シュート・ザ・クロウ (イギリス)

  • 2008/2009シーズン
  • シリーズ・同時代【海外編】Vol.2
    Shoot the Crow

    北アイルランド発!
    不思議なユーモア漂うタイル貼り4人の会話劇


  • 小劇場

作:オーウェン・マカファーティー  作家からのメッセージ→
翻訳:浦辺千鶴 小田島恒志
演出:田村孝裕

出演:板尾創路
    柄本 佑
    阿南健治
    平田 満

現代海外戯曲を日本演劇界の若手が演出する企画、シリーズ・同時代【海外編】第2弾は、北アイルランドを代表する劇作家オーウェン・マカファーティーの『シュート・ザ・クロウ』が登場します。マカファーティーの作品が日本に紹介されるのは今回が初めてとなります。
本作品は1997年にアイルランドで初演され、2003年にはマンチェスターにてイギリス初演、2005年にはロンドンのトラファルガー・スタジオで上演され絶賛されました。タイル貼り職人4人の人生が見える不思議なユーモア漂う会話劇の妙が味わえます。
演出は劇団ONEOR8を主宰し、外部公演やテレビの脚本も手がける田村孝裕がつとめ、キャストは、舞台や映画など幅広く活躍中の、表現豊かな4人の演技派による組合せが実現しました。
イギリスの演劇シーンで今最も注目される劇作家のひとり、マカファーティーの日本初演の舞台にどうぞご期待ください。

「シュート・ザ・クロウ 豆ちしき」連載中→こちら!

ものがたり

北アイルランド、ベルファストの建築現場で働く4人のタイル貼り職人の1日。今日を最後に仕事をやめるディンディンは、大量のタイルを盗み、売りとばすことをランドルフに提案する。が、同じころ別室のソクラテスとピッツィもタイルを盗む計画を立てていた……。


作家 オーウェン・マカファーティからのメッセージ
『シュート・ザ・クロウ』は、“仕事”についての作品にしたいと常々思っていました。
この作品を執筆していた当時、私はタイル貼りの仕事をしていたので、舞台をタイル貼りの世界に設定することは当然といえば当然のなりゆきでした。それならばこれはタイル貼りの世界を描いた作品なのかというとそうではなく、最初に述べたとおり、仕事についての作品です。私はこの作品を通して、仕事に内在する矛盾について考えたいと思ったのです。
世の中には好きでもない仕事に就いている人が大勢います。彼らは何年もの間、毎日足を引きずるようにして職場へ出かけて行き、自分の仕事と、それにどれほど長い時間を割かなければならないかということに対して文句を言い続けるわけです。けれどその仕事がなければ、彼らは何者でもありません。何の役にも立てず、何で人生を満たせばいいのか戸惑い、苦しむことになります。私たちは仕事が嫌いなのに、その仕事がないとどうしたらいいのかわからなくなってしまうのです。また、たいていの人は、仕事のおかげでより良い人生が送れると思い込んで自分を誤魔化しています。そのせいでもっと働かなければ、もっと頑張らなければというプレッシャーを感じてしまうのです。ところが一旦仕事を引退すると、無駄な時間を過ごしてしまったのではないかと思い始めます。仕事に人生を捧げてきたのに、本当に裕福になれる人はほとんどいません。それでも家庭生活を無事送ることができるのは、仕事をするからこそなのです。
以上のようなことを並べたところで、いかにも面白くなさそうなので、『シュート・ザ・クロウ』はコメディーにする必要がありました。お互いに話をしたり、喧嘩をしたりしながら仕事をする男たちのコメディーです。男たちは相手を裏切りながら、誠実さも垣間見せます。結局のところ、私たちが仕事を続けるのは、仕事仲間と一緒に過ごした時間があるからなのかもしれません。
新国立劇場の『シュート・ザ・クロウ』公演をとても楽しみにしています。
Owen McCafferty