バレエ研修所ニュース
【レポート】ミラノ・スカラ座バレエ・アカデミー海外研修
昨年度に続き海外研修はミラノ・スカラ座バレエ・アカデミーで
ANAスカラシップによるバレエ研修所の海外研修がミラノ・スカラ座バレエ・アカデミーにて実施されました
この海外研修は、全日本空輸株式会社と新国立劇場によって創設された「ANAスカラシップ」制度で実施されています。
出発前羽田空港にて ~いよいよミラノへ~
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(写真左より)第21期生 小寺夏鼓、宮脇沙來、富加見 優、桑山奈那子、寺沼 優
海外研修は、優れた実績を持つ海外のバレエ学校で学び、その国の歴史や文化に直に触れ、研修生の今後の成長に繋げることを目的としています。
今年はバレエ研修所第21期生の桑山奈那子、小寺夏鼓、佐藤みもざ、寺沼 優、富加見 優、三國日々音、宮脇沙來の7名が、約3週間、ミラノ・スカラ座バレエ・アカデミーでレッスンを受けました。
研修生7名は最終クラスの8年生に編入しての受講となりました。
ミラノ・スカラ座バレエ・アカデミーは新国立劇場公演「バレエ・アステラス」に出演するなど、新国立劇場と交流のあるバレエ学校です。
こうした海外研修などの貴重な経験を通して世界でもトップクラスの指導を受けた研修所修了者は、プロフェッショナルな舞台人として、それぞれの世界で目覚ましい活躍を遂げています。
特に近年は国内のみならず海外でも活躍する人材の育成に力点が置かれており、今回の経験は、将来大きな成果として結実するに違いありません。
ぜひ劇場で様々な経験を経て、大きく成長するダンサーたちのステージをご覧ください。
第21期レポートより抜粋

桑山奈那子
バレエ学校では最終学年のクラスに入り、現地の生徒たちと毎日同じレッスンを受けました。基礎や技術面・精神面ともに高い意識を持って取り組む生徒たちの姿に刺激を受け、自分に足りない点を改めて見つめ直す時間となりました。プロのダンサーを目指す上で、クラシックはもちろん、コンテンポラリーも重要であり、学ぶことでバレエの表現の幅もさらに広がると感じました。さらに、イタリアでは芸術が日常のすぐそばにあり、街を歩くだけで歴史的な建物や教会、美しい運河に出会いました。美術館や劇場に限らず、街そのものが芸術であふれており、西洋芸術を学ぶ者として、その空気を肌で感じられたことは何よりの学びでした。目に映るものすべてが刺激となり、今後の自分の表現に生かしていきたいと強く思いました。

小寺夏鼓
クラシックバレエの稽古だけでなく滞在中にイタリアの教会や建築物、美術館をできる限り多く巡りました。レッスンだけでは学べないことや感じない新鮮な感情を沢山知ることができました。バレエ学校では、普段のレッスンやリハーサルから自分を表現する力や感情を表に出すということが足りていないと感じました。バレエ学校以外でも街を歩いている人、仕事をしている人でも自分の意思がはっきりしていて、こういった自分自身を普段から表現するということも時には大事なのだと思いました。ミラノ・スカラ座バレエの素晴らしい公演を鑑賞し、自分が素晴らしい芸術を学んでいるということを再確認でき、自分もこんな感動を与えられるダンサーになりたいという気持ちがますます大きくなりました。

佐藤みもざ
現地のミラノでは生活面、バレエ面、人間関係においても学ぶことの多き日々でした。まず感動した点は、街並みでした。どこを切り取ってもひとつの作品のような風景でとても美しかったです。アカデミーの生徒さんはいつも前向きで、明るく私たちのことを迎えてくれました。彼女たちのフィジカル強さ、ぶれない軸、大きく動ける脚の強さには終始驚かされてばっかりで良い刺激を受けました。先生のご指摘はもちろん、自分の目で見て学ぶことを意識してレッスンを受けていました。ミラノ・スカラ座の舞台も観劇させていただき、リハーサルも特別に見ることができ、とても貴重な時間を過ごすことができました。感じとったことを忘れず、日本で踊っている時も自分自身の成長に繋げられるように心がけながら過ごしていきたいと思います。

