カリキュラム

バレエ研修所の新たな姿

バレエ研修所の新たな姿

新国立劇場バレエ研修所は、2024年4月、プロとして世界に羽ばたく夢をもつ若い方々がより美しく、より魅力的なトップダンサーとなれるよう、日本におけるダンサー育成のグローバル拠点となることをめざし、新たな研修システムと研修内容をもつ新研修体系へ移行しました。

全日制・一貫研修システム

全日制・一貫研修システム

新研修体系は、原則4年間(2026年度からは「専科」を含む5年間)の全日制一貫研修で、入所時年齢が15歳以上の方々が在所します。
「本科前期:2年間」「本科後期:2年間」と、特に優秀な者のための実演を重視した特別レッスンを行う「専科:1年間」で構成され、バレエ技術習得に大切な年齢といわれる13歳、14歳が研修所入所前に受講できる基礎科実習のための「ジュニアクラス」も週2回開講します。

カリキュラム
プロのダンサーとして、人として、グローバルトップとなる優れた人材育成をめざし、本科前期/後期課程で充実したカリキュラムを組んでいます。
バレエテクニックの徹底体得に加え、ヴァリエーション、パ・ド・ドゥ、コンテンポラリー、ヒストリカル・ダンス、キャラクター・ダンス、ボディメンテナンス等の舞踊トレーニング等を実施します。さらに座学として、バレエと音楽、バレエ史、ノーテイション、美術史、栄養学、身体解剖学、英語、バレエのためのフランス語、演劇基礎研修、歌唱等を行います。また、劇場を取り巻く社会や障がいを持つ方々へのアウトリーチ活動等により、バレエ研修所の社会的役割の向上にも努めます。
舞台実習として、研修公演や新国立劇場バレエ団公演への出演など、新国立劇場バレエ団と連携した劇場附属の研修所ならではの舞台経験が得られます。
レッスンと指導時の使用用語
研修所のレッスンは、世界の様々なバレエスタイルに対応する指導法により行われます。将来、国内外でバレエを踊る力をもつために、バレエテクニックについてフランス語や英語のバレエ用語を用いて説明し、用語の意味を正しく理解するよう導きます。
ジュニアクラス/本科前期研修生には、バレエ用語を的確に理解して身体で表現する力を養えるよう丁寧な指導を行います。
本科後期研修生/専科生は、プロとして活動するための基礎習得を経て、新国立劇場バレエ団をはじめとする世界のバレエ団のレパートリーに即応できるダンサーへの成長をめざします。
音楽の大切さ(ピアノ伴奏やオーケストラ演奏でレッスン・リハーサル・公演)
日々のクラスレッスンは原則としてピアノ伴奏で行われます。
研修公演のうち「エトワールへの道程」では、リハーサルはピアノ伴奏、本番はオーケストラ演奏で行われます。
生演奏で踊る経験を増やすことは、音を感じ、捉え、表現する力を確実に伸ばしていきます。
指導陣
研修所の講師は、新国立劇場をはじめとする国内外の劇場で活躍し世界のバレエ芸術にも精通している講師陣です。自身の豊かな経験をあますところなく研修生に伝え、ひとりひとりのポテンシャルを最大限に引き出します。
また国内外の著名な指導者を特別講師として招聘する特別レッスンも実施されます。

技術から教養まで
多彩なカリキュラム

クラシカル・バレエ

クラシカル・バレエ

研修生達の朝は、バーレッスンから始まります。どんな種類やスタイルでも踊れるように練習を重ねます。

パ・ド・ドゥ

パ・ド・ドゥ

クラシック作品でのパ・ド・ドゥのレッスン。サポート技術、舞台でのコミュニケーション、音楽的でかつ生き生きとした表現力を学びます。

キャラクター・ダンス

キャラクター・ダンス

古典バレエにはかかすことができない舞踊の形式。クラシカル・バレエとは異なるポジションとステップ、舞踊技法の体得を目指します。

ヒストリカル・ダンス

ヒストリカル・ダンス

バレエにおいて極めて重要とされる身のこなしや所作を学びます。

ボディ・コンディショニング/ジャイロキネシス

ボディ・コンディショニング/
ジャイロキネシス

ダンサーとして毎日欠かすことのできない自己管理と調整法、身体づくりを学びます。

演劇基礎研修

演劇基礎研修

発声法や演技の基礎を学び、舞台での演技力を向上させます。また、舞台への深い理解と、その理解から生まれる豊かな表現を身につけます。

講義

講義

バレエ史、バレエと音楽、ノーテイションなどのバレエに関わる知識に加え、身体解剖学、栄養学、英語などのダンサーに必要な知識を、さらにマナーや美術史など、舞台芸術家として、また一人の人間として身につけておくべき教養を学びます。

茶道

茶道

代表的な日本文化のひとつである茶道もカリキュラムに組み込まれています。
(講師:有澤宗智〈裏千家教授〉)

特別レッスン

特別レッスン

各国の著名な方をゲスト講師として招聘し、特別レッスンを実施します。
写真はウラジーミル・マラーホフによる特別レッスン。

本格的な舞台を踏む
―舞台実習―

秋の「バレエ・コンサート」と修了公演「エトワールへの道程」の年2回の研修所公演、「バレエ・アステラス」への参加、新国立劇場バレエ公演での実習など、本物の舞台で踊り、お客様にご覧いただくことが何事にも代えがたい貴重な体験となります。

創作への挑戦

研修生は、2年次の夏季休暇の間に自作自演の創作に取り組みます。音楽や衣裳、照明も研修生自身が考え、スタジオで発表します。

世界の舞台で

2018年度より、海外研修を開始しました。また、全日本空輸株式会社と新国立劇場によって、バレエ研修生のための「ANAスカラシップ」が開始され、海外研修を中心とする総合的なサポートが図られています。

国際バレエ学校フェスティバルやロシアのバレエ学校から招聘され、記念コンサート等にも参加して好評を得るとともに、各国のバレエ学校との交流を深めています。