があるので自分には分が悪くなる、と思っていたようだ。面白いのは役作りの研究を始めると、イメージと並行して声のトーンを決める、という件。彼曰くリチャードは“細いが、細見の剣のように鋭い、力強い声”だそうだ。この声は幸運なことに、彼自身の監督・主演映画で我々も見る(聴く)ことができる。余談だが、この映画では冒頭のリチャードの独白に『ヘンリー六世』第三部からの「つけたし」を行い、長大な独白となっている。私見ではオリヴィエの沙翁映画では最も飽きずに見ることができる。

 巻末に詳細な、オリヴィエの出演舞台、映画、テレビのリストつき。

 『ON ACTING』 Laurence Olivier

書籍紹介 ⑧

レイマンド・フィッツサイモンズ 作/松岡和子 訳 『エドマンド・キーン』(1985年 劇書房)

 実在した天才俳優、キーンを語り手にしたモノローグドラマ。ドゥルリー・レイン劇場の楽屋を舞台に、最期の時を迎えようとする彼が人生を振り返る。リチャード三世、シャイロックなど数々のシェイクスピアの主役を当たり役にした俳優に相応しく、シェイクスピアの台詞が劇中ふんだんに登場。彼らの心境とキーンの胸中とが共鳴しあう。

 冒頭、芝居の幕開きが『ヘンリー六世』第三部第五幕第六場、リチャードの台詞(実際にはコリー・シバー翻案『リチャード三世』第一幕第二場)。そのあとも『ハムレット』『マクベス』『オセロー』『リア王』『コリオレイナス』『アテネのタイモン』と続き、シェイクスピア好きにはこたえられない作品。ロンドンでは『ガンジー』のベン・キングスレイが83年に演じ、日本では85年に江守徹が西武劇場(現パルコ劇場)にて上演した。

 同じキーンが主役でサルトルにも作品があり、こちらは滝沢修、平幹二朗、江守徹(新国立劇場中劇場)、市村正親らが過去に演じている。

 『EDMUND KEAN』 Raymund FitzSimons

大学校の様子です

昨日、今日と開催した「シェイクスピア大学校」の様子です。

連日何百人というお客様が、講師の先生の話に集中しています。

終了後はサイン会が行われ、長蛇の列の大盛況でした。

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