2016/2017シーズン ジークフリート2016/2017シーズン ジークフリート

新国立劇場新国立劇場
2016/2017シーズン リヒャルト・ワーグナー 楽劇「ニーベルングの指環」第1日2016/2017シーズン オープニング公演 リヒャルト・ワーグナー 楽劇「ニーベルングの指環」第1日
<新制作> ジークフリート Richard Wagner “Der Ring des Nibelungen” Erster Tag Die Walküre<新制作> ジークフリート Richard Wagner “Der Ring des Nibelungen” Erster Tag Die Walküre
2016年10月 【全3幕/ドイツ語上演/字幕付】 2(日)14:00 5(水)17:00 8(土)14:00 12(水)14:00 15(土)14:00 18(火)17:002016年10月 【全3幕/ドイツ語上演/字幕付】 2(日)14:00 5(水)17:00 8(土)14:00 12(水)14:00 15(土)14:00 18(火)17:00

『ジークフリート』 真に自由な英雄の成長物語『ジークフリート』 真に自由な英雄の成長物語

新国立劇場オペラ芸術監督 飯守泰次郎

飯守泰次郎飯守泰次郎

『ジークフリート』は、一人の人間が成長していく過程を描いた物語です。若者が、人格形成の各段階で多かれ少なかれ経験する心理状態が、実に生き生きと描かれます。自分のアイデンティティを探し、母親に憧れ、やがて異性への憧れに目覚め、父親的な存在(養父、祖父)を踏み越えていく過程は、まさに生身の人間の成長そのものです。
周囲と次々に衝突し、破壊しながら成長していくジークフリートの姿は、西洋的な成長過程の典型です。しかも彼は、真に自由で創造的な英雄です。単に周囲の環境を破壊するだけでなく、新たに目覚めさせていく要素を持っています。名剣ノートゥングを鍛え直して秘めた力を覚醒させ、洞窟に眠る大蛇ファフナーを目覚めさせ、炎に囲まれ山頂に封じ込められていたブリュンヒルデの眠りを解きます。

英雄ジークフリートの成長ぶりを描くワーグナーの音楽は、大胆不敵なエネルギーが爆発するかのようです。剣をへし折り、養父ミーメを殺し、大蛇を退治し、さすらい人(ヴォータン)の槍を打ち砕く、といった彼の狼藉ぶり、過剰ともいえるこのエネルギーが、創造的な発展へと見事に結びついています。「怖れを知らぬ」若さというものは破天荒な側面があります。本当の創造は、行き過ぎと思えるほどの破壊を経てこそ到達される、ということは、西洋の歴史が証明しています。
この楽劇は、ワーグナーとは到底思えないような、軽やかな、あるいは透明で繊細な音楽が多いことも特別な魅力のひとつです。第1幕でさすらい人が去った直後、ミーメの妄想の場面の奇怪な響きは、表現派あるいは印象派を思わせます。第2幕でジークフリートが、会ったことのない母親への思いを独白する場面は大変デリケートで、有名な「森のささやき」の場面も空気と光が透けて見えるようです。第3幕でジークフリートが炎を乗り越え、ブリュンヒルデの眠る静かな岩山に到達する場面、そして長大な愛の二重唱のなかでブリュンヒルデが「私は永遠の時を生きてきた」と歌う場面の「ジークフリート牧歌」の音楽も、驚くほど透明で繊細です。一般的なワーグナーのイメージである、重厚さや聴き手に強要するような力とは全く異なる、フランス音楽に近いような意外な表現が大変効果的です。

この楽劇では、次々と事件が起きる部分の合間に、物語の進行が止まって話の展開を振り返るような“問答”あるいは“対話”の場面が数多く出てきます。言葉(テキスト)の多さ、音符の数の多さも際だっています。まず第1幕がミーメとジークフリートのやりとりで始まり、各幕において登場人物は様々な組み合わせで対話します。第3幕の最後の愛の二重唱にまで、問答が含まれています。これによって物語の意味となりゆきが聴き手に明らかになり、過去・現在・未来が立体的に理解されるのです。このような問答の場面で、示導動機が変容しながら極めて効果的に用いられ、聴き手を案内します。

『ジークフリート』における大蛇ファフナーは、人間の所有欲を体現しています。財産を所有して眠っている姿は、まさに資本主義の最も否定的な一面です。しかし、そのファフナーが息絶える場面は、深く心打たれるものがあります。資本主義社会が行き詰まり、様々な問題を抱える時代に私たちは生きています。恐れを知らぬジークフリートが、過去を破壊して新しい時代を創っていく姿は、私たちに勇気を与えてくれます。長大な愛の二重唱は「リング」の中で最も幸せな場面であり、オーケストラの全強奏によるハ長調の最終場面で、歓びは絶頂に達します。ワーグナーの圧倒的な音楽で、この最高潮の瞬間を皆様に体験していただきたいと思います。

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