『尺には尺を』10/27初日に向け、第14期生が一丸となって全力疾走中!稽古場レポート【前編】
8月に手塚治虫原作の朗読劇+ダンス『オズマ隊長』で大熱演を見せた演劇研修所第14期生は、
今月、シェイクスピアの試演会『尺には尺を』に挑戦します。
9月初旬からリハーサルが開始され、10月27日(火)の初日に向け、14期生が一丸となって全力疾走中!
今回は研修生たちのコメントを交えながら稽古風景をレポートします。
▼演劇研修第14期生8月公演朗読劇+ダンス『オズマ隊長』(中央オズマ隊長・今井公平)撮影:細野晋司
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試演会『尺には尺を』概要
【あらすじ】
ウィーンの公爵ヴィンセンシオは外国に旅行すると偽り、厳格なアンジェロに公爵代理を委任する。そして、修道士に変装し、アンジェロの統治ぶりを見ていた。
若い紳士クローディオの恋人ジュリエットが妊娠し、クローディオはアンジェロから、姦淫罪で死刑を宣告されてしまう。
クローディオの妹イザベラは兄の命を救うため、アンジェロを訪ね、嘆願する......。
【人物相関図】
キャスト
ヴィンセンシオ(ウィーンの公爵)............星 初音
アンジェロ (公爵の代理)................. 大西 遵
エスカラス (老貴族)........................佐藤勇輝
クローディオ (若い紳士).....................今井公平
ルーシオ (放埓な男).....................仁木祥太郎
刑務所長...............................................田畑祐馬
ピーター (修道士)........................五十嵐遥佳
ポンピー (オーヴァーダンの召使い) 伊藤 麗
アブホーソン (死刑執行人)..................濵田千弥
バーナーダイン(放埓な囚人)..................佐藤勇輝
イザベラ (クローディオの妹)......... 前田夏実
マリアナ (アンジェロの許嫁)......... 渡邊清楓
ジュリエット (クローディオの恋人)...... 加部 茜
フランシスカ (修道尼)........................五十嵐遥佳
オーヴァーダン(女郎屋の女将)............... 濵田千弥
市民たち、役人たち、従者たち(公爵役以外)全員
report❶顔合わせ~シェイクスピア作品は手ごわい~<9月中旬>
9月中旬、演出の山崎清介、美術の松岡 泉、音響の角張正雄、衣裳の三大寺志保美、舞台監督の野口岳大、演出助手の高嶋柚衣(第11期修了)らクリエイティブ・スタッフも集結し顔合わせが行われました。
宮田慶子演劇研修所長より、「シェイクスピア作品は手ごわいです。言葉を大切に、言葉の中身を大切に今までの研修成果が表現として実を結ぶように、気を抜かず、力のかぎり、トライし続けてほしい。」との激励の言葉。
今回14期生のために台本を構成した演出の山崎清介さんが、「基本的に言葉は大切。俳優は演じながらお客様に伝える仕事。公演の稽古を通して大いに勉強し、育ってもらう場になるように」と期待をこめて、研修生たちに語りました。
言葉ひとつひとつの丁寧な解説受けながら、14期生たちの読み合わせ稽古が進んでいます。
▲宮田慶子研修所長 ▲演出・山崎清介
▲緊張の面持ちの第14期生たち
report❷ポンピー役・伊藤麗(いとう・れい)時代や地域が違っていても、人間が泣いたり笑ったり悩んだりする姿は変わらない、だからこそ古典は面白い
「シェイクスピアって硬くて暗くて難しい......。」
これは私がかつて抱いていた偏見に近いイメージです。
ですが、この研修所に入所して、いろんなことを見聞きし経験していく中で、そのイメージは覆りました。
時代や地域が違っていても、人間が泣いたり笑ったり悩んだりする姿は変わらないのだ、
だからこそ古典は面白いのだ、と今は心から思います。
私が演劇に向かうとき、「人間とは一体、何なのだ」という問いがいつも私の好奇心を刺激します。
