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STAFF&CAST

STAFF

原作:アイスキュロス
作:ロバート・アイク
  • 翻訳:平川大作
  • 演出:上村聡史
  • 美術 : 二村周作
  • 照明 : 沢田祐二
  • 音楽監修 : 国広和毅
  • 音響 : 加藤 温
  • 衣裳 : 前田文子
  • ヘアメイク : 鎌田直樹
  • 映像 : 栗山聡之
  • 演出助手 : 五戸真理枝
  • 舞台監督 : 北条 孝

CAST

  • 生田斗真
  • 音月 桂
  • 趣 里
  • 横田栄司
  • 下総源太朗
  • 松永玲子
  • 佐川和正
  • チョウ ヨンホ
  • 草彅智文
  • 髙倉直人
  • 倉野章子
  • 神野三鈴

〒151-0071 東京都渋谷区本町1丁目1番1号
TEL : 03-5351-3011(代表)

京王新線(都営新宿線乗入)「初台駅」/
中央口(新国立劇場口)直結。
2018/2019シーズン・特別支援企業グループ
  • ONWARD
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  • TBS
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  • ぴあ
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Original

Aeschylus

紀元前525年頃生~456年頃没。ソフォクレス、エウリピデスと並び、古代アテナイの三大悲劇詩人の一人。20代より作劇を始め、生涯に90もの作品を世に生み出した、ギリシャ悲劇隆盛の立役者である。様式面でも改革を行い、それまでコロスと俳優1人だけの問答形式で上演されていた当時、俳優を2人に増やすことで、言葉のやりとりを可能にした。
「オレステイア三部作」は『アガメムノン』『供養する女たち』『慈みの女神たち』からなる三部作で、アイスキュロスの代表作である。

Written by

Robert ICKE

イギリスの劇作家・演出家。現在、アルメイダ劇場のアソシエイト・ディレクター。『1984』で、2013年リヴァプール・アート・アワード最優秀演出家賞、2014UKシアター・アワード最優秀演出家賞を受賞、同作は2014年オリヴィエ賞、優秀新作戯曲賞にノミネートもされている。また『オレステイア』で2015年、英国演劇批評家賞、イブニング・スタンダード演劇賞最優秀演出家賞、2016年オリヴィエ賞最優秀演出家賞を受賞。

Translated by

HIRAKAWA Daisaku

COMMENT

『アガメムノン』、『供養する女たち』、『慈しみの女神たち』からなるアイスキュロスのオレステイア三部作が上演されたのは紀元前458年だとか。世界演劇史上最古の時代の劇作家は当時67歳、この世を去る2年前ですから、まさに晩年の集大成です。
泥沼化したトロイ戦争を終結させるには娘イピゲネイアを生贄に捧げるべし、という過酷な神託を受けて、ギリシア軍の総大将アガメムノンは苦悩します。かけがえのない代償を支払って得た勝利の凱旋を赤い絨毯で迎えた妻にしてイピゲネイアの母クリュタイメストラは、密かに復讐心を燃え上がらせます。父を失った息子オレステスは正義を貫くために、身をやつして妹エレクトラと再会し、母に刀を向けて・・・
アイスキュロスが材を取ったのは「アトレウス家の悲劇」として知られる一族の憎悪と復讐の連鎖であり、その末端に生を受けたオレステスの運命でした。
あまたの悲劇的な物語の主人公はいずれも身の毛もよだつ怖ろしい宿命を背負わされているものですが、オレステスほど過酷で絶望的な生を引き受けねばならない人物もいません。演劇の歴史の始原において、すでにしてヒトの極点が描かれていたと言うべきでしょう。オレステスはどうすればいいいのか。受苦を耐え、負の連鎖と向き合って生き抜くべきか、それとも、死をもって運命の重圧を清算するべきなのか。一体、誰がそれを決められるというのか。21世紀の現在、インターネットや遺伝子工学、AIにいたるまでテクノロジーの飛躍的な発展により、ヒトと命の定義が常に再更新を迫られているのは事実です。出自に縛られず、個人の自由と意思を尊重する価値観も確立しました。しかし、いまだに解決すべき問題が山積している世界を見渡し、自分自身の存在条件を内奥まで凝視したとき、アイスキュロスが描いたオレステスという名の荒々しくも大胆に彫り込まれた人物像は、わたしたちから縁遠い神話伝説上のアンティークではなく、身近な鏡に映ったポートレイトとして生々しく息づき始めるように思えてきます。
少なくとも、今回上演する21世紀イギリスの劇作家兼演出家ロバート・アイクは新翻案に新しい発想の趣向を導入して、オレステスを明確に主人公の位置に据えています(たとえばアイスキュロスの『アガメムノン』にオレステスは登場しませんが、アイクは劇作家ならではの想像力を駆使して、そこにいたであろう幼きオレステスを描きます)。あたかも大きな身振りで一気に振り返るかのように三部作を一篇の戯曲『オレステイア』(2015)に凝縮し、私たち人間という存在の古層に探査の光があてられる物語。オレステスによって語られる、オレステスのための、オレステスの物語だから「オレステイア」。2400年以上発火し続けてきた危険な物語が、神と人、個人と家族、世界と内面、記憶と現在の交点で、ギリシアとロンドンと東京が重なる場所で、古くも新しい火花を激しく放ちます。

