【プレスリリース】新国立劇場オペラ研修所・7月公演『ジャンニ・スキッキ』
新国立劇場オペラ研修所による7月の試演会は人気作『ジャンニ・スキッキ』に決定!
楽しく愉快な作品で、夏オペラをご堪能ください!
▲2016年7月オペラ研修所試演会より(演出・
公演概要
『悩める劇場支配人』(D.チマローザ作曲)などの意欲的な作品に果敢に挑戦し、高い評価を得てきたオペラ研修所による夏の試演会の演目が、プッチーニ唯一の喜劇『ジャンニ・スキッキ』に決定しました!
富豪の遺産相続をめぐる騒動とそれをめぐる若き恋人たちの物語を描いた作品で、ラウレッタのアリア「私のお父さん」はコンサートで歌われることも多く、どこかで耳にしたことのあるポピュラーな曲です。
指揮は昨年の新国立劇場研修所公演「ヤングアーティスト オペラ&バレエ ガラ」でも好評を博した柴田真郁、演出と指導はイタリアで育った粟國淳です。
オペラ界で活躍中の修了生や4月に入所したばかりの第24期生も加わり、チャーミングな舞台を繰り広げます。
どうぞご期待ください!
公演日程:2021年7月31日(土)14:00、8月 1日 (日)14:00
会 場:新国立劇場 小劇場
スタッフ・キャスト
【指 揮】柴田 真郁
【演 出・指導】粟國 淳
※指揮者、演出家プロフィールについてはこちら
【照 明】立田 雄士
【衣 裳アドヴァイザー】増田 恵美(モマ・ワークショップ)
【ピアノ】谷池 重紬子、大藤 玲子
【打楽器】森山 拓哉
【主 催】文化庁、新国立劇場
【出 演】
オペラ研修所第22期、23期、24期生
※研修生プロフィールについてはこちら
【賛助出演】
髙畠伸吾、糸賀修平(第10期修了)、松中哲平(第16期修了)、水野 優(第19期生修了)
出演日程
7月31日(土)14:00公演
- 【ジャンニ・スキッキ(機転のきく知恵者、ラウレッタの父親)】程 音聡
- 【ラウレッタ(リヌッチョの恋人、ジャンニ・スキッキの娘)】原田 奈於
- 【ツィータ(リヌッチョの叔母、ブオーゾの従妹)】杉山 沙織
- 【リヌッチョ(ラウレッタの恋人、ツィータの甥)】鳥尾 匠海
- 【ゲラルド(ブオーゾの甥)】髙畠 伸吾
- 【ネッラ(ゲラルドの妻)】河田 まりか
- 【ベット・ディ・シーニャ(ブオーゾの義兄)】湯浅 貴斗
- 【シモーネ(ブオーゾの従弟)】森 翔梧
- 【マルコ(シモーネの息子)】佐藤 克彦
- 【チェスカ(マルコの妻)】大城 みなみ
- 【スピネッロッチョ先生(医者)】松中 哲平
- 【アマンティオ・ディ・ニコーラオ(公証人)】松中 哲平
- 【ピネッリーノ(靴屋)】長冨 将士
- 【グッチョ(染物屋)】水野 優
- 【ゲラルディーノ(ゲラルドとネッラの子)】内山 歌寿美
8月1日(日)14:00公演
- 【ジャンニ・スキッキ(機転のきく知恵者、ラウレッタの父親)】大久保 惇史
- 【ラウレッタ(リヌッチョの恋人、ジャンニ・スキッキの娘)】内山 歌寿美
- 【ツィータ(リヌッチョの叔母、ブオーゾの従妹)】杉山 沙織
- 【リヌッチョ(ラウレッタの恋人、ツィータの甥)】糸賀 修平
- 【ゲラルド(ブオーゾの甥)】水野 優
- 【ネッラ(ゲラルドの妻)】大髙 レナ
- 【ベット・ディ・シーニャ(ブオーゾの義兄)】湯浅 貴斗
- 【シモーネ(ブオーゾの従弟)】森 翔梧
- 【マルコ(シモーネの息子)】長冨 将士
- 【チェスカ(マルコの妻)】前島 眞奈美
- 【スピネッロッチョ先生(医者)】松中 哲平
- 【アマンティオ・ディ・ニコーラオ(公証人)】松中 哲平
- 【ピネッリーノ(靴屋)】佐藤 克彦
- 【グッチョ(染物屋)】鳥尾 匠海
- 【ゲラルディーノ(ゲラルドとネッラの子)】原田 奈於
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公演チラシ
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作品概要
1918年に作曲された当作品の題材はダンテの『神曲』・地獄篇で、プッチーニ唯一のコメディ。
