演劇公演関連ニュース

演劇『モグラが三千あつまって』にて目や耳に障がいを持つお客様への観劇サポートを実施いたしました

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7月22日(土)、23日(日)、27日(木)、28日(金)の演劇『モグラが三千あつまって』にて、目や耳に障がいを持つお客様向けのサポートを実施いたしました。

今回、目に障がいをお持ちの方向けのサポートには47名、耳に障がいをお持ちの方は16名、総勢63名のご参加をいただきました。(そのうち、障がいをお持ちの方は29名)

今回の公演は大人もこどもも楽しめるシリーズ。登場人物であるモグラ、イヌ、ネコたちが繰り広げる物語をお楽しみいただけるように行った工夫や、実際のサポートの様子、そしてサービスの内容をご紹介いたします。


目に障がいをお持ちの方向けの観劇サポート(7月22日(土)、7月27日(木)開催)

事前舞台説明会

小劇場内でのご説明の前に、クローク前にて舞台装置の模型や衣裳、小道具に実際に触れていただきながら、今回の公演の特徴についてご説明しました。

舞台模型の体験では、今回の舞台形状が四方を客席が囲むアリーナステージであること、小劇場の壁に施された原作の挿絵をもとにした遊び心のある装飾についてお伝えし、お客様に模型に触れていただきながら会場のイメージを膨らませていただきました。

また、今回の作品では衣裳にも工夫が施されています。4名のキャストがよく伸びる材質を使用した衣裳を変形させることで、モグラ、イヌ、ネコをそれぞれ演じ分けるところも見どころの一つ。スタッフ自らが着用した衣裳に実際に触れていただきながら、変形の方法や特徴をお伝えしました。

さらに、段ボールでできたイヌの人形にも触れていただきました。イヌの耳や口が動く仕組みになっており、素材も様々なものを組み合わせて使用していることをご説明しました。

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舞台模型。今回の上演では、舞台が会場中央にあるアリーナステージを採用しました。
模型製作:一般社団法人日本舞台美術家協会「触る模型」委員会
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舞台の真ん中に円形のセットが設けられていることをお伝えしました。
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つなぎの衣裳を変形させながらモグラ、イヌ、ネコを演じ分けます。
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段ボール人形。一部が可動式になっています。


次に、小劇場に移動し客席で解説をお聞きいただきました。

解説役は演劇研修所第4期修了生の土井真波さん。今回の舞台には円形の段が2つ組まれており、「フロア」と呼ばれる、一番前の座席と同じ高さの床面と、一段上ったところにある「下段」、さらに一段上がった「上段」、そしてフロアのさらに下の「穴」によって構成されていることをご説明しました。この表現は後ほどご紹介する「音声ガイド」にも対応しています。また、舞台を客席が取り囲む形状であることから、今回は「左右」という言い方はせず「東西南北」で登場人物の位置関係を表現することもお伝えしつつ、各方面を向いた時の声の聞こえ方についてもご体感いただきました。

また、会場全体の壁一面に段ボールが貼り付けられており、モグラがひっかいた跡のような絵が施されているのも、今回の会場の大きな特徴のひとつ。モグラの住む土の中にいるかのような雰囲気が醸し出されています。

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解説役の土井真波さん。
舞台装置の形状や雰囲気、音の聞こえ方をご案内しました。


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今回の舞台形状。フロア、下段、上段、穴で構成されています。

全体説明の後は、実際に舞台装置に触れたり座っていただく時間を設けました。また、フロアの下の穴にもぐれる構造になっており、中でも演技が行われるほか、早替えに使用されたり、舞台スタッフが小道具を出し入れすることなどもご説明しました。

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円形の舞台装置。小劇場の壁と同様にモグラがひっかいた跡のような絵が描かれています。
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穴からスタッフが顔を出す様子。お客様にも手を伸ばしていただき、穴の形状をお伝えしました。

上演中のリアルタイム音声ガイド

上演中にはリアルタイム音声ガイドのサービスをご提供しています。このサービスは、舞台上の照明や装置・小道具、俳優の動作について別ブースからナレーターがリアルタイムに行う解説を、実際の舞台の生音と同時にイヤホンでお聞きいただけるものです。片耳にのみイヤホンをご装着いただく仕組みになっており、キャストの声を妨げることはありません。

解説のナレーターは持丸あいさん。モグラ、イヌ、ネコの演じ分けや会話以外の動作や情報について簡潔かつ丁寧に解説をしていきます。上演直前には作品の見どころ解説も配信されるほか、今回の演出では上演直前にキャストたちがアドリブで客席を練り歩いたり、お客様に話しかけたりする様子も音声でお伝えし、楽しげな会場の様子を共有しました。

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リアルタイム音声ガイド。シンプルな作りで操作も簡単です。
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事前に使用方法についてスタッフより説明が行われ、
聞こえ方などをご確認いただけます。

耳に障がいをお持ちの方向けの観劇サポート

手話通訳などの受付時のサポート

耳に障がいを持つお客様向けの観劇サポートの受付には、事前に準備したご案内シートや手話通訳者、要約筆記者を配置しております。チケットの受け渡しといったご案内のほか、その場でのご質問にもお答えできる体制となっています。

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手話通訳の様子。通訳者は口元が見えるマスクを着用してご案内しました。
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要約筆記の様子。

ポータブル字幕機の貸出

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音の情報を文字でご覧いただける、ポータブル字幕機をお貸し出しいたしました。
文字は劇の展開に合わせて自動で切り替わる仕組みで、お客様ご自身での操作は必要ありません。ご希望の方には膝上に字幕機を固定するためのクッションもお貸し出ししています。

開演前後のアナウンスは、振付家の近藤良平さんが担当。終演後にはお礼のメッセージもポータブル字幕機に表示されました。

会場内におけるサポート

会場スタッフは視覚的にお客様にご案内ができるよう、会話用のフリップを準備しております。新国立劇場の主催公演では案内係が指差し会話表や筆談具、音声・文字変換アプリを準備しておりますので、お困りの際は気兼ねなくお近くの係員をお尋ねください。





新国立劇場は、多くの方にとって舞台芸術や劇場が身近なものになりますよう、これからも様々な取り組みを続けてまいります。




次回の観劇サポート(演劇『尺には尺を』『終わりよければすべてよし』)

目に障がいのあるお客様向け(開演前舞台説明会&リアルタイム音声ガイド)

尺には尺を

10月29日(日)  13:00開演  (受付 11:00~11:30)
11月16日(木)  13:00開演  (受付 11:00~11:30)

終わりよければすべてよし

11月11日(土)  13:00開演  (受付 11:00~11:30)
11月18日(土)  13:00開演  (受付 11:00~11:30)

耳に障がいのあるお客様向け(手持ち型ポータブル字幕機の貸出)

尺には尺を

11月11日(土)  18:00開演  (受付 17:30~公演終了まで)
11月12日(日)  13:00開演  (受付 12:30~公演終了まで

終わりよければすべてよし

11月 5日(日)  13:00開演  (受付 12:30~公演終了まで
11月11日(土)  13:00開演  (受付 12:30~公演終了まで


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