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PROFILE

九州大学文学部、大阪大学大学院演劇専攻で学び、「ひょうご舞台芸術」に調査研究員として参加。2000年より大手前大学に勤務。メディア・芸術学部教授。11年『モジョ ミキボー』で第3回小田島雄志・翻訳戯曲賞を受賞。そのほかの主な翻訳作品に『扉を開けて、ミスター・グリーン』『アテンプツ・オン・ハー・ライフ』など。新国立劇場では『コペンハーゲン』『OPUS/作品』『バグダッド動物園のベンガルタイガー』『フリック』『1984』の翻訳を手掛けている。

Directed by

KAMIMURA Satoshi

COMMENT

“オレステスは、なぜ母を殺さなければならなかったのだろうか?”
戦争から生じた憎しみを、家族の血塗られた惨劇と青年の悲痛を軸に展開するこのギリシャ悲劇は、いつの時代でも、たくさんの国で上演され、または、小説・映画・オペラ・絵画などのモチーフになり、人間生活の支柱となってきた。今回は、『アウリスのイピゲネイア』も挿入された、アトレウス家の惨劇をサスペンスタッチかつスピード感に溢れた脚本で上演するわけだが、これまで多くの物語にみる戦争は、個人を苦しめる壮大な運命そのものであり、殺人は、個人が他者へ向けた愛の裏返しとして描かれることがほとんどであった。だが、今日では、愛から生まれた憎しみは、氾濫する情報を吸収し肥大化、やがて、復讐の連鎖となり、世界を包む。そんな時代に、私たちは“赦し”を見出すことはできるのだろうか。
この大きな問題を前に、今回の上演では、今を生きる私たちの刹那的な在り様を、このギリシャ悲劇に重ねてみたいと思う。そして、神が登場する“赦し”の場『慈しみの女神たち』では、現代のオレステスでもあり、私たちを写したかのような“神”を表出させたい。

PROFILE

1979年生まれ。2001年文学座付属演劇研究所に入所。09年より文化庁新進芸術家海外留学制度により1年間イギリス・ドイツに留学。18年に文学座を退座。新国立劇場で上演された『アルトナの幽閉者』はじめ他作品の演出で第17回千田是也賞、『炎 アンサンディ』『ボビー・フィーッシャーはパサデナに住んでいる』の演出で第22回読売演劇大賞最優秀演出家賞を受賞。主な演出作品に『岸 リトラル』(世田谷パブリックシアター)、『大人のけんかが終わるまで』(東宝)、『冒した者』『中橋公館』『弁明』『信じる機械』(文学座)、オペラ『イヌの仇討あるいは吉良の決断』(こんにゃく座)など。ほかに新国立劇場では『城塞』(17年)を演出し、好評を博した。

INTERVIEW

上村聡史インタビュー記事はこちら
(会報誌「The Atreジ・アトレ2月号」より)

IKUTA Toma

COMMENT

オレステイアに出演させて頂くことになりました。
演出家、上村聡史さんの作品をこれまで拝見してきて、いずれご一緒出来たらと思いを募らせていました。
敬愛する小川絵梨子さんが、2018年から新国立劇場の芸術監督を務めていらっしゃる事も、今回お話をお受けした理由の一つです。
敷居が高いと思われがちな古典作品を多くの方に楽しんでいただけるよう、一生懸命努めます。新国立劇場はとても綺麗な劇場ですので、毎日の通勤が今から楽しみです。

