オペラ研修所ニュース

【公演を楽しむための直前レクチャー第3回】「サマー・リサイタル 2025 『スザンナの秘密』/『ルクレツィア』」

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舞台稽古もスタートし、今週末はいよいよ「サマー・リサイタル 2025」が開幕!

プロダクションを楽しんでいただくための直前レクチャー第3回・最終回をお届けします。



直前レクチャー第3回目は『ルクレツィア』を紹介します!



『ルクレツィア』は紀元前509年、ローマの王政の終焉と共和政の誕生のきっかけという歴史の転換点を描いたドラマです。ブリテンのオペラ『ルクレシアの凌辱』をはじめ、様々な芸術作品の題材になっています。

ルクレツィアは軍人コッラティーノの貞淑な妻。傲慢王の異名を持つ王の王子セスト・タルクィーニオはルクレツィアへの邪心から、ついには蛮行に及びます。ルクレツィアは絶望的な思いの中、夫にその蛮行の一部始終を告白し、夫に復讐を託し、自ら命を絶ちます。ルクレツィアの死をきっかけに王の追放と共和政の樹立へ歴史は大きく動いていきます。

この作品は、歴史上傲慢な専制は正義を望む民衆によって倒されることを示してもいるのです。

ルクレツィアの悲劇は、蛮行をはたらく王子が憎々しげであればあるほど際立ちます。
その意味で、今回王子役を務める青山貴氏は『トスカ』スカルピア役にて気迫の演技で絶賛を浴びており、今回もその「憎々しさ」が光っています。

また、音楽的にもレスピーギ独特の和声的色彩感や古楽を意識したメロディが多く使われており、当作品はレスピーギの遺作であることからも集大成の傑作と言えます。

オペラ『ルクレツィア』は1幕の作品ですが‟Tre momenti lirici"(三つの抒情的瞬間)と名付けられた三つの場面に分かれています。

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舞台稽古より(左から田中・矢澤・上田・青山・長倉・牧羽)

《Primo Momento》


舞台は紀元前6世紀、ローマが王政から共和政に移行する直前に当たります。

アルデアにあるローマ軍野営地で、軍人たちがの妻の貞節について話し合っています。

ルクレツィアの夫であるコッラティーノは、馬を走らせローマとコッラツィアの地に戻り、誰の妻が最も貞淑か賭けをしようと持ちかけます。
王の息子タルクィーニオは密かにルクレツィアを手に入れたいと望むのでした。

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舞台稽古より(青山・有吉)




《Secondo Momento》


翌日の夜、コッラツィアではルクレツィアとその侍女たちが糸巻きをしたり普段通りの生活をしています。


そこへタルクィーニオが客人を装い訪ねて来ると、ルクレツィアたちは迎え入れます。


皆が寝静まるとタルクィーニオはルクレツィアの寝室に忍び込み、蛮行に及びます。

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舞台稽古より(左から小野田・長倉・有吉・矢澤・中尾)

《Terzo Momento》


ルクレツィアが深い絶望に打ちひしがれていると、そこへコッラティーノたちが駆けつけます。

ルクレツィアは復讐をすることを条件に事件の真相を告白すると、短剣で自らの命を断ちます。

この死をきっかけに腐敗した王政を打倒し、ローマは共和政という新しい時代に舵を切るのでした。








軽妙な喜劇
『スザンナの秘密』、重厚な悲劇『ルクレツィア』、
全く対照的な2つのオペラ作品を一度にお楽しみいただけるチャンスです。
見どころ聴きどころ満載の「サマー・リサイタル 2025」。どうぞお見逃し、お聴き逃しなく!

新国立劇場オペラストゥディオ(オペラ研修所)
サマー・リサイタル 2025『スザンナの秘密』/『ルクレツィア』

会場:新国立劇場・中劇場
公演日程:2025年7月26日(土)14:00、27日(日)14:00

【指 揮】松村優吾
【演 出】粟國 淳


【ピアノ】岩渕慶子、髙田絢子


【出演】
 新国立劇場オペラストゥディオ第26・27・28期 


【賛助出演】
 青山 貴(第4期修了)、菅野 敦(第15期修了)、宇井晴雄(演劇研修所第2期修了)〈黙役〉

【オペラ研修所長】佐藤正浩

【主 催】新国立劇場

チケット料金(税込)全席指定:3,850円 Z席:1,650円 ※良席はお早めに!

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