演劇公演関連ニュース

2021/2022シーズン 演劇 ラインアップを発表しました

本日2021年3月8日(月)、新国立劇場内にて2021/2022シーズン ラインアップ説明会が開催され、次シーズンの演目が発表になりました。

2021/2022シーズン 演劇 ラインアップ

海外招聘公演
ガラスの動物園

 

フルオーディション4
イロアセル

あーぶくたった、にいたった

 

正論≒極論≒批判≠議論 Vol.1
アンチポデス(仮題)

 

正論≒極論≒批判≠議論 Vol.2
ロビー・ヒーロ

  

正論≒極論≒批判≠議論 Vol.3
来訪(仮題)

プロジェクト

こつこつプロジェクト ―ディベロップメント―


ロイヤルコート劇場✖新国立劇場 劇作家ワークショップ

ギャラリープロジェクト

 


小川絵梨子 演劇芸術監督からのメッセージ

2020年初頭から、世界中で感染症拡大という未曾有の事態が起こりました。たくさんの命が失われ、あらゆる社会活動が困難となり、不安と苦しさと喪失が広がりました。また、日本でも、世界でも多くの舞台公演が中止となりました。失われた命も時間も、そのままに取り戻すことはできません。しかし、今を生きている我々がこの中で考えたことや気づかされたことが、少しずつでも、これからの未来に生かされていくと信じています。起きたことを忘れず、そこから学び得たことを僅かでも、この先に長く長く続いていく未来に貢献できたらと願っています。

2021/2022シーズンでは、これまでに中止となってしまった作品と、感染症拡大を経て新しく作られる作品が並びます。開幕は昨シーズンに中止となってしまった、フランスの国立劇場であるオデオン劇場制作『ガラスの動物園』の招聘公演です。昨年、フランスで開幕した直後に中止となってしまった公演ですが、この度、改めての稽古と、フランス・ドイツでの上演を経た後、新国立劇場にて公演を行います。多くの喪失と度重なるロックダウンに見舞われたヨーロッパでしたが、そこから社会生活や舞台活動がどのように再開し、変化しているのかなども伺う機会が出来ればと思います。

11月には、フルオーディション企画の第四弾『イロアセル』をお届けします。演出に本作の作家でもある倉持裕さんをお迎えし、フルオーディションとしては初の現代の作品となります。(第二弾であった『反応工程』は初日の直前に中止となってしまいましたが、21年の夏に改めて、全キャストが再集結して公演いたします。)毎年、多くの方々がオーディションにご応募下さり、劇場として大きな励みとなっております。オーディション企画はこの先も更に強化していく予定です。

12月には、2018/2019シーズンから続けておりました、「こつこつプロジェクト」(公演の有無に関わらず、一年間かけて作品を作っていく作業)を経て、『あーぶくたった、にいたった』を上演いたします。「こつこつプロジェクト」は、目まぐるしい公演のサイクルからちょっと道を外れ、時間をかけて作品を作ってみること、そして、「つくる場所」としての劇場のあり方を模索しているプロジェクトです。このプロジェクトも感染症拡大の中で大幅な予定変更がありましたが、この度、こつこつと積み重ねてきた時間を経て、劇場での上演を行います。演出は西沢栄治さんです。また「こつこつプロジェクト第二期」といたしまして、新しく3人の演出家をお迎えし、三つの作品を一年間かけてこつこつと稽古して参ります。

22年の春には、シリーズ「正論≒極論≒批判≠議論」として三つの作品をお届けします。このシリーズは、多様な意見をのびのびと発言し、一人では導き出せない何かに到達するための「議論」について改めて考えてみたい、という思いから企画いたしました。正論や極論や相手を無視した批判や、ましてや誹謗中傷は、議論には繋がっていきません。多様な意見交換は、お互いを最低限には尊重し、自分の正義ではなく、相手に届くような言葉を使うことで生まれます。多様性が見えにくい日本ですが、本来それぞれが持つ人生も考えもそれぞれに違います。それぞれの個への尊重を持った上での意見交換や議論、その社会的必要性について考える機会にしたいと思います。三作品はそれぞれ、アニー・ベイカー作『アンチポデス』、ケネス・ロナーガン作『ロビー・ヒーロー』、フリードリヒ・デュレンマット作『来訪』。演出は、桑原裕子さん、五戸真理枝さん、小川がつとめます。

公演以外では、「ギャラリープロジェクト」として、中高生のための演劇ワークショップ、公演ガイドツアー等のほか、目や耳に障害を持つお客様への観劇サポート公演なども予定しています。

感染症拡大以降、劇場にお越しくださるのが難しかった方々も大変に多くいらしたと思います。その方々にも安心して楽しく劇場に来ていただけますよう、一人でも多くの方に舞台を楽しんでいただけますよう、我々一丸となって努力して参ります。

劇場にて、また皆様にお会いできますことを心より楽しみにしております。

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