演劇研修所ニュース

修了生からのメッセージ

修了生からの出演情報や近況などのメッセージをお届けしています。
ぜひお楽しみください。

最新号 2023年9月11日(月)更新



2023年9月号

「Look@me! 挑戦と成長の旅」 -第14期 渡邊清楓(わたなべ・さやか)


「私をみて!」をテーマとしたこの企画、"静岡県障害者文化芸術活動支援センター みらーと"さんの主催で障害を持つ方と共に『銀河鉄道の夜』を上演いたします。
私はひょんなことから演出・構成・脚本を担当させて頂くことになりました。
共生や多様性といった言葉は昨今よく見かけるようになりましたが、正直なところ壁を感じる部分はまだあります。芸術においてもそうです。鑑賞者としても、表現者としても機会や条件は限られているのが現状です。 そんな現状を嘆くより、まずはやってみたい!やってみよう!というエネルギーを出発点に稽古に取り組んでいます。

稽古場での目標は大きく2つ。
舞台に立つ瞬間瞬間を楽しむこと
ちょっとだけ背伸びしてみること
のびのびと稽古をしながら変化していく出演者の皆さんの姿を見ることは、とんでもなく楽しいです!私自身"演出"を担う事は初めてなので、どうしたらみんなが楽しく輝けるかを日々考えながら一緒に成長している最中であります。

きっかけはどんなことでも構いません。
ただ色々な人に"何か"影響が広がれば良いなと思います。
舞台芸術に挑戦したい方、一緒に挑戦しましょう。
何か感じることがある方、一緒に考え悩みましょう。 実のところそんなに難しいこと考えるような作品にはならないので、「見て!」一緒に楽しんで頂ければ幸いです!!

Look@me!2023
『銀河鉄道の夜』

会場:MIRAIE リアン コミュニティーホール七間町
2023年9月24日(日) 13:30開演

「最近のこと」 -第14期 加部アカネ(かべ・あかね)


こんにちは!第14期生の加部アカネです。
最近新しい作品に参加させていただくと、"知り合いの知り合い"だという方にお会いすることが非常に多くなりました。世間は狭い...というより、自分の交友の輪が広がったなと思う今日この頃です。

先日、事務所の若手グループ『#ネオジェネ』でTikTokを始めました!
作・演出・撮影など全て自分たちで行うショートドラマを投稿しています。初めてのことばかりで模索していますが、それを楽しみつつ取り組んでいます。
是非ご覧ください!
#ネオジェネ[TikTok]

7月には俳優座劇場にて舞台『Les Misérables〜惨めなる人々〜』に出演させていただきました。
あの有名なレミゼラブルの物語を、あの憧れの俳優座劇場で。素敵な体験をさせていただきました。

そして10月、舞台『アオイの花』に出演させていただきます。
6月に上演した公演の再演です。写真はその時の。
楽しくお芝居させていただいています。是非お越しください!

"STRAYDOG"30th Anniversary Produce
『アオイの花』

会場:シアターグリーンBASE THEATER
2023年10月19日(木)~22日(日)

「日常の延長線上にある非日常」 -第10期 角田萌果(つのだ・もか)

「特に理由はないけど避けてる話題ってありませんか?例えば政治とか」
そんな問いかけから、『FRAGMENT』の稽古は始まりました。
時に俳優それぞれの経験談に耳を傾け合いながら、人物たちの関係性やシーンの出来事を丁寧に探り、立ち上げていく。そんな幸せな稽古期間でした。

ーーーもし今、戦争になったら。
表現者たちは、どんな選択をするのか。

これが、この作品の大命題です。
「戦争モノ」というと昔の出来事を語り継ぐことが多いですが、今回は違います。

日々、細かいことを見つめながら一生懸命生きてる人たち。
時にシニカルに、時にユーモラスに描かれた彼らを見ていたら、知らぬ間にぐぐっと背中を押されて渦の真ん中にいる。
そんな作品です。

9月18日(月祝)まで。吉祥寺シアターにて。
健康に芝居ができる奇跡を噛み締めながら。
多くの方に観てもらえますように。座組み一同、お待ちしております!

