シアター・トーク
[特別編]レポート


シリーズ・同時代【海外編】スペシャルイベント
シアター・トーク[特別編] 「昔の女」


3月14日(土)新国立劇場小劇場
出席 ローラント・シンメルプフェニヒ(ドイツ・『昔の女』作者)
    倉持 裕(『昔の女』演出)
    大塚 直(『昔の女』翻訳)
    鵜山 仁(演劇芸術監督)
    新野守広(ドイツ演劇・現代戯曲研究会メンバー)<司会進行>
    (通訳:蔵原順子)

共感できる部分が多かった(倉持)

倉持 裕 新野●まず、今回の「シリーズ・同時代」について、生みの親の鵜山仁芸術監督から、その意図、経緯をお願いします。
鵜山●僕がまだ芸術監督に就任する以前、2007年の4月から、演劇制作部が中心になり、海外の現代戯曲についての情報を共有、発信していきたいという目的で、小田島恒志さん、佐藤康さん、新野守広さん、平川大作さん、英独仏の現代演劇に精通されている4人のみなさんに加わっていただいて、月に1回、研究会を開いてきました。研究会では、先生方が推薦される作品を、そのかなりの部分を新たに訳出していただき、30本近く読んできました。「シリーズ・同時代【海外編】」では、『昔の女』の他にも『シュート・ザ・クロウ』、『タトゥー』という作品を上演しますが、この3本は研究会での検討を経て決まった作品です。さらに「番外連続リーディング」として3本の作品を発表する予定です。今回の連続上演は研究会の成果ですね。
新野 守広 新野●では、『昔の女』に関して、演出の倉持さんにお伺いします。台本を読まれてどのように思われましたか?
倉持●率直に面白かったですね。私自身が書いた『ワンマン・ショー』という戯曲は、時間軸がバラバラになる話で、後で起こることを最初に持ってきました。それと構成が似ていましたね。最初に『ワンマン・ショー』を書いた時は勇気が必要だったんですが、勝手がわかってからは面白がって、その手法を使うようになりましたね。その経験で培った技術を今回使えるのではないかと思いました。台本を読んで、興味を持っているものや面白がっているものが自分と同じなんじゃないかと思えました。共感できる部分が多いだろうと思って。この公演の勝算が見えたというか。
新野●戯曲のどのようなところに共感されましたか?
倉持●そぎ落としているところですね。最低限の情報で物語を作っていこうとする姿勢が似ていると思います。修飾語を排している感じもします。それから、実験的なアイデアだけに傾いていないのも良かったですね。ちゃんと観客を意識して書かれている。エンタテインメント性も持ちつつ実験もしているという。