寺沼 優
イタリアのミラノには至る所に教会があり数メートル歩いたら別の教会があるほど色々な教会がありました。一つひとつとても大きな教会で教会ごとにその教会の個性を感じる事ができ、ミラノの人々が大切にしているのを学びました。芸術についても同じで、色々な美術館、博物館があり、イタリアの芸術の歴史について触れる事ができました。イタリアの人々が芸術をとても大切にし、更に良いものにしていこうとしている事を感じました。海外研修の中で色々な方々からのサポートのおかげで充実した研修が出来たと思っています。この感謝の気持ちを忘れずに日々生活し、より良い人間、アーティストになれるよう努力していこうと思います。

富加見 優
ミラノでの3週間は、毎日のレッスンに関してはもちろんですが、街並みや文化など生活面でも、日本での日常とは何もかもが違い、全てが新鮮で刺激的でした。アカデミーでは現地の生徒と一緒にレッスンを受ける中で、自分との身体の使い方の違いや、とても大きくエネルギーのある表現など、踊りを見ているだけでも学びになることばかりで、自分自身の踊りに対する視野も広がりました。またミラノには沢山の美術館や教会があり歴史と芸術との深い繋がりを感じることができました。芸術が身近にあり生活の一部として存在しているように感じ、様々な歴史や現地の文化に触れることでこの地でバレエが生まれたのだと改めて実感しました。今回吸収し、体感し、学んだことを忘れず、自分の糧にして今後も精進して参ります。

三國日々音
ミラノ・スカラ座バレエ・アカデミーでの日々は、言葉や文化の違いを超えて、踊りという共通の言語で心が通じ合う貴重な時間でした。アカデミーの生徒たちの姿から、舞台に立つ者として最も大切なのは、失敗を恐れず挑戦し続ける強さであることを学びました。ミラノ・スカラ座バレエの舞台稽古と公演を観る機会にも恵まれ、観客を前にした瞬間に舞台の空気が一変し、ダンサーたちの集中と情熱が一気に高まる様子に心を打たれました。プロフェッショナルとしての意識の高さ、そして舞台に懸けるエネルギーの大きさを肌で感じました。ミラノの街では、歴史的な建築と現代的な文化が調和し、歩くたびに芸術が生活の中に息づいていることを感じました。環境そのものが学びの一部となり、感性を豊かにしてくれました。

宮脇沙來
アカデミーの生徒たちと共に学ぶ中で、私は技術面だけではなく「表現すること」の違いを肌で感じることができました。アカデミーの公演があり、懸命にリハーサルを重ねている姿も印象的でしたが、舞台に上がり音楽が流れた瞬間その表現はまるで別人のように変わり、全身から放たれるエネルギーに圧倒され、舞台で踊ることの力を改めて実感しました。バレエだけでなく、美術館や教会へも訪れ街全体にも溶け込む芸術や歴史に触れることで、表現者としての感性が磨かれる貴重な時間となりました。さらに、家族から離れて生活するなかで、自炊や身の回りのことを自分で行うことを通じて、自立について考える良い機会にもなりました。
ミラノ・スカラ座バレエ・アカデミーでの日々




オフショット集



こうした研修の成果をぜひ劇場でご覧ください。
会場:新国立劇場・中劇場
公演日時:2025年11月15日(土)・16日(日)両日14:00
【出演】 新国立劇場バレエ研修所第21・22・23・24期生
【ゲスト出演】厚地康雄(元英国バーミンガム・ロイヤルバレエ プリンシパル)
【主 催】新国立劇場
【協 賛】全日本空輸株式会社
チケット料金(税込)全席指定:2,750円 Z席:1,650円
>お電話でのお求め:新国立劇場ボックスオフィス03-5352-9999(10:00~18:00)
>WEBからのお求めはこちら
>公演情報ページはこちら
〈〈Programmeプログラム〉〉
●『エチュードI.G.』
振付・指導:イルギス・ガリムーリン
音楽監修・ピアノ演奏:吉田育英
●『海賊』第2幕より パ・ド・トロワ
振付:マリウス・プティパ
音楽:リッカルド・ドリーゴ
●『薔薇の精』
振付:ミハイル・フォーキン
音楽:カール・マリア・フォン・ウェーバー
●『ライモンダ』第1幕より夢の場
振付:マリウス・プティパ
音楽:アレクサンドル・グラズノフ
●『ライモンダ』第3幕よりグラン・パ・クラシック
振付:マリウス・プティパ
音楽:アレクサンドル・グラズノフ