先週1月22日（水）の『カルメン』夜公演終了後、飯守泰次郎オペラ次期芸術監督による2014/2015シーズンオペラお客様向け演目説明会が開催されました。以下では、約１時間にわたった説明会から一部をご紹介いたします。

　  　抱負を語る飯守泰次郎オペラ次期芸術監督　　　　　　　　 　大勢のお客様にご来場いただきました

まず、オペラ中心の自身のキャリアについて。
「自分の指揮人生は、何かの力でオペラに引き寄せられてきた。大学時代から藤原歌劇団のピアニストを務め、卒業後、藤原歌劇団『修道女アンジェリカ』でオペラ指揮デビュー。翌年、ソプラノの伊藤京子さんがヴィオレッタを務められた労音の『椿姫』で1年間に51回日本中で公演を行い、将来ヨーロッパでオペラの仕事をしようと誓った。その後、NY、ドイツに留学し、人の縁からバイロイトで音楽アシスタントを10数年務め、また、ブレーメン、ハンブルクなど多くのオペラハウスで仕事をした。オペラは、人間の中に在るあらゆるものを音楽で描きえぐりだす。最後に新国立劇場の芸術監督になり重責を感じる。新国立劇場の１６年の歴史を受け継ぎながら私自身の経験を活かして臨みたい。」

つづいて、新制作３演目について。
「開幕はワーグナー最後の作品、集大成である『パルジファル』。新国立劇場ではワーグナー主要作品でこれだけ上演しておらず、ちょうど機が熟していた。宗教的、哲学的な作品であるが、人間のむき出しの欲望を描いている。『パルジファル』では、救済をもたらす英雄が"英雄"ではない、というところがあり、ワーグナーの価値観の転換が見られる。演出は、バイロイトでも一緒に仕事をしたことがある巨匠クプファー。８０歳近いが未だに進歩を続けている。歌手には世界最高の方を呼びたいと思い、トムリンソン、ヘルリツィウス、フランツを迎えた。３人とも円熟の極みでぜひご期待いただきたい。」

「３月の『マノン・レスコー』は、３年前東日本大震災で初日直前に中止になった公演の復活公演。当時、リハーサルを重ねていた主要キャストが揃った。指揮は、新たにモランディにお願いした。自分はプッチーニの大ファン。『マノン・レスコー』の魅力は深いところにあり、若いプッチーニの香り、プッチーニの性格がよく出ている作品。」

「５月に新制作上演するのは『椿姫』。自分の一生を変えることになった作品でもあり、個人的な愛情もあるかもしれない。文句なしに楽しめる悲劇。キャストには思い切って若手を起用した。ヴィオレッタ役のコスは、2010年ヴェローナの『椿姫』で一躍注目を浴びたソプラノ。コスとアルフレード役のポーリはまだ20代であり、若く才能ある歌手をいち早く日本に紹介できて嬉しい。演出をお願いしたのは、フランス人のヴサール。素晴らしい美的感覚、色彩感覚を持っており、モダンだが音楽によく合う舞台を作る演出家。日本の聴衆にも愛される、そして永く上演できる舞台を作ってほしいと依頼した。」

再演については、時間の都合で若干駆け足になってしまいましたが、『ドン・ジョヴァンニ』『こうもり』のアドリアン・エレートをはじめ、「役柄に合う声を重視してキャスティングした」とのことです。

飯守自ら『さまよえるオランダ人』の指揮を執るほか、どの演目にも、それぞれの役柄にふさわしい注目の歌手陣と実力派の指揮者が登場します。

2014/2015シーズンオペラにどうぞご期待ください！

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