演劇公演関連ニュース

演劇『タージマハルの衛兵』にて目や耳に障害を持つお客様への観劇サポートを実施いたしました


12月15日(土)、21日(土)、22日(日)に、演劇『タージマハルの衛兵』(会場:新国立劇場・小劇場)にて目や耳に障害を持つお客様向けの観劇サポートを実施いたしました。

この観劇サポート公演は、より様々なお客様に、より舞台芸術を楽しんでいただくことを目指したもので、演劇『スカイライト』(2018年12月公演)『かもめ』(2019年4月公演)に続けて3回目の実施です。今回は15日に耳に障害のあるお客様向けサポート、21・22日に目に障害のあるお客様向けのサポートを行い、合わせて29名様にご参加をいただきました。(そのうち、障害をお持ちの方は16名様)
実施した各サポートは下記の通りです。


耳に障害をお持ちの方向けの観劇サポート


ポータブル字幕機の貸出

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セリフや⾳の情報を⽂字でご覧いただける、⼿持ち型ポータブル字幕機をお貸し出しいたしました。
⽂字で表⽰されるのはセリフだけではなく、筋の展開や理解に重要となる物⾳、効果⾳や⾳楽などの情報も含んでいます。表⽰は出演者の動きなど、ドラマの進行に合わせて⾃動的に切り替えられ、舞台上の動きを追いやすいようになっています。
字幕機にはストラップがついており、首からぶら下げて固定できるようなひと工夫が。
また、暗いところでもしっかりと文字が読めますが、隣席の人には観劇に支障がないよう、画面が光ることはなく、斜めからは画面が読めないようにつくられています。

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受付では、チケットの受け取りから字幕機の使用方法、クローク対応などご説明し、スムーズに観劇していただけるようサポートします。その際には、手話通訳及び要約筆記を実施し、お申し込みいただいた方と円滑にコミュニケーションが取れるよう対応いたしました。


ロビー・ホワイエでのサポート

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ロビーやホワイエでも、より快適に過ごせるような工夫が!
トイレやインフォメーションカウンターの位置など、場内の案内サインを大きくわかりやすくしました。

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また、全案内係が指差し会話シートを携帯し、何かお困りの際も気兼ねなくご質問いただけるような対応をいたしました。


目に障害をお持ちの方向けの観劇サポート


事前説明会 part1 セットや小道具のタッチツアー

開演前に会場にて舞台美術やあらすじ、登場人物を解説する説明会を行いました。

説明会を行っていただいたのはこれまでの観劇サポートに引き続き、新国立劇場演劇研修所修了生でもある窪田 壮史さん(第1期生)、土井 真波さん(第4期生)、菊池 夏野さん(第5期生)です。土井さんが全体の司会進行を務め、窪さん、菊池さんがお客様のそばに寄り添い、細かいご案内をいたしました。

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写真中央:舞台上で説明を行う土井さん

説明会の冒頭はまずお客様に席へお座りいただき、舞台上からの説明を行いました。
劇場のサイズ感は四方に立った係員が手を叩くことで、その音から大きさを感じていただきます。
その後、司会の土井さんが舞台の右端から左端、手前から奥まで歩き、舞台上でどのように声が聞こえるか体感していただきました。



その後舞台へお上がりいただき、セットや
道具を実際に触ることにより、場面の具体的なイメージを深めていただきました。

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舞台美術の壁には文字のような模様が彫られています
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劇中の重要な小道具のひとつ、手を切る台と切られた手(!?)


今回は舞台転換を舞台上で体感していただく試みも!第一場から第二場への転換を実際に床を動かして行い、床に現れる窪みがどういった形状か触って感じて
いただきました。

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ビフォー
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アフター

事前説明会 part2 音声プログラム&触れる模型

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客席からロビーへ移動後、あらすじ、どころや登場物の説明をまとめた声プログラムをお聞きいただきました。
登場
物についての説明は、身長や場面ごとの衣裳の特徴など外見の情報から、キャラクターの性格まで多岐に亘ります。それぞれの役を演じる俳優の声でもキャラクターの紹介があり、多方面からより明確に登場人物のイメージを捉えられます。
今回はポータブルオーディオプレイヤーもご用意し、その場で流すプログラムをお聞きいただくか、お好きなタイミングで聞いていただくか選べるようにいたしました。

また、音声プログラムは観劇後もご利用いただけるよう、CDを参加者へお配りしました。

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写真右:模型を動かしながら説明を行う窪田さん

ロビーには触れる舞台模型をご用意し、触っていただきながらセットの形状や小道具の位置などをご説明。床や壁も動かせるようになっており、先ほど体感した場面転換も俯瞰的にイメージしていただきました。

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模型には客席もつくられているので、参加者の方はご自身のお席の位置を模型で確認していただくことができます。

新国立劇場は、様々な人が芸術や舞台をより身近に感じていただけるよう、これからもこのような取り組みを行ってまいります。