この作品をご覧いただくお客様とも、その問いを共有して楽しんでいただけるように、
精一杯試行錯誤しながら作品づくりを進めたいと思います。
★みどころ★
この作品には、個性が強く魅力的なキャラクターばかりが登場します。
彼らを立体化し、彼らとして存在できるよう工夫を重ね、挑戦しますので、
ぜひ観にいらしてください。
report❸イザベラ役・前田夏実(まえだ・なつみ)素直だからこそ損をしたり、正直だからこそうまくいかない様子は、人間の本質を覗いているようでゾクゾクします
この『尺には尺を』に登場するキャラクターは、みんなエネルギーに溢れています。
どの人物も人間味があり、欲と正義に板挟みになっています。
素直だからこそ損をしたり、正直だからこそうまくいかない様子は、人間の本質を覗いているようでゾクゾクします。
稽古が始まってから今日まで、シェイクスピアの言葉を、自分の身体を通じて表現することに、楽しみと難しさを感じる日々です。
シェイクスピアが描いた世界に14期12人で飛び込み、それぞれの役割の中で躍動する姿をお見せできればと思います。
★みどころ★
個性豊かなキャラクターが持つ、それぞれの「尺度」を楽しんでください。
尺の方向や長さが違うからこそ、争いや誤解が生まれてしまうのかもしれません。
report❹ヴィンセンシオ公爵役・星初音(ほし・はつね)シェイクスピア作品は、詩的で美しい文章の中に言葉遊びが隠されていたり、つい口ずさんでしまうくらい魅力的なセリフがたくさんあります
研修所1年次のシーンスタディでは『ロミオとジュリエット』のバルコニーのシーンを、
2年次のシーンスタディでは『マクベス』のマクベスとマクベス夫人のシーンをペアで演じた事はありましたが、
シェイクスピア作品を丸々1作品作り上げるのは、今回の『尺には尺を』が初めてです。
シェイクスピア作品は、詩的で美しい文章の中に言葉遊びが隠されていたり、
つい口ずさんでしまうくらい魅力的なセリフがたくさんあります。
それに伴い、普段自分の生活では使わない言葉や言い回しもたくさんあるので、その言葉をどうしたら自分の言葉にできるか、
わかりやすく伝えるにはどう工夫すればいいかを日々探求しています。
そして、今回私はこの作品の要となる「ヴィンセンシオ公爵」を演じます。
登場人物の中で1番ステータスの高い人物です。厳しい威厳と優しい慈愛を持ち、人の喜びが自分の喜びとなるような格式高い公爵を、
自分にしかできないような表現で演じられるように、残りの1か月で誠心誠意役と向き合っていきたいと思います。
★みどころ★
舞台の12本の柱に注目!12本の柱を動かすことによって舞台が様々な場所に変化していきます。
その周りを動く役者と柱の関係をお楽しみください。
そしてアンサンブルの存在!アンサンブルの俳優たちがいろいろな存在へと姿を変え、あるシーンでは登場人物の本音を、
またあるシーンでは教えを諭したり、詩を読んだり......
公爵が姿を変えて様々な人物と関わり、最後にたたみかけていくシーンや、その公爵に翻弄される他の登場人物にもご注目ください。
report❺マリアナ役・渡邊清楓(わたなべ・さやか)他者を理解するのが大変なように、自分のことですらわからないことでいっぱい。そんな極めて人間的な葛藤が愛しくも、どきっとする作品
私が演じるマリアナは、
"婚約者アンジェロに無慈悲に捨てられるも、5年もの間彼を想い続ける"女性です。
「一体それってどういうこと?」
「どんな気持ちを抱えているの?」
わたしにはちょっと信じられないような思いも、信仰や歴史や作品を紐解くことで少しずつ理解ができるようになってきました。
今は彼女がとても強く、愛に溢れている女性なのだと感じています。
でもきっと、まだまだそれだけではありません。
マリアナが作品の中で語ることのできる言葉は限られています。
でもそれは、彼女が何年もの間自分自身に問いかけ続け、戦ってきた時間を経て、やっと紡ぎだされた言葉たちです。
抱えてきた気持ちをどのように舞台に乗せるのか。
彼女と共にわたしも戦い続けます。
★みどころ★
初めて『尺には尺を』を読んだときは「登場人物がみんな極端すぎて狂っている!」と思い、
