朗読劇「ひめゆり」事前国内研修を行いました
新国立劇場演劇研修所第13期生は、全日本空輸株式会社による新国立劇場若手俳優育成のための国内研修事業支援のもと、舞台の地・沖縄にて事前国内研修を行いました。(5月13日(月)~17日(金))
沖縄が本土に復帰したのは47年前の1972年5月15日。重い米軍基地負担の解消を訴える5・15平和行進が行われる時期の沖縄にて、平和について深く考える研修となりました。
ひめゆり学徒隊が勤務した南風原陸軍病院壕、糸数分室(アブチラガマ)、米軍の攻撃によって多くの島民・学徒が犠牲となった第三外科壕など、台本に出てくる壕・ガマを多数見学。
ひめゆり平和祈念資料館では、作品の出典のひとつ、「私のひめゆり戦記」の著者、宮良ルリさんのインタビュー動画も拝見し、戯曲への理解を深めました。
南端へと追い詰められた学徒隊の最後の地となった、美しい珊瑚礁が広がる荒崎海岸にも赴き、青い海に手を合わせました。
激戦地であった沖縄の市街地では今もまだ多数の不発弾が発見されるとのこと。
基地の見学にも行き、戦後74年の今なお残る爪痕の生々しさを実感しました。
また沖縄の劇団の方々はじめ、明るく温かい現地の方々との交流も心に残ります。
その場所でしか感じることのできない空気・音・匂いを体験し、語り継ぐべき出来事を紡ぐことへの覚悟と決意を新たにしました。
琉球の歴史を今に伝える首里城の見学。沖縄戦当時は第32軍の司令部が、地下を掘って設置されていました。
首里城の周辺を含む現在の那覇市街は、激しい戦闘・空襲があった場所です。
首里城も沖縄戦で全焼しましたが、当時の写真や証言をもとに、丁寧に復元作業が続けられています。
糸数アブチラガマ。内部は広く、この中でひめゆり学徒隊も負傷兵の看護にあたりました。
南風原陸軍病院跡。飯あげの道は、爆撃の中、ひめゆり学徒隊が命がけで食糧を運搬した道です。
沖縄県立博物館・美術館。9期生は2015年に朗読劇『少年口伝隊一九四五』をここで上演しました。
ひめゆり女学園の跡地に、同窓会館があります。
その2階の「ひめゆりピースホール」では、いまも同窓生の方が集まってコーラスの練習などをしているそうです。
ひめゆりの塔。解散命令が出てから、この壕はガス弾の攻撃により多数の犠牲者を出しました。
荒崎海岸。南端まで追い詰められた学徒隊の方々が最後にたどり着いた場所で、多数の方がここでも命を落とされました。
ひめゆり平和祈念資料館。館長の普天間朝佳さんに、一日戦跡のご案内をしていただきました。
国立劇場おきなわ。ここの小劇場で、8月21日(水)に沖縄公演を行います。
シムクガマの内部より。この近くのチビチリガマでは集団自決により多数の犠牲者が出ましたが、このガマでは避難していた島民が米兵に投降し、全員生還しました。内部は当時のまま残されており、奥まで入ることができます。懐中電灯をつけないと真っ暗闇。1000人弱が避難していました。
激戦地の嘉数高台公園から、普天間基地も見えました。
基地に帰っていくオスプレイです。
最終日の5月17日(金)は、ちょうど戯曲にも出てくる波上宮の波上祭が行われている日でした。
ひめゆり学園の生徒が初めて制服を着るのが、この波上祭だったということです。
旧海軍司令部壕。
戯曲の世界を直接肌で感じ、より理解が深まる、とても充実した研修となりました。
忘れてはならない記憶を語り継ぐ覚悟とともに、朗読劇「ひめゆり」の稽古・公演に臨みます。
朗読劇『ひめゆり』 東京公演 新国立劇場小劇場
8月9日(金)19時/10日(土)14時/11日(日・祝)
A席2,160円 B席1,620円(学生券は各席とも半額)
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