PROFILE

96年~98年『天才てれびくん』に出演。以降舞台、コンサート、ドラマと幅広く活躍。2007年ドラマ『花ざかりの君たちへ イケメン♂パラダイス』に出演し、一躍注目される。10年『人間失格』で映画初出演にして主演を務め、高い評価を得る。主な出演作に、舞台『かもめ』『Vampire Bamboo Burn~ヴァン・バン・バーン~』『ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ』『偽義経冥界歌』、映画『ハナミズキ』『源氏物語 千年の謎』『僕らがいた 前篇/後篇』『脳男』『予告犯』『グラスホッパー』『秘密THE TOP SECRET』『彼らが本気で編むときは、』『先生!…好きになってもいいですか?』『友罪』、テレビドラマ『遅咲きのヒマワリ~ボクの人生、リニューアル~』『軍師官兵衛』『いだてん~オリムピック噺(ばなし)~』など。

OTOZUKI Kei

96年宝塚音楽学校入学。98年宝塚歌劇団に第84期生として入団。宙組公演『シトラスの風』で初舞台を踏み、その後雪組に所属。『猛き黄金の国』で入団3年目にして新人公演で主演に抜擢されて以来、雪組若手スターとして着実にキャリアを積む。2010年『ロミオとジュリエット』で雪組トップスターに就任。華やかな容姿に加え、歌、ダンス、芝居と三拍子揃った実力派トップスターと称され、2012年『JIN-仁/GOLD SPARK!』で惜しまれながら退団。退団後の主な出演舞台に『ブラック メリーポピンズ』『十二夜』『フランケンシュタイン』『ナイツ・テイル』など。TBS「砂の塔〜知りすぎた隣人」、EX「越路吹雪物語」等、多くのテレビドラマや映画にも出演している。

SHURI

2011年にドラマで女優デビュー以降、舞台から映画まで活躍の場を広げている。映画『生きてるだけで、愛。』で第33回高崎映画祭最優秀主演女優賞、おおさかシネマフェスティバル2019主演女優賞及び第42回日本アカデミー賞新人俳優賞受賞。近年の出演作として、舞台『大逆走』『アルカディア』『メトロポリス』『陥没』『黒塚家の娘』『ペール・ギュント』『マクガワン・トリロジー』など。ほかに映画『過ちスクランブル』『勝手にふるえてろ』、テレビドラマ『とと姉ちゃん』『リバース』『ブラックペアン』『イノセンス 冤罪弁護士 』などがある。

YOKOTA Eiji

文学座附属演劇研究所を経て、99年に文学座座員へ。舞台では、鵜山仁、蜷川幸雄、串田和美、栗山民也、長塚圭史、上村聡史、森新太郎など多数の演出家の作品に出演。その他、映像、ナレーション、CMなど活動の場は多岐に渡る。『ヘンリー五世』『The Silver Tassie 銀杯』にて第26回読売演劇大賞優秀男優賞受賞。近年の主な舞台として『十二夜』『太陽2068』『ハムレット』『トロイラスとクレシダ』『ヴェローナの二紳士』『ピアフ』『お気に召すまま』『エレクトラ』『ワーニャ伯父さん』『アテネのタイモン』『白い病気』『レインマン』『あかつきの湧昇流』『The Silver Tassie 銀杯』など。新国立劇場では『アルトナの幽閉者』『あわれ彼女は娼婦』『ヘンリー五世』に出演している。

SHIMOFUSA Gentaro

1989年、劇団転位・21に参加、『骨の鳴るお空』に主演。93年より燐光群に参加、主要メンバーとして出演。退団後も数々の話題作、プロデュース公演、ヨーロッパを中心とした海外公演、映画、ドラマに出演。また、演出、演劇教育にも携わり、大学講師も務める。主な舞台として『青空のある限り』『新・明暗』『屋根裏』『わが友ヒットラー』『黄色い月』『皆既食』『靑い種子は太陽のなかにある』『室内』『くさまくら』など。新国立劇場では『神々の国の首都』『エドワード二世』『東海道四谷怪談』『ヘンリー四世』『君が人生の時』『ヘンリー五世』に出演している。

MATSUNAGA Reiko

ナイロン100℃所属。舞台やTVドラマ、映画、ナレーションで活躍する一方、エッセイストとしても活躍。劇団公演として『フローズン・ビーチ』『消失』『わが闇』『黒い十人の女』『百年の秘密』ほか。その他の舞台として『遭難、』『イーハトーボの劇列車』『ガラスの仮面』『ブエノスアイレス午前零時』『カラフト伯父さん』『人民の敵』『御宿かわせみ』『熱血!ブラバン少女。』『大悪名』『ロマン派症候群』『夜、ナク、鳥』『修道女たち』『僕らの力で世界があと何回救えたか』などがある。

