音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
Sergei PROKOFIEV
1891年現ウクライナのソンツォフカ生まれ。ペテルブルグ音楽院で作曲とピアノ、指揮科を専攻。卒業後、バレエ・リュスを率いるディアギレフに薦められ、ロシア的な題材のバレエ音楽を書き始める。ロシア革命後、アメリカ滞在を経て1936年には祖国へ戻る。共産党政権下の厳しい状況の中で精力的に活動を続け、作曲家として高い地位を築く。1953年没。
振付:フレデリック・アシュトン
Frederick ASHTON
1904年、南エクアドルに生まれる。英国人ダンサー、振付家。アンナ・パブロワの舞台を見てバレエを志し、英国に戻って学業を終えた後レオニード・マシーンに入門。さらに、マリー・ランベールほかの著名教師に師事して種々の舞台に立つ一方、26年に処女作『ファッションの悲劇』を発表する。28年にはパリのイダ・ルビンスタインの舞踊団にダンサーとして参加し、ブロニスラヴァ・ニジンスカの作風に強い影響を受ける。35年英国ロイヤル・バレエの前身であるヴィック・ウェルズ・バレエにダンサー兼首席振付家として招かれる。同時期に入団し、やがて英国最高のバレリーナに成長するマーゴ・フォンテインに多くの新作を振り付け、バレエ団発展の原動力となるとともに、英国バレエ独自の気風を確立した。63年には設立者ニネット・ド・ヴァロワの後を継いでロイヤル・バレエの芸術監督に就任。70年の退任後も80年代半ばまで創作を続け、88年に英国サセックスにて永眠。主な作品として、『シンデレラ』『ラ・フィーユ・マル・ガルデ』『二羽の鳩』『夏の夜の夢』『田園の出来事』などがある。
監修・演出:ウェンディ・エリス・サムス
Wendy Ellis SOMES
ランカシャー州ブラックバーンに生まれる。地元のバレエ学校で学んだ後、奨学金を得てロンドンのホワイトロッジおよびロイヤル・バレエ学校に進む。1970年にロイヤル・バレエに入団、75年にソリスト、79年にはプリンシパルに昇格する。『ロメオとジュリエット』『眠れる森の美女』『シンデレラ』『エリート・シンコペーション』『ファサード』『ライモンダ』『ゼンツアーノの花祭り』『ジャズ・カレンダー』『ジゼル』『エニグマ・ヴァリエーションズ』『レ・パティヌール』『レ・シルフィード』『ラ・バヤデール』『夏の夜の夢』『シンフォニック・ヴァリエーションズ』『誕生日の贈り物』などの主要な役を踊り、90年に引退。ロイヤル・バレエでマーゴ・フォンテインをパートナーにアシュトンの傑作を多く踊ってきたマイケル・サムスはアシュトンから『シンデレラ』と『シンフォニック・ヴァリエーションズ』の著作権を譲られたが94年に死去したため、彼女が夫の仕事を引き継ぎ、ロイヤル・バレエをはじめ世界中の多くのバレエ団に同作品の指導を行っている。
© Linette Raven
監修・演出:マリン・ソワーズ
Production Directed, Supervised and Staged by Malin THOORS
ストックホルム生まれ。スウェーデン王立バレエ学校を経てスウェーデン王立バレエに入団。クルベリ、キリアン、ファン・マーネン、マクミラン、アシュトン、バランシン、ブルノンヴィル、クランコ、フォーキンなどの振付家作品を踊る。ロンドンでベネッシュ・ダンス・ノーテーションとステージングを学び、英国ロイヤル・バレエで活躍、アーティスティック・スタッフとしてバランシンの活動期からオランダ国立バレエで指導。パリ・オペラ座でバランシンの「ジュエルズ」を指導したことがきっかけで、同バレエ団で指導者として活躍することになる。バランシン作品のステージングやアシュトン、P.バール、ラコット、ミルピエ、ヌレエフ、ラトマンスキーなどの振付作品のリハーサル指導にあたる。現在もアシュトン作品のステージングのため世界各国で活躍中。
