【レポート】海外招聘講師キャスリーン・ケリー氏指導「公開マスタークラス」「アフタヌーン・コンサート」を開催

海外招聘講師キャスリーン・ケリー氏が指導のため来日し、新国立劇場オペラパレス・ホワイエにて５月下旬に「公開マスタークラス」を開催、６月初旬に研修生たちがその成果を「アフタヌーン・コンサート」でご披露しました。

ケリー氏はメトロポリタン歌劇場の音楽スタッフとして長いキャリアを積み、アメリカ各地のオペラ劇場で音楽監督を歴任後、ウィーン国立歌劇場のシュトゥディエンライターに就任、2015年以降は米国に戻り、数々のオペラ公演で指揮者として活躍、
また多くの教育機関で指導者として活動しています。

氏は新国立劇場オペラストゥディオ指導のため定期的に来日しており、今年で3年目となります。

「公開マスタークラス」では、お客様を前に普段のレッスンとは異なる雰囲気の中、終始明るくユーモアを交えた指導がなされ、プロフェッショナルとして表現を精緻に磨き上げるための非常に実践的なプロセスが示されました。
また「アフタヌーン・コンサート」では氏のピアノ演奏で、研修生たちが伸び伸びとこれまでの成果を多くのお客様の前でご披露しました。

◆新国立劇場オペラストゥディオ「公開マスタークラス」曲目
5月26日　新国立劇場オペラパレス・ホワイエ

１.受講者：齋藤菜々子（第28期・ソプラノ）　　　
受講曲：W.A.モーツァルト『ドン・ジョヴァンニ』より"Mi tradi quell'alma ingrata"
２.受講者：矢澤 遼（第27期・テノール）　　　　
受講曲：G.プッチーニ『ジャンニ・スキッキ』より"Firenze è come un albero fiorito"
３.受講者：後藤真菜美（第26期・メゾソプラノ）
受講曲：G.ドニゼッティ『ピーア・デ・トロメイ』より"In questa de' viventi orrida tomba"

◆新国立劇場オペラストゥディオ「アフタヌーン・コンサート」プログラム
6月6日　新国立劇場オペラパレス・ホワイエ

1. W.A.モーツァルト『ドン・ジョヴァンニ』より"Mi tradì quell'alma ingrata"
　　演奏：齋藤菜々子
2. W.A.モーツァルト『ドン・ジョヴァンニ』より"Il mio tesoro intanto"
　　演奏：長倉 駿
3. G.ドニゼッティ『愛の妙薬』より"Come Paride vezzoso"　　　　
　　演奏：田中 潤
4. G.ドニゼッティ『ラ・ファヴォリータ』より"O mio Fernando"
　　演奏：吉原未来
5. G.ドニゼッティ『アルバ公爵』より"Angelo casto e bel"　　
　　演奏：矢澤 遼
6. G.ロッシーニ『チェネレントラ』より"Come un'ape ne' giorni d'aprile"
　　演奏：上田 駆
7. G.ロッシーニ『タンクレディ』より"O patria ... Di tanti palpiti"
　　演奏：牧羽裕子
8. C.M.v.ウェーバー『魔弾の射手』より"Kommt ein schlanker Bursch gegangen"
　　演奏：渡邊美沙季
9. C.M.v.ウェーバー『魔弾の射手』より"Einst träumte meiner sel'gen Base"
　　演奏：有吉琴美
10.E.W.コルンゴルト『死の都』より"Mein Sehnen, mein Wähnen"
　　演奏：小野田佳祐
11.M.アダモ『若草物語』より"Perfect as we are"
　　演奏：後藤真菜美
12.N.ローレム『Our Town(わが町)』より"Take me back(Emily's Aria)"
　　演奏：谷 菜々子
13.R.ワーグナー『タンホイザー』より"O du mein holder Abendstern"
　　演奏：中尾奎五
14.G.ヘンデル『アルチーナ』より"Tornami a vagheggiar"
　　演奏：島袋萌香

公開マスタークラスの様子

アフタヌーン・コンサート後記念撮影

キャスリーン・ケリー　Kathleen Kelly

ピアニスト、コレペティートル、指揮者／新国立劇場オペラ研修所 招聘講師（音楽指導）

サンフランシスコ・オペラで研鑽を積み、同カンパニーの音楽スタッフを務めた後、メトロポリタン歌劇場の音楽スタッフとして長いキャリアを積む。ヒューストン・グランド・オペラ、バークシャー・オペラの音楽監督を歴任した後にウィーンに移り、女性として、またアメリカ人として初めてウィーン国立歌劇場のシュトゥディエンライターに就任。2015年以降は米国に戻り、グリマーグラス・フェスティバル、ウルフ・トラップ・オペラ、アリゾナ・オペラ、エル・パソ・オペラ、オペラ・コロンバス、メローラ・オペラ・プログラム等、数々のオペラ公演を指揮する。

リサイタルの伴奏ピアニストとしても国内外で活躍し、ウィーン楽友協会、カーネギー・ワイルリサイタルホール、ケネディー・センター等で数々のソリストと共演。ウィーン国立歌劇場とヒューストン・グランド・オペラのリサイタルシリーズではキュレーターを務める。

指導者としては、シンシナティ大学コンサーヴァトリー・オブ・ミュージック学部オペラ科や、ワシントン・ナショナル・オペラ、ヒューストン・グランド・オペラの各研修所、トロント大学等で定期的に後進の指導にあたっている。シカゴ・リリック・オペラ、ロサンゼルス・オペラ、ヒューストン・グランド・オペラ、ワシントン・ナショナル・オペラ、カナディアン・オペラ・カンパニー等のヤング・アーティスト・プログラムにおいてもコレペティートルを務める。また、マギル大学音楽院、ベイラー大学、ヴァンダービルト大学等、多くの教育機関にてマスタークラスやワークショップを行っている。

こうした多彩な講師陣による日頃の研修の成果をぜひ劇場でご覧ください。