ゲラゲラ笑ったり、心底ぞっとしたりしていました。
繰り返し読んでいくと、最初は"狂っている"と思っていた人間たちがそれぞれ、真剣に生きてもがいていることが感じられて、
笑い事ではなくなっていきました。
そして稽古進行中の今も、また印象が変わってきています。
『尺には尺を』はシェイクスピアの"問題劇"とされ、正義や真実、権力などの問題を問うていると言われています。
確かにわたしたちが抱いている社会的な疑問や、もやもやに通じるものがたくさんある作品です。
でも私は"問題劇"であることにとらわれず、眉間にしわを寄せずにご覧頂きたいと思います。
この作品の人物たちは、誰しもがちょっと間違ってしまっていたり、悩んでいたり、
ずるかったりと絶対的な正しさがないからこそ魅力的です。
自分自身のことなのに、自分でも思ってもいなかった行動をしてしまう。
思ってもいなかった感情が沸き起こる。
思いきって殻を破って行動する。
他者を理解するのが大変なように、自分のことですらわからないことでいっぱい。
report❻オーヴァーダン役&アブホーソン役・濵田千弥(はまだ・ゆきや)重要であったはずのことが突然陳腐なものと感じられたり、人の価値観はとても脆く変わりやすい、だからこそ人間は興味深い
イギリスの偉大な戯曲作家であるシェイクスピアの作品に今回挑戦させて頂きます。
研修所の授業でもシーンスタデイなどで何本か作品に関わる機会があり、シェイクスピア作品に出演することが自分の夢の一つでしたが、
こんなにも早く夢の一つを叶えることが出来てとても嬉しいです。
シェイクスピアの言葉はとても美しく、力強さを感じます。その言葉をセリフとして扱う難しさも日々の稽古で痛感します。
当時の人物がもつエネルギー量の大きさに圧倒され、自分の役者としての力量の無さを感じています。
そのセリフを自分の物にすることはとても難しいことだと思います。
が、シェイクスピアのセリフに向き合うことによって、役者として必ずレベルアップでき、それが作品の質の向上にも繋がります。
初日までの1ヶ月間気を抜かず必死に食らいついていきます。
★みどころ★
現代でも問われている「人間の本質とはなにか」が『尺には尺を』のテーマになっています。
本質は人によって違い、権力であったり、お金であったり、家族であったりと様々です。
今回登場する人物達はその本質に悩まされて困難に陥ります。
己にとって何が最も重要なのか。
その最も重要であったはずのことが突然陳腐なものと感じられたり、人の価値観はとても脆く変わりやすい、
だからこそ人間は興味深いのだと思います。
今回私が演じるのは、女郎屋の女将オーヴァーダンと死刑執行人のアブホーソンの二役です。
もちろん女性になった事もないし、死刑を執行した事もありません。
自分の想像力をフルに引き出し、二役を演じ分けたいと思います。
report❼アンジェロ役・大西遵(おおにし・じゅん)約400年前に書かれたシェイクスピアの言葉は現代の私たちが読んでもとても美しい
今回、僕はアンジェロという役をやります。
この男は謹厳実直と言われ、石のような人間です。
そんな男が突然恋に落ち、どう変化していくのか、日々稽古の中で模索しております。
自分の地位や信念を捨ててまで1人の女性を愛してしまう。そんな女性とはどんな人物なのだろう。日々相手役との芝居の中で探しています。
どんなアンジェロになるか、乞うご期待です!
★みどころ★
小田島雄志氏訳の『尺には尺を』を演出の山崎清介さんが、より現代に親しみやすいものに構成、手直しされています。
約400年前に書かれたシェイクスピアの言葉は現代の私たちが読んでもとても美しいものです。
その言葉を14期生の仲間とともに、どのように舞台上で表現できるのか、是非劇場でご体験ください!
チケット残券情報
・10月31日(土)14時A席完売、10月28日(水)14時/11月1日(日)14時A席僅少
・夜公演<10月27日(火)18時30分、29日(木)18時30分、30日(金)18時30分>良席あります。
・学生券・ジュニア券は1,000円‼よりお得です。
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