日本人作曲家による新作オペラの上演に意欲を燃やす大野和士芸術監督の第一シーズン、早くも創作委嘱作品が登場!石川淳の小説『紫苑物語』を、日本を代表する作曲家、西村朗が詩人の佐々木幹郎とタッグを組んでオペラ化します。才能がありながら歌の道を捨て、弓の道へと邁進する主人公・宗頼が、最後に遺したものは……自らの内なる欲望に突き動かされていく若者の壮絶な姿を、現実と異界が交叉する幻想的な世界で描いた物語は、人の心を捉えて離しません。なかでも、宗頼が魔の矢を岩山の仏に向かって放ち、世界が崩落する場面は圧巻のクライマックスです。華麗なる重唱や超絶技巧アリアなどの聴きどころにもご期待ください。

演出を手掛けるのは、演出家・俳優としてフランスを中心に活躍する笈田ヨシ。ヨーロッパで数多くの演劇、オペラを手掛けてきた笈田が、この壮大な物語をどのように描き出すか、大きな注目が集まります。美術、衣装、照明は、笈田が信頼するデザイナーを海外から招き、技術を駆使して幻想的なステージが展開します。大野和士が芸術監督就任後はじめてタクトを執り、ピットには大野が音楽監督を務める東京都交響楽団を迎えます。キャストには、ドイツ・キール歌劇場専属歌手として活躍する髙田智宏をはじめ、選りすぐりの日本人歌手が集まりました。

新たな傑作オペラの誕生を、ぜひ新国立劇場で目撃ください。