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トスカ
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過酷な運命に翻弄された歌姫の物語。情熱的な愛と悲劇のドラマ

トスカ

あらすじ

歌姫トスカの恋人・画家のカヴァラドッシは、反体制派。彼を逮捕させたローマの警視総監スカルピアは、恋人の助命の交換条件にトスカの体を求める。追い詰められたトスカは、テーブルにあったナイフでスカルピアを刺し殺す。偽の銃殺刑のはずだった恋人が本当に銃殺され、彼女には総監殺しの追っ手が迫る。絶望したトスカは「スカルピアよ、神の御前で」と叫び、聖アンジェロ城の屋上からその身を投げる。

トスカ

トスカをつけ狙う男として描かれたオペラのスカルピア

オペラの悪役といえばすぐに思い浮かぶのが「トスカ」のスカルピアです。他の悪役、悪党は、どこか可愛いところがあったり、同情すべきところがあって憎めないことも多いのですが、スカルピアに味方するのはかなり難しいかもしれません。
実は、「トスカ」の原作であるフランスの劇作家サルドゥの戯曲『ラ・トスカ』に出てくるスカルピアのキャラクターは、オペラとは少し異なります。こちらのスカルピアは、物語の前半ではトスカに対してあまり興味を示していません。第二幕はオペラと同じファルネーゼ宮殿ですが、スカルピアの居室ではなく宴が催されている大広間が舞台になっており、スカルピアはそこで(オペラには登場しない)マリア・カロリーナ王妃に「アンジェロッティを逮捕できねばお前の立場は危うくなりますよ」と釘を刺されます。一方オペラでは、スカルピアは最初からトスカを狙っています。第一幕の幕切れに民衆が教会で「テ・デウム」を歌う中、スカルピアは「トスカ、お前はわしに神を忘れさせる!」と心情を吐露します。そして第二幕冒頭のモノローグでは、自分は女性を優しく口説く色男ではない、望んだ獲物を追い、飽きたら捨て去って次の獲物を探すのだと語ります。つまり戯曲よりもオペラのスカルピアの方がトスカに執着しており、しかも漁色家であることが強調されているといえるでしょう。そしてプッチーニの音楽は、スカルピアのこれらのセリフを強烈に彩っているのです。

Digest Movie

  • 【作曲】ジャコモ・プッチーニ/1898~99年
  • 【原作】ヴィクトリアン・サルドゥ『ラ・トスカ』
  • 【台本】ジュゼッペ・ジャコーザ、ルイージ・イッリカ(イタリア語)
  • 【初演】1900年1月14日/ローマ/コスタンツィ劇場
  • 【制作】新国立劇場2000年
  • 【構成】3幕/約2時間
  • 【演出】アントネッロ・マダウ=ディアツ
  • 【美術】川口 直次
  • 【衣裳】ピエール・ルチアーノ・カヴァッロッティ
  • 【照明】奥畑 康夫
  • サロメ
  • トスカ
  • ドン・ジョヴァンニ
  • トゥーランドット
  • オテロ
  • 魔笛