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演劇研修所第15期生 試演会『七本の色鉛筆』顔合わせレポート

 

2019年入所の第15期生は8月の朗読劇『少年口伝隊一九四五』をへて、試演会『七本の色鉛筆』(10月19日初日)に臨みます。

9月14日新国立劇場リハーサル室にて、宮田慶子演劇研修所長や田中麻衣子(演出)、伊藤雅子(美術)、宮本宣子(衣裳)、村田 明(舞台監督)、坂川慶成(演出助手・8期修了)らクリエイティブ・スタッフ、出演する第15期生たちと修了生の高橋美帆(9期修了)が一堂に会する顔合わせが行われました。

また今回の顔合わせには、作品の著作権者であり、作者のご息女である矢代朝子さんもご参加くださり、作品にまつわるエピソードなどをお話いただきました。

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〈前列写真左より〉村田 明(舞台監督)、澤嶋 操(演出部)伊藤雅子(美術)、宮本宣子(衣裳)

坂川慶成(演出助手・8期修了)、田中麻衣子(演出)、宮田慶子演劇研修所長、新国立劇場今井克一常務理事

矢代朝子(著作権者)、新国立劇場梅田潤一研修主管



【宮田慶子演劇研修所長からの激励の言葉】

この作品に取り組むことは、皆さんにとって大きな挑戦になると思います。

私が演劇界で駆け出しのころ、この作品の作者・矢代静一先生に、とても可愛がっていただいた思い出があります。先生は江戸っ子で、お洒落な方でした。矢代先生の作品は、ウイットとユーモアに溢れていますが、一方で状況を達観したシニカルな要素を含むという、独特のスタイルがあります。この『七本の色鉛筆』も一見、人あたりや口あたりのいい作品ですが、とんでもなく深いものを内包しています。大人の視点―〈のめり込むこと〉と〈引いて考えること〉―両方を持って取り組んでいただきたいと思います。楽しみにしています!

【著作権者・ご息女の矢代朝子さんのお話】

1973年に文学座で初演された当時、スタッフや出演者の多くは、戦争を体験した人たちであったろうと思います。この作品の根底にあるのは終戦の年、昭和20年の出来事ですし、昭和が舞台ですと、今回演じる皆さんは、想像することしか出来ませんから大変だと思います。これまで、この作品は色々なところで上演されてきましたが、どれが「正解」ということはなく、それぞれのかたちでいいのではないかと思います。
長台詞が多くてごめんなさい。
当時の文学座の女優さん達に嫌われないように、すべての役に見せ場を作った結果ではないかと思われます。
ホームドラマのようであって、フランス演劇的な要素もあり、大変だと思いますが、お稽古を重ねて、皆さんの「七本の色鉛筆」になることを期待しています。
それが天国の作者望みであろうと思いますし、とても楽しみにしています。


【演出・田中麻衣子さんから研修生たちへの言葉】

とても繊細に取り組まなければならない作品です。

それぞれの人物がユーモラスな部分もシニカルな部分もたくさん持っていますが、それと同時に一人ひとりの小さな心向きのようなものを丁寧に見つけていかなくてはいけません。
この本を読み込んでいくと「人間というのはなぜこんなにわからないのだろう」という思いにとらわれます。
しかし、人間は自分のことも、自分の未来もわからないものです。
この作品の中の登場人物もまたそうです。
だから、見つからないというのも答えなのかもしれません。
通常の芝居では、結末や次の場面からさかのぼって組み立てていくこともできますが、この作品は特に、それだけではままならない難しさがあります。
読みがいのある手ごわい作品ですが、小さくまとまらず、いろいろなことを試しながら、思い切り飛びこみ、チャレンジしていきましょう!

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〈写真前列右〉矢代朝子(著作権者)

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緊張の面持ちの出演者たち-第15期生と高橋美帆(9期修了)


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