2013年10月23日
父、エドワード一世(2)
父王、エドワード一世の2回目です。スコットランド侵攻についてお話しましょう。
第1次スコットランド戦争は1297年にウィリアム・ウォレスがイングランド人の州長官を殺害したことに端を発します。その後、ウォレス率いる反乱軍はイングランドとの攻防を繰り返していましたが、1305年にウォレスは捉えられ、反逆者として八つ裂きの刑に処せられました。(「エドワード二世」の劇中にもこの処刑法の名前が出てきますね。)
その後、スコットランド内で権力闘争が起こったのですが、そこで勝利したロバート・ドゥ・ブルースが1306年に戴冠式を強行し、スコットランド王に名乗り出ます。エドワード一世率いるイングランドはスコットランド討伐軍を派遣し、一度は勝利を収め、ロバート自身も北アイルランドの島に逃れます。しかし、1307年、ジェームズ・ダグラスがイングランドに勝利し、次第にスコットランドが挽回していきます。エドワード一世はこの遠征中に病没し、スコットランドは復帰したロバートのもと、勢力を広げ、強大になっていきました。
1314年、イングランドはエドワード二世が大軍を率いてスコットランドに攻め入りますが、バノックバーンの戦い(これも「エドワード二世」の劇中に登場します! )でロバート軍に大敗します。この敗北によって、イングランドはスコットランドにおける統治権を完全に失い、1320年、ついにスコットランドはイングランドから独立することになるのです。
この13世紀末エドワード一世時代、スコットランドの独立と開放を目指して戦った実在の英雄、ウィリアム・ウォレスの生涯を描いた歴史大作、エドワード一世のスコットランド侵攻について、スコットランド側から描かれた映画が製作・監督・主演メル・ギブソンの「ブレイブハート」です。第68回アカデミー賞5部門(作品賞・監督賞・撮影賞・音響効果編集賞・メーキャップ賞)を受賞しました。
13世紀のエドワード一世(パトリック・マッグーハン)支配下にあったスコットランドを舞台に、幼いころに家族を皆殺しにされたウィリアム・ウォレス(メル・ギブソン)が復讐を誓い、祖国解放を願うスコットランドの民衆を率い、自由のために戦う物語。王族よりも貴族の勢力が強い情勢や剣や矢、槍を使う原始的な戦いの様子、処刑の生々しさなどこの時代を伺い知ることができます。エドワード二世(ピーター・ハンリー)やイザベラ(ソフィー・マルソー)も登場し、エドワード二世の寵臣(ギャヴィストンではありません)も登場、フィクションのストーリーも挿入され展開していきます。(ま)