書籍紹介 ⑪
2009年 11月 17日|スタッフ
小谷野 敦 著 『リチャード三世は悪人か』(2007年 NTT出版)
なんとも刺激的なタイトルである。さぞ、挑発的な内容で奇想天外な説が展開されているだろう、と思いきやこれがなんと、ちゃんとした英国史から始まり、シェイクスピアのリチャード像、リチャードの実像をめぐる論争の歴史、そして要となるエドワードの王子殺しの検証へと展開する、至極まともな(失礼!)リチャード論なのである。しかも文章は平易、引用や比喩も豊富でぐいぐい読ませる力をもっている。現時点での日本語で書かれたリチャード論の決定版と言ってもよい。第一章の百年戦争から薔薇戦争への解説など、『ヘンリー六世』観劇前にぜひ一読をお勧めします。
後半の、マクベス、リア王、オセローの各論も秀逸。
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