影のない女

  • 2009/2010シーズン
  • 2009/2010 Season Opera
    [New Production]
    Richard Strauss:Die Frau ohne Schatten
    リヒャルト・シュトラウス/全3幕
    【ドイツ語上演/字幕付】

  • オペラ劇場

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リヒャルト・シュトラウスの傑作が新国立劇場に登場いたします。演出は、イタリアとドイツを中心に活躍しているドニ・クリエフが新国立劇場初登場。歌手陣はドイツオペラのスペシャリストが集結。日本で本演目が本格的に公演されるのは、1992年以来18年ぶりとなります。

ものがたり

物語の前に:東方の童話の世界の国。皇帝が捕らえたカモシカが美女に変身する。実は霊界の大王カイコバートの娘であるこの美女を、皇帝は妻にする。しかし、カイコバートの呪いにより、結婚から12ヵ月以内に皇后に影ができなければ、皇帝は石の体と化してしまう。
【第1幕】宮殿。霊界の使者(B)が皇后の乳母(A)に、皇后(S)に影ができたかどうかを訊ねる。皇帝が現れ、乳母に「三日間、狩に行く」と告げ、可愛がっていた鷹を探しに出かける。皇后が現れると居なくなったはずの鷹(S)が現れる。鳥の言葉を解する后は、鷹から「影を得なければ皇帝が石になる」と教えられる。乳母は后に「人間の世界に降りてゆくと影が手に入る」と教える。二人は下界に降り、染物師の妻(S)から影を得ようと画策する。夫の染物師バラク(Br)と彼女の間に子供は居ない。乳母が染物師の妻に話しかけ、妻は影を売ろうかと考え始める。三日間、后と乳母は彼女の召使として働くことになる。そこに帰宅したバラクは、妻の冷たい態度に心を重くする。
【第2幕】バラクと妻の心は噛み合わない。皇帝は鷹に導かれて皇后と乳母を見つけ、后が自分に嘘をついて下界に降りたと気付くが、怒りを抑えてそのまま立ち去る。乳母は、バラクの妻が影を売り払うべく、彼女が夫を見捨てるよう企む。しかし、バラクは妻を見放さない。皇后は、自分のせいで人間を不幸に陥れると悩む。三日間が終わる寸前、感情を昂ぶらせた妻は夫に、「自分は不貞を働き、影を売った」と嘘を言う。バラクは驚き、灯りのなかで妻を見ると確かに影がない。バラクが妻に襲いかかろうとするので、皇后は妻の影を取ることが出来ない。落ち着きを取り戻した妻は、嘘を述べたと夫に白状する。突然、大地が割れ、バラクと妻は別々の深みに落ちてゆく。
【第3幕】地下の霊界。バラクと妻は離れた場所に居て互いに気付かないものの、それぞれ心からの愛情を口にする。皇后と乳母はカイコバートの宮殿の前に辿り着き、父王に訴えに行くべく、后だけが中に入る。乳母は人間界に追いやられてしまう。宮殿の中では、目だけ残して石となってしまった皇帝がいる。皇后は影を得ようとするが、バラク夫妻の苦しみを思いやり、それを果たせない。しかし最後に、彼女の健気な心がカイコバートを動かし、皇帝は人間に戻り、皇后は影を得る。バラク夫妻は再び巡り合い、影が戻った妻と夫が抱きあう。