この作品はアンサンブルのオペラで、複数の歌手が同時に歌う場面が多く登場します。それぞれに個性的なキャラクターを際立たせつつ、全体としての調和を保つという音楽的な見せ場もたっぷりです。
当作品は、プッチーニの三部作(その他2つは『外套』『修道女アンジェリカ』)で、今回上演される『ジャンニ・スキッキ』は中でも人気の高い作品です。
1918年12月にニューヨーク・メトロポリタン歌劇場で初演、この時『ジャンニ・スキッキ』は各メディアで絶賛されました。
タイトルの「ジャンニ・スキッキ」は機転の利く知恵者、スキッキの娘ラウレッタは、リヌッチョとの結婚を望んでいますが、彼の一族は鼻持ちない人たちで、二人の結婚に反対しています。
この一族のひとりである大富豪ブオーゾの遺産を親戚一同皆狙っているのですが、スキッキが機転を利かせて、一族に起こった遺産騒動を解決し、しかも娘の結婚もうまく成立させてしまいます。
ものがたり
舞台は1299年、フィレンツェ。
大富豪ブオーゾ・ドナーティはまさに死んだばかり。親類たちは大げさに悲しんでいますが、実は皆考えていることは遺産のこと。甥のリヌッチョは遺言状を見つけ、それをかたにジャンニ・スキッキの娘ラウレッタとの結婚を認めるように伯母ツィータに迫ります。ツィータはしぶしぶ認めます。親類たちは巨額な遺産がすべて修道院に寄付されるという噂を知ると、遺言書が公証人の手に渡る前にどうにかしようと必死に画策します。そこに呼ばれたのが知恵者ジャンニ・スキッキ。スキッキは依頼を断りますが、かわいい娘のラウレッタに頼まれこの依頼を引き受けます。スキッキはブオーゾの死がまだ他に漏れていないことを確かめ、ブオーゾになりすまして遺言を口述する段になると、すべてはジャンニ・スキッキに遺すと言い出します。親戚たちは怒り狂いますがすでに後の祭り!
『ジャンニ・スキッキ』をもっと楽しむために
海外旅行もままならぬ昨今、プッチーニの愉快なこのオペラで、フィレンツェ観光をしつつ、作品理解も深めてしまいましょう!
◆リヌッチョのアリア「フィレンツェは花咲く木のように」Firenze è come un albero fiorito
リヌッチョの一族の遺産相続の問題が起こった時、ラウレッタの恋人であるリヌッチョは「ジャンニ・スキッキ(=知恵者で恋人ラウレッタの父)に知恵を借りよう」と提案します。リヌッチョの一族は、地方出身の新参者スキッキに好感を持っていないため、リヌッチョは「フィレンツェは新しい者を迎え入れて発展してきた」と親戚一同を説得します。その歌が「フィレンツェは花咲く木のように」です。
フィレンツェは花咲く木のようなもの。
シニョーリ広場には幹や枝葉があり
(谷間から)新しい力をもたらしている。
澄んだ、実り多い谷間から
フィレンツェは芽をふき
立派な館や高い塔が星に向かってそびえている。
Firenze è come un albero fiorito,
che in piazza dei Signori ha tronco e fronde,
ma le radici forze nuove apportano
dalle convalli limpide e feconde.
E Firenze germoglia ed alle stelle
salgon palagi saldi e torri snelle!
アルノ川は河口に入る前に、
サンタ・クローチェ広場に口づけしながら歌って、
かの歌(アルノ川のせせらぎ)は甘く響き渡る。
小川が合唱で(アルノ川に)集まって
こうして、芸術や学問に秀でたものがやってくる。
フィレンツェをより豊かに輝く街にするために
L'Arno, prima di correre alla foce,
canta baciando piazza Santa Croce,
e il suo canto è sì dolce e sì sonoro
che a lui son scesi i ruscelletti in coro.
