バレエ研修所ニュース

英国ロイヤルバレエ プリンシパルの平野亮一さんによる特別クラスレッスン&サロンを開催しました


7月28日、新国立劇劇場バレエリハーサル室にて、帰国中の英国ロイヤルバレエ プリンシパルの平野亮一さんによる特別クラスレッスンとご本人からお話を伺う「サロン」を開催しました
平野さんの特別レッスンは2021年8月以来2度目の実施となります。

今回は、平野さん指導のクラスレッスン&サロンを第21・22・23・24期生が受講しました。

平野さんは、7月18、19日新国立劇場公演「バレエ・アステラス 2025」に同じく英国ロイヤルバレエの高田茜さんとともにゲスト出演されました。「バレエ・アステラス 2025」は、世界で活躍するバレエダンサー16名と今年の招待校パリ・オペラ座バレエ学校が登場、華やかな舞台が繰り広げられました。ホスト劇場側として新国立劇場バレエ研修所も出演しました。


スタート早々平野さんから研修生たちへ質問が投げかけられます。

「バレエ・アステラスの公演どうだった?パリ・オペラ座バレエ学校どう感じた?」

身体を動かすことから始まる通常のクラスとは最初から大いに様子が異なります。


研修生の一人が「脚が特にきれいだった」と答えると、さらに平野さんからの問いは続きます。

「脚の使い方がきれいだった?それとも持って生まれた脚のかたちがきれいだった?」


バー・レッスンの間も平野さんは実際に身体を動かしながら絶えず研修生たちに問いかけ、語りかけ続けます。

「バレエを踊る時一番大切なことは物語を伝えること。バレエは身体中に言葉、感情を溢れさせる芸術」「プリエは単にプリエではなく感情を伝えるためのもの」「僕たちバレエダンサーの身体は言語、魂を指先にまで込めること...」「足裏で床をしっかり感じて、上方向に引っ張り上げるのが大事」「軸足が命」


平野さんの言葉を聞き、示してくださる手本を見ることで、研修生たちの細かな筋肉の動き一つ一つがみるみる変化し、身体全体の動きが変わっていきます。


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▲バーレッスン風景


センター・レッスンも、普段とは全く異なります。細かな技術面に加えて、舞台でのパフォーマンスを念頭に置いての指導がされていきます。


「上手なダンサーと素晴らしいダンサーの違いは?上手なダンサーは高く飛ぶことができたりと二次元、素晴らしいダンサーは立体的で三次元、四次元は芸術性があるダンサー。一つ一つの動きに命を吹き込むこと」「バレエはやったらやっただけ上手になる、考えたら考えただけ深くなる」「なぜといつも自分に問うこと、なぜと自分に問えば自分で解決できる」


センター・レッスンでは、研修生の緊張感も解け、平野さんの言葉を集中して聞きながら、さらに動けるようになっていき、2時間弱の非常に密度の濃いクラスレッスンが終了しました。


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▲センター・レッスン


今年はクラスレッスンに引き続き、平野さんからお話を伺う「サロン」を初めて開催しました。当初講義形式(座学形式)の予定でしたが、平野さんのご提案でバレエリハーサル室の床に車座になってお話を伺うかたちになりました。


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▲バレエリハーサル室で車座になって平野さんのお話を伺いました 


鏡があって、バーがあって、リノリウムのバレエ床に座って、ダンサーたちが話をしているという、世界中のあらゆるバレエ団で全く同じように見られる光景となりました。

先のクラスレッスンでの先生と生徒という構造がたちまち消え去り、一つの道を究めようとする同志、バレエ芸術を突き詰めていきたいという集まりでの先輩と後輩という風景となります。

そんな親密な雰囲気の中で「なんでも聞いて。全てに答えるから」と、平野さんの言葉でサロンが開始、研修生たちの様々な質問に平野さんは一つ一つ丁寧に具体的なご経験を交え、時にユーモアたっぷりに研修生たちの笑いを誘いながら誠実に答えていかれます。


そして最後に平野さんから「一つだけ教えてあげられないことがある。それは"バレエが好き"という気持ち。これは一人一人違う。この好きという気持ちを忘れないで」というお言葉でサロンは終了となりました。


世界トップダンサーの一人である平野さんによる今回の特別クラスレッスン&サロンは、研修生たちがこれから本格的に歩むバレエ人生において、非常に大きな財産となったに違いありません。



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▲記念撮影。ありがとうございました!!



様々な得難い経験を積みながら成長していく研修生たちへ皆様の温かいご声援・応援を賜りたく、今後ともどうぞお願いします。



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©️Johan Persson

平野亮一 HIRANO Ryoichi

英国ロイヤルバレエ プリンシパル The Royal Ballet / Principal


尼崎出身。4歳から母が主催する平野節子バレエスクールでバレエを始める。
2001年第29回「ローザンヌ国際バレエコンクール」プロフェッショナルスカラーシップ賞受賞。神戸ユース賞、兵庫県マロニエ賞を受賞。
同年9月から英国ロイヤルバレエに研修生として入団。2002年同バレエ団に正式団員として入団が決まる。
2016年にプリンシパルに昇格。同年11月に兵庫県芸術奨励賞を受賞。古典作品から英国の演劇バレエの代表作まで幅広い作品をレパートリーに持つ。
新国立劇場公演には2018、25年「バレエ・アステラス」に高田茜さん(英国ロイヤルバレエ プリンシパル)と、22年平田桃子さん(英国バーミンガム・ロイヤルバレエ プリンシパル)ともにゲスト出演。