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オペラ「エウゲニ・オネーギン」リハーサルが始まりました
2019/2020シーズン開幕公演・令和元年度芸術祭オープニング『エウゲニ・オネーギン』のリハーサルが始まりました。
『エウゲニ・オネーギン』は、「ロシア・オペラを新国立劇場のレパートリーに充実させたい」という大野和士オペラ芸術監督の構想のもと新制作をしていくロシア・オペラの第1弾で、チャイコフスキーのオペラ代表作です。
演出には、モスクワの劇場ヘリコン・オペラの芸術監督であるドミトリー・ベルトマンを招きます。ベルトマンは斬新な感覚でオペラに新風を吹き込むと評判で、自身の立ち上げたヘリコン・オペラを劇場通が集う人気劇場に育て上げた敏腕演出家です。

稽古初日には冒頭に、指揮のアンドリー・ユルケヴィチが挨拶。「若い頃からこの『エウゲニ・オネーギン』の魅力に憑りつかれていました。ロシア・オペラはとても感情豊かで、魂が込められているのが特徴。この作品に書かれた愛情を分かち合いたい」と親しみを込めて述べました。
続いて、『エウゲニ・オネーギン』を演出するのは9回目というベルトマンから、作品とチャイコフスキーについての該博な知識、楽譜の徹底的な読み込みに基づいた演出コンセプトが説明されました。
「この演出で、『エウゲニ・オネーギン』は情熱にあふれた作品だと皆さんにお伝えできるようにしたい」と愛と情熱あふれる説明をスタート。

「宇宙だろうと日本だろうと場所は関係なく、人は同じように悩んだり苦しんだり、泣いたり笑ったりするものです。チャイコフスキーの音楽と人生に憑りつかれ、ある発見をしました。彼の音楽はすべて彼の人生そのものなのです。チャイコフスキーの音楽には、思いつきは一つもありません。私の解釈するチャイコフスキーは、全くメランコリックな作曲ではありません。情熱にあふれ、ある時は真っ赤な色をしています」
「チャイコフスキーには実はある大事な法則があります。言葉と音楽の意味が対抗しているのです。歌手が歌詞をそのままイラストのように表現すると間の抜けたものになってしまう。例えば『スペードの女王』のリーザが歌う"出て行ってください"は"残ってください"という意味です。それをチャイコフスキーは自然に創っています」
ベルトマンはそれぞれの役について、チャイコフスキーが書いた性格、背景、なぜすれ違いの悲劇が起こるのか、チャイコフスキーの台本と音楽を時にプーシキンの原作と対比しながら、丁寧に説明。幕切れは「血がほとばしるような悲劇。本当ならば引き離せないものを引きはがすよう」と表現していました。
また、リハーサルに集まったキャストとスタッフについて、ベルトマン自身の口から紹介。オネーギンを演じるワシリー・ラデュークについては「ボリショイ劇場などで活躍していて、合唱指揮も勉強した"本当の音楽家"」、タチアーナのエフゲニア・ムラーヴェワは「一昨年のザルツブルク音楽祭で一日でイズマイロワの代役をやり遂げ、今や世界で活躍する、まさに油ののった歌手」と紹介しました。
また、「美術のイゴール・ネジニーは、おじいさんがモスクワ芸術座の初代支配人。イゴールの奥さんのタチアーナ・トゥルビエワ(衣裳)は、ネミロヴィッチ=ダンチェンコ劇場で最初の『ムツェンスク郡のマクベス夫人』のイズマイロワを歌った歌手をおばに持つ。スタニスラフスキー、ネミロヴィッチ=ダンチェンコ、ロシア演劇の重要なラインの系譜にあって、夫婦で世界中で60本以上、一緒に仕事をしているんです」「演出助手のガリーナ・ティマコーワは大学で一緒に学んだ仲で、今も一緒に教えてます。『オネーギン』の1922年のスタニスラフスキー演出の復活も、ガリーナと一緒に学生と研究したのです。あの演出はオペラ演出の先駆けといわれています」とチームを紹介しました。
ベルトマンの解釈する『エウゲニ・オネーギン』については、9月23日のオペラトークで詳しくお聞きください。
リハーサル室では連日、ベルトマンとキャスト、スタッフによる熱気に満ちた立稽古が続いています。公演本番をお楽しみに!









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