Così scendanvi dotti in arti e scienze
a far più ricca e splendida Firenze.
そして、エルサ渓谷の小さな村から
アルノルフォは美しい塔を作りに 来て、
深い森ムジェッロからはジョットが
あの勇敢な商人メディチだって!
けちな憎しみや悪意は十分だ
新参のジャンニ・スキッキを歓迎しよう!
E di val d'Elsa giù dalle castella
ben venga Arnolfo a far la torre bella.
E venga Giotto dal Mugel selvoso,
e il Medici mercante coraggioso.
Basta con gli odi gretti e coi ripicchi!
Viva la gente nova e Gianni Schicchi!
【シニョリーア広場(Piazza della Signoria)】フィレンツェの中心部、ヴェッキオ宮殿の前にある広場
【サンタ・クローチェ広場(piazza Santa Croce)】サンタ・クローチェ聖堂(Basilica di Santa Croce)の前にある広場
【アルノ川(Arno)】イタリア中部を流れる川で、この川にヴェッキオ橋がかかっている
【エルサ渓谷(val d'Elsa)】イタリア中部のトスカーナにあるエルザ川の谷
【深い森ムジェッロ(Mugel selvoso)】イタリアのトスカーナ北部にある地域。ムジェッロ・サーキットはロードレース世界選手権イタリアグランプリ開催や2020年のF1世界選手権トスカーナグランプリが開催されたことでも名高い。
【アルノルフォ(Arnolfo)=アルノルフォ・ディ・カンビオ(Arnolfo di Cambio)】フィレンツェの彫刻家、石工。塩見七生の小説やエッセイなど日本の文学作品にもしばしば登場する名前
【サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂】花の聖母大聖堂の意。映画にもなった江國香織、辻仁成の小説に物語の軸として登場するフィレンツェのシンボル。
【ジョット(Giotto)=ジョット・ディ・ボンドーネ(Giotto di Bondone)】イタリア人画家、建築家。後世に大きな影響を与えた、パドヴァのスクロヴェーニ礼拝堂の内部装飾絵画などを手掛ける。彼が手掛けた『東方三博士の礼拝』に彗星のようなベツレヘムの星が描かれており、これははジョットが実際に見た1301年のハレー彗星をもとに描いたといわれている。1986年にハレー彗星の観測用の探査機ジョットはこの絵画にちなんで命名。
【メディチ(Medici)】メディチ家。銀行家として成功し、実質的なフィレンツェの支配者であった。
◆ラウレッタのアリア「私のお父さん」O mio babbino caro
ラウレッタは、リヌッチョと結婚したいのだと父のジャンニ・スキッキに切々と訴えます。
ねえ、私の大好きなお父さん
彼が好きなの、彼、とても素敵なの。
ポルタ・ロッサ通りまで
指輪を買いに行かせてほしいわ。
ええ、そう。行かせてほしいの。
もしこの恋が叶わなかったら
ポンテ・ヴェッキオの橋の上から
アルノ川に身を投げるために行くわ。
私悩んでいるの。苦しんでいるの。
ねえ、本当に。死んでしまいたいくらい。
お父さん、どうか、お願い。
O mio babbino,caro,
mi piace,è bello, bello.
Vo'andare in Porta Rossa
a comperar l'anello!
Sì, sì, ci voglio andare!
E se l'amassi indarno,
andrei sul Ponte Vecchio
ma per buttarmi in Arno!
Mi struggo e mi tormento!
O Dio,Vorrei morir!
Babbo pietà, pietà!
【ポルタ・ロッサ通り】フィレンツェの旧市街の東西方向に行き交う通り。中世邸宅博物館があり、今は通りの西の端はブランドショップが並んでいるトルナブオーニ通りと接している。
【ポンテ・ヴェッキオ(Ponte Vecchio)】イタリアのフィレンツェを流れるアルノ川に架かる橋。
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主要登場人物相関図
▼2016年7月オペラ研修所試演会『ジャンニ・スキッキ』より
(舞台写真撮影:小林由恵)