演劇公演関連ニュース

演劇『反応工程』にて目や耳に障害を持つお客様への観劇サポートを実施いたしました

7月18日(日)13時、21日(水)14時、22日(木・祝)13時の演劇『反応工程』(会場:新国立劇場 小劇場)公演にて、目や耳に障害を持つお客様向けのサポートを実施いたしました。

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今回、耳に障害をお持ちの方向けのサポートには7名、目に障害をお持ちの方向けのサポートには17名、総勢24名のご参加をいただきました。(そのうち、障害をお持ちの方はのべ14名)
サポートの様子を、より様々なお客様に本作品をお楽しみいただくために行った工夫とともにご紹介いたします。

耳に障害をお持ちの方向けの観劇サポート(7月18日(日)開催)

ポータブル字幕機の貸出

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字幕機は客席で手元に持つのにぴったりのサイズ。
ストラップや膝上に置くクッションもお使いいただけます。

音の情報を文字でご覧いただける、手持ち型ポータブル字幕機をお貸し出しいたしました。

本作は多くの登場人物が舞台上を駆け巡り、セリフを交わす会話劇です。そのスピーディーなドラマをご堪能いただくため、セリフだけでなく、物語の理解に重要な音楽や効果音の情報も表示しました。

字幕は劇の進行に合わせて自動的に切り替わり、舞台上の動きと同時に追いやすい仕組みです。また、人物により文字の色や太さに違いを出す工夫も凝らしました。

また、開演前・終演後のご案内アナウンスも表示されますので安心してご観劇いただけます。コロナ感染予防対策として行っている分散退場のご案内も字幕で行っております。

手話通訳などの受付時のサポート

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手話通訳を交えた指差しでの受付の様子
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要約筆記でのご案内の様子

観劇サポート公演の受付では、手話通訳者と要約筆記専門スタッフが待機しております。また、受付スタッフは事前に準備した文章を指さしながらご案内を行っています。
コロナ禍ではありますが、耳に障害をお持ちのお客様にとっては口元の動きが大変重要であるため、ご説明のときに限って受付スタッフはマスクを外しています。

今回も、チケットと字幕機のお渡し、場内のご移動をご希望に応じた方法でサポートいたしました。

書面でのご案内

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座席の位置や避難経路、案内アナウンスの内容は書面でもお渡ししております。

受付でのご案内の内容を、入場後にもご確認いただけることに安心されたご様子のお客様が多くいらっしゃいました。




目に障害をお持ちの方向けの観劇サポート(7月21日(水)、22日(木・祝)開催)

事前舞台説明会


開演前の舞台説明会では、まずは今回の会場となる小劇場客席にお入りいただき、舞台上から作品の設定やステージの形状をご説明しました。
舞台となる軍需工場の4階は、上下につながる階段や通路で表現されています。その他にもテーブルや小上がり、柱などで作りこまれている舞台上の様子を、一つ一つ取り上げてお伝えしました。

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時計の文字盤に例えて物の位置をお伝えしました。
テーブルを叩いて音を出してみる場面も。

説明役の菊池夏野さんが「〇時の方向に〇歩進みます」などとお伝えしながら舞台上を動き回ることで、お客様には俳優が立つ位置によって変わる声の聞こえ方を実際に体験していただきました。

セットの解説と声の聞こえ方を同時にお伝えすることで、ステージのどこで会話が行われているかを認識なさる助けになったのではないでしょうか。


次にお客様をホワイエにご案内しました。続いては舞台装置の模型や実際に使用されている小道具などを触って体験するタッチツアーのはじまりです。
感染対策のビニール手袋をご着用の上、数人のグループに分かれて、各模型・小道具の説明を順に聞いていただきました。

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下り階段の周りにある柵のイメージをつかんでいただきます。
また、舞台用に大きく作ってある工具に驚いていらっしゃいました。
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戦時中特有の覆いのついた電灯。不自然な静寂があるときは
これを下ろしている場面が多いと解説しました。

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劇場内でも解説した舞台の形状を、
模型を使ってさらにわかりやすくお伝えしました。
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物語終盤に開く、奥の壁の模型。
開く前後の形状を触って確認していただきました。

上演中のリアルタイム音声ガイド

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そして、上演中にはリアルタイム音声ガイドをご使用いただけます。

リアルタイム音声ガイドとは、照明や俳優の動作など舞台から聞こえる音だけでは理解しづらい舞台の様子について、別ブースからの"生放送"で解説するシステムです。
機器はイヤホンを片耳に挿す形状で、お客様は舞台の生音と同時に解説をお聞きいただけます。

今回はナレーターの彩木香里さんが俳優のセリフや効果音の合間に分かりやすく補足を加えていました。




その他にも、観劇サポート公演ご参加の皆様へは、あらすじや見どころ、出演者自身による役どころの紹介を収録した「声のプログラム」をご希望に応じて提供しております。


観劇サポートは今秋の公演でも実施する予定です。ウェブサイトでの続報をお待ちください。
なお、観劇サポート対象日以外でも、新国立劇場内のスタッフは筆記具や指差し案内表の携帯などを行い、お客様との円滑なコミュニケーションに努めております。また、盲導犬をお連れになってのご観劇、車椅子でのご来場も歓迎しております。

新国立劇場は、これからもさらに様々な方に舞台芸術をお楽しみいただける環境づくりに努めて参ります。