劇団東京夜光 新作公演
『fragment』

会場:吉祥寺シアター
2023年9月8日(金)〜18日(月)

「ひめゆりの夏」 -第7期 岩澤侑生子(いわさわ・ゆきこ)

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留学先の台湾から戻ってきて久しぶりに過ごす日本の夏でした。
北回帰線が通り、一年を通して温暖な気候の台湾よりも、今年の日本の夏の暑さは厳しく感じました。
そして、この夏は17期生の第一回目の修了公演「ひめゆり」に演出助手として関わらせていただきました。
稽古前に沖縄の戦跡を巡り、現地の方からお話しを伺い、ドキュメンタリー映像や数多くの資料をみながら、この作品を今お届けすることの意味を自分自身に問い続けました。
稽古場では、演出の西川さんやスタッフの方々のサポートのもと、ひたむきにこの作品と向き合う17期生と後輩の修了生たちの姿に心を動かされました。
今も世界中で悲しい出来事が止むことなく繰り返されています。過去と現在を繋ぎ、戦争の記録と記憶がぎゅっと詰まったこの作品の上演が、これからも続くことを願っています。

「"柔らかく搖れる"毎日です。」 -第11期 篠原初実(しのはら・はつみ)

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まもなく開幕する、ぱぷりか『柔らかく搖れる』という作品に出演します。
昨年の岸田國士戯曲賞受賞作のキャストを替えての再演で、東京公演のほかに豊岡演劇祭での公演と広島公演もあります。

何かを少し変えるだけで印象が変わってしまうような、とても繊細な作品で、日々演劇の難しさと可能性に圧倒されている毎日です。
ぱぷりかの稽古場はとても風通しがよく、演出家もキャストもスタッフも、対等に意見を出し合ったりわからないことを聞きあえる建設的な場所で、こんないい環境で作品作りができるなんて恵まれているなと日々実感しています。
そんな稽古場でさえ、やっぱり演劇を作ることはとても大変で責任の伴うことだなと痛感します。最近、演劇界でもハラスメントの告発が相次いでいますが、どんなに風通しのいい稽古場でさえ大変な作業である演劇づくりの場に、無駄なプレッシャーやハラスメントが持ち込まれることは、本当に無意味だなと思います。お互いを尊重しあうことが演劇界の当たり前になるよう、全員が努力を続けていくべきだと感じます。
話は少々それてしまいましたが、とにもかくにも、素晴らしい環境で、素敵な作品を素敵な方々と作っています。お時間がありましたら、繊細で豊かなぱぷりかワールドに浸りに、劇場までいらしてください。お待ちしています!

ぱぷりか第7回公演
『柔らかく搖れる』

【豊岡公演】会場:豊岡市民プラザ
2023年9月14日(木)~9月16日(土)

【東京公演】会場:こまばアゴラ劇場
2023年9月20日(水)~10月4日(水)

【広島公演】会場:JMSアステールプラザ
2023年10月7日(土)・10月8日(日)

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2023年6月号

「私たちの『海戦』」 -第8期 滝沢花野(たきざわ・はなの)


研修所の同期・荒巻まりのと「理性的な変人たち」を立ち上げ、旗揚げ公演を行ったのが2019年。第2回公演はコロナ禍で延期の憂き目にあったもののなんとか上演。
この度、ようやく第3回公演まで漕ぎつけました!
公演実現のための準備は? 作品の選び方は? 交渉?助成金? 広報? 配信?...と手探りで進めてきて数年。歯がゆさと大変さは日々感じつつ、やはり自分たちの企画は思い入れもひとしお。
座組での台詞の検証から始めた稽古も、いよいよラストスパートです。来週の本番に向け、より深みを目指して試行錯誤しております。
そうそう、『海戦』という戯曲はなぜか
Mutter!(母!)
と書かれた後に最初のト書きが始まります。台詞でもト書きの一部でもないこれはいったい...?(皆様のご意見うかがいたいです)
私たちの「やりたい!」「やれる!」「そこを何とか!」が詰まった『海戦2023』。
ぜひ多くの方に目撃していただけたらと思います。

理性的な変人たちvol.3
『海戦2023』

会場:アルネ543
2023年7月5日(水)~9日(日)

「二度と戻れない"青春"」 -第14期 五十嵐遥佳(いがらし・はるか)