SAGAWA Kazumasa

文学座附属演劇研究所を経て、2005年文学座座員に。02年『ベンゲット道路』で初舞台。以降、劇団内外問わず舞台を中心に、アテレコ、ラジオドラマなどでも活躍。主な舞台として『二人だけのお葬式』『春疾風』『弁明』『食いしん坊万歳!~正岡子規青春狂詩曲~』『冒した者』『岸 リトラル』『再びこの地を踏まず-異説・野口英世物語-』『鯨』など。新国立劇場では『るつぼ』『三文オペラ』『ヘンリー四世』『プライムたちの夜』に出演している。

CHO Yonho

新国立劇場演劇研修所第4期修了。主な出演舞台として『GS近松商店』『マクベス』『まちがいの喜劇』『ハムレット』『ペール・ギュント』『オセロー』『The Silver Tassie 銀杯』『Mann ist Mann』など。新国立劇場では『雨』『るつぼ』『長い墓標の列』『十九歳のジェイコブ』『三文オペラ』『ウィンズロウ・ボーイ』『マリアの首-幻に長崎を想う曲-』『トロイ戦争は起こらない』『赤道の下のマクベス』に出演している。そのほか「100分de名著『ハムレット』『宮本武蔵/五輪書』」、ドラマ『極道めし』『精霊の守り人 最終章』『平清盛』、ラジオドラマ『宮沢賢治生誕120年企画』などに出演。

KUSANAGI Tomohumi

新国立劇場演劇研修所を第9期生として修了し、2016年4月よりTEAM HANDYに所属。主な舞台として『SNOOKER』『鍵穴』『春宵・読ミビトツドイテ』『ワンスアポンアタイム in 京都Ⅲ〜錦小路の素浪人〜』『廃墟』『俺節』などがある。新国立劇場では研修公演として『少年口伝隊一九四五』『血の婚礼』『噛みついた娘』、本公演として『月・こうこう,風・そうそう』に出演している。

TAKAKURA Naoto

新国立劇場演劇研修所10期修了。テアトル・エコー放送映画部所属。研修公演として朗読劇『ひめゆり』『ロミオとジュリエット』『MOTHER-君わらひたまふことなかれ』『少年口伝隊一九四五』『るつぼ』に出演。その他リーディング「こころで聴く三島由紀夫Ⅵ『熊野』」、リーディング公演『やとわれ仕事』『ソ連軍との交戦とシベリア抑留記』等に出演している。

KURANO Akiko

文学座所属。初舞台『握手・握手・握手』。以降、舞台、ドラマ、ラジオドラマなどを中心に活動。『野分立つ』で第30回紀伊國屋演劇賞個人賞、『野分立つ』『三人姉妹』で第3回、『夜からの声』で第12回読売演劇大賞優秀女優賞をそれぞれ受賞。主な舞台として、文学座『犬が西むきゃ尾は東』『トムは真夜中の庭で』『麦の穂の揺れる穂先に』『トロイアの女たち』『連結の子』『十字軍』『尺には尺を』『春疾風』『中橋公館』、その他『喝采』『海港』『千に砕け散る空の星』『歓喜の歌』など。新国立劇場では『ピカドン・キジムナー』『サド侯爵夫人』『世阿彌』『マテリアル・ママ』『リチャード三世』『ピグマリオン』に出演している。

KANNO Misuzu

舞台『夜の来訪者』でデビュー。第47回紀伊國屋演劇賞個人賞を受賞。主な舞台として『太鼓たたいて笛吹いて』『人形の家』『トップガールズ』『欲望という名の電車』『メアリーステュアート』『タンゴ・冬の終わりに』『アルカディア』『死の舞踏』『TERRO テロ』『豊饒の海』『マクベス』など。その他映画では『駆け込み女と駆け出し男』『日本のいちばん長い日』『光』(第70回カンヌ国際映画祭エキュメニカル審査員賞受賞)『武曲 MUKOKU』『blank13』がある。また『37 Seconds』が第69回ベルリン国際映画祭パノラマ部門にて観客賞と国際アートシアター連盟賞をW受賞している。ドラマ作品では、『小さな巨人』『先に生まれただけの僕』『ブラックペアン』などに出演。新国立劇場では『屋上庭園/動員挿話』『夢の痂』『象』に出演している。