演劇研修所ニュース

演出家:栗山民也氏の特別講義(サロン)を実施いたしました

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新国立劇場研修所では、さまざまな分野において第一線で活躍されている方を講師としてお招きする特別講義を定期的に開催し、研修生が専門外の広く豊かな知識と教養を身につけるきっかけとしています。

2022年度最初の特別講義(サロン)は、2年次(第17期生)を対象として、今日の日本演劇界を代表する演出家である栗山民也さんを講師にお迎えして実施いたしました。

栗山さんは、2000年~07年まで新国立劇場演劇芸術監督を、07年からは国内の演劇界の悲願であった演劇研修所の開設に尽力、16年まで演劇研修所所長を務めました。
当劇場主催演劇公演をはじめ数々の演劇作品を演出され、数多の劇作家・俳優・スタッフたちと名舞台を創り上げていらした豊富なご経験から、「演劇」そして「俳優」という"仕事"への向き合い方、「俳優」としての心構えなどをお話しいただきました。

講義終了後の研修生たちの感想をご紹介いたします。

◇演劇の世界では、対立する意見を持つAとBどちらかの勝ち負けではなく、Cという新しい意見を引き出す作業が必要とのお話に感銘を受けました。常に新しい道を切り開くことを考えようと思いました。

「演劇」は、定点で観てこそ、"今日の環境で今日の肉体を持った役者たちが今日の観客の前で演じて"こそ面白く、それが醍醐味なのだという言葉が印象に残りました。

シーンスタディの授業などで「表現」とは何なのだろう?と、このところ思っていました。栗山さんのお話から、ひとつの行為・所作をするにしても、その過程の中にこそ無数の動きや答えがあり、それこそが演劇で求められる「表現」なのだと腑に落ち、目が覚めた思いがしました。

名劇作家・井上ひさし氏が創作する時のお話が興味深いものでした。
栗山さんのお話によれば、井上氏の創作方法は、"地上3500メートルから物事を見下ろし、創作にあたってどんどん着目点を制限していく"もので、さらに、段ボール10箱分の資料や本を読んだ上で創作活動にあたっていたとのこと。

このエピソードを聞いて、自分たちも作品研究をする際は、広い視点から掘り下げていくことが必要で、数多くの資料や文献を読み込んで作品と向き合おうと思いました。


しばしば笑い声も上がる和やかな雰囲気の中、充実した講義となりました。

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