ドンキホーテに行ったとき「無人島に何か一つだけ持って行けるならドンキしかない」と高校生たちが話していました。
なんて自由な発想だ!たしかに無人島にはドンキを持って行けば全て解決じゃないか!
けれども、私の高校時代は内申、校則、受験にがんじがらめで息苦しかったようにも思います。
ただ、やはり、あの時期は紛れもない"青春"でもあり、二度と戻れない美しい思い出です。
そんな"青春"の舞台『同級生』という作品を7月に下北沢で上演します。

茨木のり子『伝説』に
青春は
自分を探しに出る旅の 長い旅の
靴ひもを結ぶ 暗い未明のおののきだ
という一節があります。
私の役は青春真っ只中の高校生たちを見守る教師の役です。
人生の準備をする若人たちに大人として何を伝えられるのか、日々考えながら稽古しています。
そして、"青春"は高校生だけのものではありません。
私にとっては今も青春かもしれません。
どの世代の方にも劇場で観てほしい作品です。

劇団晴天
『共演者/同級生』

会場:小劇場B1 
2023年7月1日(土)~7月11日(火)

「演劇は世界を変えるか」 -第7期 大塚展生(おおつか・のぶお)

イギリスのロイヤル・セントラル・スクール・オブ・スピーチ・アンド・ドラマという演劇学校で、応用演劇の修士コースにて学んでおります。

応用演劇(アプライド・シアター)とは、簡単にいうと、社会や集団が抱える課題と向き合うための演劇です。特に、演劇のプロではない人々のために、演劇の理論や手法を応用することを指します。

現在は、海外研修として、ケニアのナイロビにあるコロゴッチョというスラム地区にて、小中学校の生徒や薬物のリハビリセンターに通う青年たちと、彼ら自身の物語を語るための演劇をつくっています、

「演劇は世界を変えるか」という問いへの答えはまだ見つかっていません。しかし、演劇との出会いがなければ、私はコロゴッチョに住む人々と知り合い、笑い合うことはなかったでしょう。少なくとも、演劇は私の世界を変えてくれました。同じように、彼らと作る演劇が、少しでも彼らの世界を変えることができればと願っています。


「今のわたしたちにつながる遠い過去の記憶と体験」 -第9期 村岡哲至(むらおか・てつじ)

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遠い過去の記憶、思い出したくないが、ふと訪れる懐かしさや、笑みさえ溢れてくる様な、

痛みと温かさが感じられる彩りある作品。 そんな胸をえぐられる想いと愛おしさを感じられる舞台『トラ』に出演することになりました。

本作では、「イジメ」を題材に、それぞれの「記憶」と「家族」の再生が描かれています。
重いテーマを扱っていますが、「喜劇」としての面もあります。
少年期〜成人期までの16年が描かれているため、今回の作品には多くの登場人物、それもどこか不器用さや不完全さを抱える人物たちが出てきます。
必死だからこそ痛みや可笑しさも感じられる、そんなそれぞれの人生を追体験できるよう、カンパニー一丸となって稽古を積み重ねていきたいと思います。

ご観劇下さるみな様の「記憶」にも、多くの彩りや温かさを感じて頂けますように、
キャスト・スタッフ一同ご来場を心からお待ちしております。

ハイワイヤ 新作公演
『トラ』

会場:下北沢シアター711
2023年6月28日(水)〜7月2日(日)

「シェイクスピアの言葉に浸る日々」 -第4期 今井 聡(いまい・さとし)

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ただ今、シェイクスピア学者の河合祥一郎先生 作・演出の新作舞台Kawai Project Vol,8「悪い仲間」稽古中です。

田代隆秀さん、髙山春夫さん、小田豊さん、そして演劇研修所修了生 今井聡(4期)、菊池夏野(5期)、梶原航(5期)、西岡未央(8期)の7名で河合先生の元、一丸となって製作中です。

シェイクスピアの歴史劇「ヘンリー4世」「ヘンリー5世」をベースにその中の登場人物フォールスタッフに焦点をあて、シェイクスピア作品の名台詞と共にお話を紡いでゆきます。そしてお話は現代にも繋がっていくという、、、

