舞台は平安時代。歌の名家に生まれた国司の宗頼と、権勢を振るう家の娘、うつろ姫の婚礼の儀が執り行われている。歌の道を捨て弓術に邁進する宗頼を父は責め、宗頼は彼の妻に身持ちの悪いうつろ姫をあてがわれたことに怒る。宗頼は、第一の矢(知の矢)、第二の矢(殺の矢)の弓術を習得し、人を殺すたびに、紫苑(忘れな草)を植えさせる。伯父で弓の達人弓麻呂は、歌の血が濃い間は弓の奥義を悟ることはできないと宗頼に告げ、うつろ姫の寝所の男を射殺す。宗頼も次の男を射殺すが、うつろ姫は意に介さない。宗頼の家来、藤内はこの様子にうつろ姫を利用して国を支配する野望を燃やす。狩りに出た宗頼は怪しい魅力を持つ千草と出逢う。

千草の虜となる宗頼。月の光に照らされ、千草が宗頼が射た狐の化身であることがわかる。狐の妖術に触れた宗頼は第三の魔の矢を悟り、伯父の弓麻呂を射殺す。藤内はうつろ姫と通じ、国司の座を狙う。一方、忘れ草を求めて、宗頼は弓に化けた千草とともに山へと向かう。山の中では岩山に仏の顔を彫る平太が一人で暮らしている。宗頼が平太の彫った仏の顔に知の矢、殺の矢、そして魔の矢を放ち、宗頼諸共岩山が崩れ落ちる。

大きく表示