見どころ&ものがたり

見どころ

アイルランド人のオスカー・ワイルドが初めてフランス語で書いた『サロメ』。
小説家、平野啓一郎による見事な現代語の新訳『サロメ』。
これを昨シーズンからの宮田芸術監督のテーマである、【JAPAN MEETS…】の流れで、フランス語からの翻訳を平野氏に依頼。氏にとっては初めての翻訳ながら、それはさすが小説家の物語全体における登場人物の役割、位置を明確に把握したうえでの、ポップな日本語による『サロメ』が誕生した。
これまでの『サロメ』の印象をがらりと変えるほどの魅力的な翻訳である。
この平野版『サロメ』の演出にあたるのは、ストレートプレイでは新国立劇場初演出となる宮本亜門。タイトルロールに抜擢されたのは多部未華子、これまでの官能的で肉感的なサロメ像とは全く異なり、清純なイメージ、若くまっすぐな性格の新しいサロメ像にぴったり。そしてヨカナーンに成河、母ヘロディアに麻実れい、へロデ王に奥田瑛二と実力とともに今回の新しい『サロメ』を創りあげる役柄にぴったりの布陣が結集。さらにオーディションで選ばれた26人の男優陣。群集劇ならではの多彩な面々による舞台となるに違いない。

ものがたり

舞台はエルサレム、ヘロデ王の宮殿。サロメは王妃ヘロディアの娘で、ユダヤ王ヘロデは義父。ヘロデはサロメの実の父である兄を殺し、ヘロディアを妻としていた。
宴の席で、ヘロデ王に見つめられていたサロメがテラスに逃れると、地下の井戸から預言者ヨカナーンの声が聞こえてきた。サロメは興味をもつ。テラスではヘロデ王がサロメに踊って見せろと命ずる。サロメはその代わりにヨカナーンの首を要求するのだった。