シェイクスピア学者の河合先生ならではの視点からアプローチしたシェイクスピアの翻案劇です。

登場キャラクター達のみせてくれる多角性や普遍性そして言葉の表現の豊かさに、現在も愛されているシェイクスピア作品の奥深さ、面白さを改めて感じる日々です。時代も空間も言葉一つで想像力を使い飛び越える事ができる、演劇ならではの世界に出演者一同浸っております。

Kawai Project Vol.8
『悪い仲間』

会場:早稲田小劇場どらま館
2023年7月1日(土)~7月11日(火)

2023年5月号

「稽古」 -第7期 寺内淳志(てらうち・あつし)

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6月4日に自分が主宰する稽古会の発表会があります。
稽古会とは「トレーニング」の場。 俳優やダンサーが集まって、戯曲を声に出して読んだり、試したいワークを試したり、最近あった嬉しいことや辛いことを話したり、、、。
月に数回、7年近く続けてきました。

続けてきたからといって、自分の中の何がどう変わったのか、どう成長したのかは正直言葉にできません。

しかし、積み重ねてきたことは事実です。

稽古を、し続けました。

時間をかけました。
情熱を注ぎました。言葉を紡ぎました。
思考を巡らせました。身体を躍動させました。感情を揺り動かしました。感覚を研ぎ澄ましました。
命を使いました。

どうやら、それが結果となって現れるのは、もう少し先のようです。
その瞬間をちょっぴりだけ期待して、今日もただただ稽古を続けます。

6月4日、観に来て頂けると幸いです。
稽古会の活動のこと、作品のこと、俳優のこと、一緒に話して深められる時間にします。

無題の稽古会 発表会
『壊れた風景』

会場:急な坂スタジオ ホール
2023年6月4日(日)

「地続きの未来に」 -第8期 荒巻まりの(あらまき・まりの)

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築地小劇場の柿落として上演された、ゲーリングの『海戦』。
この作品を、99年後の今、女性7人の作品として上演します。

1917年に描かれた作品ですが、100年以上経った今でも、私たちの世界には国の戦いで死んでいく人々がたくさんいます。

当時と変わったもの、変わらないもの。
変えられたもの、変えられないもの。

男性7人の戦いを女性7人の戦いとして描くことで、「戦争物」という別世界の話ではなく、私たちの日常のすぐそばに起こりうるリアリティを捉えたい。

国とはなんなのか。
私たちの存在とは何なのか。

今、わたしたちが仕事を選び、食べるものを選び、誰といるかを選び、睡眠時間を選び、体温を調節して生きられているこの奇跡をひしひしと感じながら、

地続きの未来にさえ、それがいつでも一瞬にしてなくなる可能性があるのだということを胸に刻みながら、この戦いに向き合っていこうと思います。

理性的な変人たちvol.3
『海戦2023』

会場:アルネ543
2023年7月5日(水)~9日(日)

「砂まみれのGW」 -第14期 渡邊清楓(わたなべ・さやか)

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GWにストレンジシード静岡2023で上演された『χορός/コロス』に出演しました。

総勢60名以上の出演者は俳優、ダンサー、エアリアルパフォーマーのみならず普段は主婦、会社員、学生など様々な出自の人がいて、更には静岡県外からの参加が半数以上と全国各地から集まっての座組み。
そして劇場は駿府城公園という公園にある広場!
老若男女、津々浦々の人々が文字通り砂まみれになりながらの上演!
たくさんの出会いとエネルギーに溢れた現場は、とても刺激的でした。

『χορός/コロス』は「群衆」の作品です。「群像」ではなく「群衆」。
集団で"人間"という群れを織り成した物語ですが、集団であればあるほど不思議と私たちは"個"があるのだという気持ちになります。
それはプロ・アマが混ざったこの座組みだからこそ、絶妙なバランスで実現できたことでした。
そういう芸術がこの世界にあり続けること、そのことをとても美しく思います。

ストレンジシードは劇場では出会えないであろう作品が街中で上演される"ストリートシアター"の演劇祭です。
来年以降もきっと開催されるので、ぜひGWは静岡へ!




修了生の出演情報もあわせてご覧ください!


次回の更新は10月16日(月)を予定しております。

今後とも、新国立劇場演劇研修所修了生の活躍にご期待ください。そして引き続きのご声援のほど、よろしくお願いいたします!