装置・衣裳:デヴィッド・ウォーカー
David WALKER
セントラル・スクール・オブ・アーツ・アンド・クラフトで学んだ後、リバプール・シアター・ワークショップにてジョアン・リトルウッドとともにデザインの仕事を始める。1964年アシュトン振付英国ロイヤル・バレエ初演『夏の夜の夢』の衣装デザインをはじめ英国ロイヤルオペラ、ストックホルム・ロイヤル・オペラ、エジンバラ・フェスティバル、テアトロ・マッシモ、フェニーチェ劇場、メトロポリタン・オペラ、ジョフリー・バレエ、ボストン・バレエ、カナダ国立バレエ、シュトゥットガルト・バレエなどに招かれ、世界中の多くの劇場でオペラ、バレエ作品の舞台美術や衣裳デザインを手がけた。2008年死去。
照明:沢田祐二
SAWADA Yuji
東京生まれ。文化庁派遣在外研修員としてロンドン、ベルリンで演劇、オペラ、バレエの照明法を学ぶ。現在は演劇、オペラ、バレエ、ミュージカルなど幅広いジャンルで照明デザイナーとして活躍。新国立劇場におけるバレエ公演では『眠れる森の美女』『ホフマン物語』『シンデレラ』『ロメオとジュリエット』『ライモンダ』『白鳥の湖』『ジゼル』『マノン』『カルメン』『オルフェとエウリディーチェ』『椿姫』『火の鳥』『パゴダの王子』など。日本バレエ協会公演『白鳥の湖』『ジゼル』『眠れる森の美女』『アンナカレニーナ』なども手掛ける。他に新国立劇場ではオペラで『カルメン』『魔弾の射手』『黒船』『修善寺物語』『鹿鳴館』『夜叉ヶ池』など。演劇では『城』『わが町』『アジア温泉』『ピグマリオン』。第1、10回照明家協会賞大賞、文部大臣奨励賞。第1回読売演劇大賞最優秀スタッフ賞。第33回紀伊国屋演劇賞。第1回橘秋子舞台クリエイティブ賞を受賞。
指揮:マーティン・イェーツ
Martin YATES
20年余りにわたり多彩なジャンルで活躍してきた、英国人指揮者。ピアノ、作曲、指揮を学んだ後、イスラエル・ナショナル・オペラで指揮者としてデビュー。以降、英国内のロンドン交響楽団、フィルハーモニア管弦楽団、ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団、バーミンガム市立交響楽団、ロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー、ハレ管弦楽団などのオーケストラに客演し、ヨーロッパ各地の管弦楽団に招かれている。スウェーデン室内管弦楽団ではマーク=アンソニー・タネジの『A Prayer Out of Stillness』の世界初演を指揮。また一流の伴奏者としても評価が高く、ホセ・カレーラス、バーバラ・ヘンドリックス、ブリン・ターフェル、モンセラート・カバリエ、ロベルト・アラーニャ、アンジェラ・ゲオルギュー、ヨーヨー・マら世界的に有名な芸術家と共演している。一方ではミュージカル指揮者としても知られており、ウェスト・エンドのミュージカルのヒット作の音楽監督を多数務めている。バレエは音楽活動の中心的位置を占めており、英国ロイヤル・バレエとは、2004年2月にストラヴィンスキー作曲『アゴン』でデビューして以来、これまでに『マノン』『ロメオとジュリエット』『うたかたの恋』『七つの大罪』『白鳥の湖』を指揮したほか、同団の公演に同行している。ノルウェー国立バレエ団、フィンランド国立バレエ団にもたびたび客演し、成功を収める。新国立劇場では、12年『マノン』、14、16年『シンデレラ』16年『ドン・キホーテ』『ロメオとジュリエット』を指揮している。